新人探偵 アリス
「やばい、本当にお金ない……」
机に突っ伏したアルテミスは、泣き目で呟いた。
魔女は上に寿命や、記憶を提出することで収入を得ることが出来る。しかし、仕事が来ないアルテミスは提出すら出来ないのだ。
もう、ご飯を食べずに3日目である。
そろそろ、バイトをしなければ……。とつくづく思っているも、魔女のバイトなんてほとんど存在してないし、普通のバイトは働かせてくれるわけもなく…。
「もういっそのこと、ルシフェル食べるか」
アルテミスは、机の上に居たルシフェルを捕まえるが、ルシフェルはアルテミスのことを引っ掻いて逃げてしまった。
「冗談だって」
ーーその時だった。
ドア鈴が鳴る隙もなく、扉が勢い良く開く。
「ようこそ……魔女探偵事務所へ。人探しですか?それとも…」
生気のないアルテミスを見て、お客さんは目を丸くする。
「あの、魔女探偵事務所の探偵募集中って本当ですか?」
「そう、そうなんです!」
目を輝かせて、アルテミスは椅子から勢いよく立ち上がる。それから、お客さんの方へ走り握手をした。
* * *
ーーそして、応募採用面接が始まる。
「自己紹介をどうぞっ」
アルテミスが元気よく言うと、その人は緊張した様子で背筋を伸ばし、震えた声で答えた。
「え、えっと……あ、アリスですっ。観察能力と、知識には自信があります」
「ところで。貴方は魔女?」
「いいえ。ですが、お母さんが魔女です」
「うちの給料、寿命と記憶だけど大丈夫そう?」
「それはダメですが……給料に変換してからお渡しする感じじゃダメでしょうか……」
「それはそっか」
それから、アルテミスは満面の笑みで言った。
「採用」
* * *
「…ってわけで……アルバイト頼めない?」
「え、そんな大赤字な探偵事務所だったなんて……入るとこ間違えました」
それから、アリスは扉を開けて事務所から出て行こうとする。
それを、アルテミスは必死に引き留めた。
「ねぇ、お願い。本当に今月ピンチなの、このままだと私、本当に死んじゃう」
「じゃあ、貴族に雇って貰えば良いじゃないですか」
「だって……あんまり人のこと苦しめたくないんだもん」
涙目で言うアルテミスを見て、アリスは目を見開いた。
「まだ、そんな魔女が残っていたとは…」
それからアリスはあっさりと言った。
「良いですよ。では、バイトしましょうか……」
「本当?」
アルテミスは目を輝かせる。
「私一人ではありません。勿論、アルテミスさんもやるんですよ?」




