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第2話

京香は冒険者養成学校に入学した。


「王さまからの餞別がショボかった理由がわかりましたわ……」

「冒険者見習いが沢山いますね」

「なるほどな。俺たちは魔王討伐の経費の1人分を渡されただけってことか」


校庭に新入生が集まっている。


「私が校長の袁術です。この学校ではみなさんの冒険に役立つかもしれないことを順を追って教えていきます。今日は冒険の準備に関しての授業です」


校長が剣と鎧を出した。


「みなさんは最初の買い物で武器と防具どちらを先に買いますか?」


校長の質問にある生徒が答える。


「はい! 最初は武器を買います!」


他の生徒たちも頷く。


「ではこの校庭に最初の町を用意しましたのでみなさんは自分の思う通りに行動してみてください」


多くの生徒が武器屋に走った。


「私たちはどうしましょう?」

「いきなり買い物するバカがいるかよ。タダで装備を手に入れられないか探索だ」

「そうですね。ここがゲームの世界ならアイテムの入手手段がいくつかあるはずです」


用意された建物の中を調べる。


「自宅と思われる建物から武器と鎧を見つけましたわ」

「困っている人を助けたら盾をくれたぜ」

「ということは足りないのは兜ですね」


京香は防具屋に入った。


「兜を包んでくださる?」

「はいよ!」


生徒たちが校長の前に集まった。


「正解者は町を出る前に装備一式をそろえた京香さんです。ですがお金をケチって買い物を後回しにすると死んでしまうので注意してくださいね」


最初の授業が終わって学校を出た京香。


「簡単であくびが出ますわ」

「でも見落としが怖いですからちゃんと授業を受けていきましょう」

「そろそろ昼メシに行こうぜ」


初日に見つけた食堂に入る。


「フジヤマサンドをお願いしますわ」

「かしこまりました!」


注文した料理を持ってきた店員の女の子が話しかけてきた。


「お客さん、大通りの宿屋に泊まってるって本当ですか?」

「そうだけど……。なぜ知っているの?」


店員が近づいて耳打ちしてきた。


「あの宿屋に幽霊が出るってこの町じゃ有名ですよ。すぐに宿泊客が逃げるんですって」


それだけ言うと店員は仕事に戻った。


「なるほど。あの宿屋の宿泊費が安い理由がわかりましたね」

「宿屋の主人に話を聞いてみるか?」

「そうですわね。私の安眠を妨害されたくないですわ」


宿屋に戻って主人に幽霊のことを聞いてみた。


「幽霊が出るせいで寝不足だし収入が減って困っているんだ。解決してくれたらお礼を出すよ」

「じゃあ私は幽霊が誰なのか聞き込みをしてみますわ」

「俺たちは除霊の方法を探してみるか」


幽霊のことを調べるために町で情報収集を始めた。そして遊んでいた子供から役に立ちそうな話を聞けた。


「あの宿屋に泊まった人で行方不明になった女の人がいるらしいよ」

「その女性が事件か事故に巻き込まれて幽霊になったのかしら?」


わらじたちも情報を持ってきた。


「幽霊の除霊ができる聖水を町の城門を出たすぐ近くの森で汲めるらしいですよ」

「モンスターが出るから気をつけろだってよ。装備はどうするんだ?」

「私のドレスは防弾防刃仕様でそこいらの防具より優秀でしてよ? 急ぎましょう。チンタラしていたら夜になってしまいますわ」


森の中に入るとRPG定番のスライムが1匹現れた。


「さて……。どうやって戦うんだ?」

「武器も防具も買ってませんよね?」

「まあ見てなさい」


京香はスライムに駆け寄って拳でパンチした。


「ギュウッ……!」


吹き飛んだスライムが悲鳴を上げて木にぶつかった。しかし起き上がって京香に突進してきた。


「え!?」


驚いた京香がすかさず2撃目を加える。


「キュウ……」


京香の拳を2回受けたスライムは倒れた。


「やるじゃないか!」

「武器を使わず倒すなんて……。京香さんは強いんですね!」


称賛するわらじたちをよそにショックを受ける京香。


「……女子プロレスラーとして活躍していた私の拳をスライムが耐えたですって?」


落ち込む京香を励ますわらじたち。


「ゲームだから本来の力が出せないのでは?」

「レベルとか上げれば元の強さに戻れるって!」

「わらじに励まされるなんて私も落ちたものね……」


さらに自信をなくしたところに2匹目のスライムが現れた。


「ほら! 戦って強くなりましょう!」

「お前のパンチを見せてくれ!」

「え、ええ……」


スライムを倒しつつ奥に進むと泉にたどり着いた。


「この聖水は売れないらしいので必要分だけ瓶に汲みましょう」

「スライムの死体は重くて運べそうもないですわ」

「モンスターを金に変えるために運搬の手段が必要だな」


聖水を汲んで帰路につく京香。宿屋に戻ったときには夜だった。


「宿屋の主人はもう寝ているみたいだから私たちで除霊してしまいましょう」


除霊のために聖水が入った瓶を持ったときだった。


「やめて……」

「え!?」


耳元で声がした。振り返ると女性が立っていた。


「私は無くした物を探しているだけなの……。邪魔しないで……」


わらじたちは恐怖で気絶していた。


「あああ、あの、あのっ、無くした物ってななんなんですの?」

「恋人からもらった指輪よ……」

「指輪? ……あ」


宿屋の廊下で見つけてポケットに入れたまま存在を忘れていた指輪を取り出した。


「……あなたが見つけてくれたの? ありがとう……」


指輪を受け取った幽霊が消える前に驚くことを言った。


「私の名前は貂蝉……。私を殺したのはこの宿屋の主人よ……。危ないからあなたもここを離れたほうがいいわ……」


近くの公園で朝まで時間をつぶして城の衛兵に通報しておいた。


「まったく……。いざというときに役に立たない人たちね」

「マスコットの俺たちになにを期待しているんだ?」

「懸賞金が出たんですからよかったじゃないですか」


京香が利用していた宿屋は立ち入り禁止になった。


「今晩からの寝床はどうしましょう?」

「冒険者養成学校に寮がありますよ。無料なのでお金の節約になるんじゃないですか?」

「ついでに次の授業も受けようぜ」


入寮の手続きと授業を受けるために冒険者養成学校にいく京香。その途中で稲刈りが終わった畑を見つけた。


「そうだわ。役立たずのあなたたちの処遇を思いつきましたわ」

「しょ、処遇ですか?」

「おいおい、俺たちはクビかい?」


京香がニヤリと笑って言った。


「あなたたちのパワーアップイベントですわ」

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