広告を出そう
「まずは、広告ですね」
両手をパチンと鳴らして、アリスは言う。
「ところで、広告ってどういうことするの……?」
「いいえ、その前にやるべきことがありました。まずは、この探偵事務所の方針を決めなければなりません」
「例えばどういうの?」
「……そうですね。定休日とか、値段とか。そして、一番大切なのは事件性のある依頼は引き受けないこと」
それを聞いて、アルテミスは方をブルっと震わせる。
「でも、私の事務所のお支払い方法は硬貨じゃなくて、寿命とか記憶だよ?」
「何故そこまで、それにこだわるんですか……だから、依頼が来ないんですよ」
「なんというか……、魔女のプライドみたいなのがあって」
「そんなプライド庭にでも捨ててきてください」
呆れ気味にアリスは言い、そのままアルテミスの机にあったペンを手に取る。
それから、そこら辺の書類の山から紙を一枚取ってきた。
「まぁ、この辺りなら依頼料は銀貨3枚って所でしょうか……」
「うぇー……それだけ?」
残念そうにアルテミスは言った。
「そんな、底辺探偵事務所が最初から高額な料金出して、誰が来るっていうんですか」
「まぁ、それはそうだけどさ……」
「今から行きたいところがあります。つべこべいわずついてきてください」
* * *
「こんにちはー」
ドア鈴の音が鳴ると同時に、アリスはある怪しげなお店の中に足を踏み入れた。
「何でも屋へようこそ。何の、依頼だい?」
中に居たのは、魔女だった。
「広告を出したいのですが……」
すると、魔女はカウンターから一枚の紙を取り出す。
「じゃあ、これにサインしな」
アリスは、紙に書いてある文字に目を通し、そのままサインをした。
「代金は、銀貨15枚でも良いですか?」
アリスの質問に、魔女はゆっくりと頷いた。
「ところで、アリス。どういう風に広告を出すの?」
アルテミスの質問にアリスは自信満々に答えた。
「それはもちろん。実績を作るんですよ」
そう言ったと同時に、どこかへ行っていたと思っていた魔女がカウンターの奥から出てきた。
「これが、何でも屋に来てる依頼だ。どれでも好きに選んでくれ」
その紙をアルテミスは上から覗き込む。その中には見覚えの写真付きの内容があった。
《依頼》
消えた少女を探す
「これ、やろうよ」
アルテミスは、その依頼を指さす。
「何で、これなんですか……報奨金少ないし」
「だって、この子。私がこの間探した子だし……」
「……なるほど、罪を償いたいと」
アリスの感心した様子を見て、アルテミスは言う。
「別に、そういうわけじゃなくって……。なんていうんだろう、徳は帰ってくるって言うじゃん、あの子を2回助けたら徳が二倍になるかなって」
「良いのか悪いのかよく分からない答えですね」




