第4話
「そういえばなんで寮が無料なんだ? 気前がいいじゃないか」
「プレイヤーにチュートリアルをやってもらうためのアメじゃないですか? あのケチな王さまが運営費を出してるとは思えませんし」
今日も午前中に校庭で授業を受ける。
「今回の授業は魔法に関してです。講師として魔法ショップの店長さんに来ていただきました」
魔法使いの格好をした女性が校長の隣に立った。
「私の店では魔法を教えたりアイテムを売っています」
講師が本と杖を取り出した。
「魔法はステータスの知力が関わっていますがアイテムを利用することでも自身の魔力を高めて強力な魔法を使えるようになります」
講師が杖を振りかざして巨大な火の玉を上空に打ち上げた。
「つまり魔法の上達に必要なのはレベルアップと優れたアイテムの入手になります」
生徒たちに紙が渡された。
「この授業では魔法を1つ習得してもらいます。その紙には私が教えることのできる魔法が書かれているので好きな魔法を選んでください」
生徒たちのテンションが上がって騒ぎだした。
「回復魔法がマストかしら?」
「リストの中にモンスターテイムがあるぞ!」
「ヘアメイク魔法ってなんだ?」
京香たちもリストを確認する。
「どの魔法にするんだ?」
「あ、レベルダウンの魔法がありますよ。前回の授業で言っていたのはこれですね。でもこの魔法を僕たちが受けたら詰みませんか?」
「レベルは人間しか上下しませんからレベルダウンは対人戦用の魔法です」
「うーん……。どうしようかしら……」
悩んだ京香が講師に聞いてみた。
「オススメとかございます?」
「あなたが連れている藁人形は呪いの魔法アイテムにピッタリですね」
講師が道具箱からいくつかのアイテムを取り出した。
「この紙に敵の名前を書いて藁人形にハンマーとクギで打つと呪いの魔法が発動します」
アイテムを渡された京香。
「この世界の魔王の名前を教えてくださる?」
「何人かいますが1番近いのはサツマ国の魔王関羽ですね」
紙に魔王の名前を書いて1号にハンマーとクギで打った。
「キエーッ! 魔王滅ぶべし! 魔王滅ぶべし!」
「ギャーッ!」
「1号!?」
サツマ国にある魔王城。
「ぐはっ!」
「どうしたんだ兄者!? ……し、死んでる!」
学校の校庭にいる京香は自分が魔王を倒したことに気づかなかった。
「あ! その魔法は深夜に誰も見ていないところでやらないと失敗するかもしれないので注意してください!」
「あら? そうですの? でも私は女子プロレスラーなのでこの魔法は趣味ではありませんわね」
倒れている1号とそれを心配している2号を見て思いついた京香。
「そうだわ。この子たちに魔法を教えていただくことは可能かしら?」
「あなたの藁人形はあなたが作ったモンスターですね。外を徘徊しているモンスターは魔王が作ったものですがどちらも仲間であれば魔法を教えることができます」
「俺たちは京香に作られたモンスターだったのか……」
「ううっ……。も、物に魂が宿るみたいなことでしょうか?」
1号と2号に教える魔法を考える京香。
「レベルダウンはこちらが使うと微妙で誤射が怖いですし……。無難に応用が利く炎でいいわね」
「僕たちが攻撃魔法を覚えると京香さんの経験値を奪ってしまいませんか?」
「お前の生活に役立つようなユニーク魔法でもいいんだぞ?」
1号と2号が京香のレベルアップ効率を心配をした。
「経験値を意識しすぎて死んでしまっては意味がないでしょう? レベル上げなんてじっくりやればいいのよ。ですからこの子たちに炎魔法の伝授をお願いしますわ」
「ではあなたの藁人形に炎魔法を教えましょう。まずあなたたちは藁なので燃え移らないように注意が必要なのですが……」
炎魔法を習得した1号と2号は火球の魔法を撃てるようになった。
「これで遠距離攻撃ができますね!」
「でもさっき見せてもらった火球ほど大きくないな……」
「あなたたちはレベルが上がらないので魔法の威力を上げる場合はアイテムを手に入れる必要があります」
授業が終わって食堂で昼食を食べる京香。
「京香さんは魔法を覚えなくてよかったんですか?」
「私の考えでは私に魔法は不要ですわ」
「どういうことだ?」
京香が1号と2号を指さした。
「そうか……。京香は俺たちみたいな存在を作り出す力を最初から持ってるのか」
「ではまた藁を編んで仲間を作りますか?」
「それだとあなたたちとまったく同じステータスの子になってしまうでしょう? まあ、この話の続きは素材を見つけてからね」
昼食が終わって町に出た。
「この後はどうする? 町の中でクエストでも探すか?」
「今日は少し遠出をして隣のヒュウガ国に行きましょう。泊まりがけになりますがブンゴ国以外の国も見てみたいですわ」
馬車に乗ってヒュウガ国に向かった京香。チュートリアル国を離れての初めての冒険になる。




