眩しすぎる世界
「なるほどな。確かに、残りの二人が何処に住んでるのか言っておらんかった」
そう言って村長は納得した表情を浮かべる。
「それで、何処に住んでるんですか?」
「一人目は、勿論わしの義理の孫はヴァレス村。もう一人は、確かーーここら辺に住んでおったな。そうだ、今から例のあの子に間に行くんだが一緒についてくるか?」
その提案にアリスたちは息を呑む。そんなの、行かないわけ無いじゃないか。
* * *
そうして、村長が事情を話すと無事受け入れてくれたそうでーー。家に近付いたアルテミスは目を見開いた。
それは、貧乏アルテミスと縁のない存在のような高級住宅街の中に立地していて、まさに勝ち組というオーラが……。
「ま、眩しい」
目を隠して、背後に倒れ込むアルテミスをアリスはなんとか受け止めた。
「大丈夫ですか?」
心配そうにアルテミスの顔を覗き込むシュラインにアリスは微笑んで言った。
「アルテミスさんとは一生縁の無いはずだった世界ですからーーまぶしすぎて前が見えなってしまったのですよ」
それに対して、アルテミスはうんうん頷いた。本当にそれで良いのだろうか。
そうして、出迎えてくれたのは例の人の奥さんだろうか。倒れ込むアルテミスに駆け寄ってきてくれたが、アリスはそれを丁重にお断りした。
「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
「はい、こんな貧乏人相手にしなくて結構ですよ。汚れてしまいますから」
どさくさに紛れて、相当な悪口を言っているが、アルテミスは気にしていないようなので問題ないだろう。
「そそそそ、それなら良いんですけど」
そう言って奥さんは家の中に案内した。すると、シチューの良い香りがアルテミスの鼻の中いっぱいに広がる。
「シチューだ!」
「いや、シチューの匂いで元気になるなんて、どんだけ食いしん坊なんですか」
と思ったのも束の間、アルテミスは足元に何かの気配を感じた瞬間。激痛が走った。恐る恐る下をみると、そこには小さい子供がいてーーこっちを睨みつけていたのだ。
「うっ!」
そのまま、アルテミスは背後に下がる。すると、その幼い子供は純粋な瞳でこう言った。
「魔女さん?」
こいつ中々勘のいいガキだ。
すると、アリスは誤魔化す様に、しゃがんでから子供に話しかけた。
「大丈夫、あの人は魔女さんじゃないから」
「でもーー」
すると、例の奥さん?いや、お母さんが近づいてきてその子を抱っこする。
「ごめんなさいね……。ほら、あのお姉さんは普通の人間さんだよ」
そう言われて、なんだか心にきたアルテミス。たまに、こういう子供がいるのだ。勘のいい子供が。
まだ、ショックを受けているアルテミスの顔を見て慰めようと思ったのか、お母さんはその子をあやしながらこっちを見て、微笑んで言った」
「多分、絵本の影響だとおもいます。知ってますか?魔女アルテシアって」
「え、えぇ」
「その主人公のアルテシアとアルテミスさんの見た目がとても良く似ているんです。それにしても、名前も似ているんですね」
そう言った時、彼女はまさかとアルテミスを一瞬疑ったが。でも、すぐにそんなことあるわけないと目をそらした。
そんなわけ無いに決まってるーー。




