第7話
京香たちが城に駆けつけたときには戦いは終わっていた。そして城の騎士に多くの犠牲が出ていた。
「うっ……」
「そこの君! いったいなにがあったんですか!?」
傷を負って倒れている騎士に徐庶が話しかけた。
「せ、先生……。曹操殿が王さまを殺して王子を誘拐しました……」
「曹操殿が!?」
疑問に思った京香が質問した。
「先生って?」
「こ、この方はブンゴ国の宮廷魔術師です……。今は姫が指揮を執っておられるので詳しい話はそちらで聞いてください……」
姫に会うために城へ入ろうとした京香に徐庶が声をかけた。
「私は曹操殿の仲間になります」
「は? それはどういうことですの?」
聞き返した京香に徐庶は言った。
「ドラゴンを操っていたのは曹操殿でしょう。誰も彼には勝てません。京香さんも私と一緒に来ませんか?」
仲間に誘われた京香は少し考えた後にこう答えた。
「月見草をご存じかしら? コロコロ色を変える花なんて気味が悪いと思いませんか?」
「……」
徐庶と別れた京香は姫に謁見した。
「徐庶も裏切ったのですか!?」
「あんな善悪を考えず勝ち馬に乗ろうとする腑抜けは信用できませんわ。それよりなぜこんなにあっさりと王さまが暗殺されてしまったのかしら?」
姫が恥ずかしそうに言った。
「……実は大臣の王朗も裏切ったのです。彼が暗殺の手引きをして曹操とともに遠い東の国に逃げました。おそらく曹操はそこで無理やり王子に禅譲させて新しい王国の建国を宣言するつもりでしょう」
「……私はただの冒険者ですがお世話になっているこのブンゴ国の力になりたいと思っています。前王から魔王討伐の命令を受けていましたしね」
京香の言葉を聞いた姫は京香に頭を下げて感謝した。
「ありがとう……。さっそくですがお願いしたいことがあります。大臣と宮廷魔術師を一度に失ったのでどなたか優秀な方を探してきていただけませんか?」
姫から勅命を受けた京香が城から出ると数人の男たちが待っていた。
「あんたが倒したドラゴンを俺たちが代わりに解体しておいたぜ。素材はあんたの店に運んだからな」
「あら、ドタバタしていて手が回らなかったので助かりますわ」
「お嬢ちゃんとドラゴンの戦いはしびれたぜ。俺たちもレベル上げして強くなるからいつか冒険に連れてってくれよな」
自宅に戻ると1階がドラゴンの素材で埋め尽くされていた。
「全部売れれば大金持ちですね」
「それより姫さまからの命令が先じゃないか?」
作戦会議を始める3人。
「しかし徐庶さんが裏切るなんて驚きましたね。優秀な人を仲間にしてもまた裏切られるんじゃないですか?」
「その通りですわ。だから優秀で絶対に裏切らない方を探す必要があります」
「そんな都合のいいやつがいるのか?」
京香が1号と2号に命令した。
「あなたたちには今から私が言う条件に合う方の情報を探してきてほしいの」
1号と2号が情報収集に出ると京香は教会に立ち寄った。
『あなたのレベルが2つ上がりました。4ポイントを上昇させたい能力に振り分けてください』
レベル 7↑
腕力 8↑
体力 6
技 5
知力 5↑
素早さ 5
幸運 5↑
「女神さまの加護が得られるということは選択を間違えていないみたいね。安心しましたわ」
3人は夜遅くまで聞き込みをすると次の日に京香の条件を満たした人物に会いに行った。
「京香さんが指定した優秀だけど誰の仲間にもならずに山奥で暮らしている人はこの先にいますよ」
「臥竜と呼ばれているらしいが諸葛亮のことだろ? 諸葛亮を仲間にしたかったのか?」
「ええ、そうよ」
土産のクッキーを持って山を登る。
「国が混乱してるのに諸葛亮はなんですぐに山を降りないんだ? 優秀なら士官するだろ?」
「それは私に誘われるのを待っているからですわ」
「京香さんを? どういうことですか?」
土産のクッキーを京香が味見する。
「諸葛亮は口が上手い人だから自分の言葉に説得力を持たせるために国や仲間を裏切れないし正義を掲げた人の仲間にしかなれないのよ。つまり自分が山奥で暮らしている理由に気づくような利害が一致している人を待っているというわけ」
諸葛亮の庵に着いた。
「キュル?」
京香たちの前を一輪車のモンスターが横切った。
「それは物資運搬用として作ったモンスターだよ」
庵から1人の少年が現れた。
「私は京香と申します。あなたが諸葛亮先生でしょうか?」
「うん。君の噂は聞いてるよ。来るのを待ってたんだ」
諸葛亮は木材を京香に渡した。
「仲間になるついでにこれをあげるよ。一輪車を作ったときの余りさ。これで新しいモンスターを作るといいよ」
「あら、ちょうど冒険の仲間を増やそうと思っていましたの」
「不思議な魔力を感じる木ですね」
諸葛亮を城へ連れていって姫からの勅命を完了した京香は自宅に帰った。
「その木でどんな仲間を作るんですか?」
「かっこいいロボットにしようぜ」
京香がナイフを取り出した。
「デザインはもう決めてありますわ。ドラゴンの素材も使うから私が作っている間に他の素材を売ってくださる?」
「そういえば店名はどうする?」
京香は1号と2号をみつめた。
「ショップ名はわらじ売りの令嬢で」
「俺たちを売るつもりじゃないだろうな」




