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ようこそ魔女探偵事務所へ  作者: 大拓 陽
Still In love

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4/8

魔女の生き方

 とはいっても、ここまで来てしまえば、女の子を探すだなんて容易なことである。


「ルシフェル、こっち来て」

 怪しい声でアルテミスは言う。でも、怪しいのはそれだけでは無い、目の前に置かれた水晶の中には黒い霧が包まれていた。


「これをちょちょっと、動かせば……。ほら出来たっ、頭が燃えるように熱くなる呪い。これで、すぐ見つかるでしょっ」

 効果範囲はちょうどこの街を包む混むくらい、見た目は写真に写っている少女と指定。ただそれだけだ。


「……ん?死なないのかって、そりゃもちろん。大丈夫だよ……あ、でも痛みに弱い人だったら死んじゃうかも」


 ーーその時、予想した通り街の方から大きな悲鳴が響き渡った。

 それを聞いて、アルテミスは迷わず駆け付ける。

 ルシフェルを連れて、箒へ飛び乗った。


 アルテミスが降りたのは、町外れの住宅街。そこには、写真に居た通りの少女が居た。

 箒を片手に、アルテミスは近づく。


 それから、少女の頭に手をポンっと載せて、それから目を見つめた。

 アルテミスの目から解き放たれた光は、その呪いを解除する。


「ま、魔女だーっ」

 周りの民衆は少女にも目をくれず、逃げ始める。気がついた頃には、周りにはもう誰も居なかった。


「せっかく、名探偵アルテミスが、事件を解決してあげたというのに…」

 不機嫌な声色でアルテミスは言う。


「お姉ちゃん……誰?」

 少女の質問に、アルテミスはその場にしゃがみ込んで、口を開いた。

「お姉ちゃんはね……探偵さんをやってるんだ」


「でも、魔女なんでしょ……?」

 不安そうに、少女は尋ねる。

「大丈夫。お姉さん、呪いはかけるけど、人を殺したり、食べたりはしないから…」


「全然、安心できる答えじゃないです……」

「魔女さんだってね。本当はこんなことしたくないんだよ?でも……魔女に生まれた以上こうやって生きなきゃいけないの」

 アルテミスの言葉に、その少女は不思議そうに首を傾げた。


「とにかく、世界には悪役も必要だってこと。でも、この話は誰にも言っちゃダメだからね。約束できる?」

 それから、アルテミスは少女に小指を差し出した。少女はそれに答えるように、それをギュッと握りしめる。


「いい子だね。飴ちゃんあげる」

 それから、アルテミスは懐からパンプキン味の飴を差し出した。

「ちょっと、付いてきて」


 * * *


 ーー後日、魔女探偵事務所にて。

「はい、例の子は見つけましたよ……はい……、え、写真の事については専門家を紹介してくれる?」

「……はい、……それでは後日、書類をお送りしますので……はい、ありがとうございます」


 アルテミスは、机に足を乗せたまま、受話器を切る。

「ルシフェルっ、海の件に関しては専門家を紹介してくれるんだって……。楽しみだね。本当、依頼主さんは太っ腹」


 それから、アルテミスは机の上に置いてあった羽ペンを取り、少女にの位置情報を書き始めた。


 あの少女は、魔女の呪いを受けてしまった以上悪者となってしまう。

 でも、しっかりと対策はとってある。


 作戦その一、少女の呪いを解くと同時に、周りの人たちの記憶を消す。

 作戦その二、話している間は、アルテミスがその少女の姿を隠し、その後少女を連れ去った事にする。

 作戦その三、裏からこっそりと、その子を合流させる。


 この作戦は全て成功した。つまり、何の問題も無いはずだ。

「この、名探偵アルテミスの最初の初仕事ーー目に焼き付けるが良い」

 町外れの小屋の中、アルテミスは鼻を鳴らしてそう言った。


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