おんぼろな小屋
本編と話が少し変わり、この章では魔女探偵事務所の話を書いています。
本編だけを濃く読みたい場合は『The Secret Kept by the Embers』の章。つまり、「魔女探偵事務所探偵新聞デビュー!」からーー。
飛ばして読んでも理解に詰まることはありませんのでご安心を。
「よくやりましたね。アルテミスさん……」
関心するようなアリスを見て、アルテミスはなんだか憎たらしく思えてきた。
「この、名探偵アルテミスをなめてもらっちゃ困るよ!ね、ルシフェル」
そうして、ルシフェルの方へ視線をやると、誠に残念ながらアルテミスを横目にどこかで拾ってきた肉を頬張っていた。
「ちょっと、また近くのレストランから盗んできたの?いつもダメだって言ってるじゃん」
そして、アルテミスはルシフェルを持ち上げた。
その一方で、アリスはアルテミスの収穫内容が書かれたメモ帳に目を通す。
「ところで、アルテミスさん。最後の人は都会に住んでいると記載されていますが、最初の二人はまだバレス村に住んでらっしゃるのですか?」
それを聞いたアルテミスは、ルシフェルを持ち上げたまま言う。
「わからない」
「え、聞いて来なかったんですか?」
怒り気味にアリスは言う。
その場を収めるようにシュラインは言った。
「それについては安心してください。私が王国に行って、暴力で解決してきます」
口を隠して微笑んだ可愛い金髪少女の目の奥には、何か危ないものが眠っているようだった。
「…………。うへへへ、私、もう泣きそうです」
アリスは涙目で俯く。
「この探偵事務所に真面目な人は……居ないのでしょうか……」
その言葉に、アルテミスはこう理解した。あぁ、アリスが不真面目すぎて私たちが不真面目に見えているのだと。
なんなら、かわいそうという感情すら抱いた。
アルテミスはルシフェルの肉球を使って、机に突っ伏しているアリスのほっぺたをぷにぷにする。
「かわいそうに……」
「貴方にだけは言われたくありませんでした……」
でも、アルテミスはその言葉の意味を理解できなかった。
なんと哀れな……。
その時、小屋の屋根板が一枚外れる。
ただそれだけでは無い、外では雨が降ってきていたのだ。
アルテミスは即座に板をはめ直す。
それを見ていたシュラインはボソッと呟いた。
「この小屋、古すぎやしませんか?」
「まぁ、これ築230年くらいの小屋を修理しながら使ってるやつだし……」
「なんで、こんなおんぼろな小屋買ったんです?」
シュラインの質問に、アルテミスは鼻を高くして答えた。
「お金が無かったからだよ。でも、買い切りでステンレス硬貨2枚だったんだから」
アルテミスの言葉に、アルテミスは違和感を覚えた。
「いくら築230年とはいえ古すぎません?」
「まぁ、ここ事故物件だからね。昔、ここに占い屋さんがあって、その時水晶からいきなり変な怪物が出てきて、そいつに殺されたとか……」
アルテミスがあまりにも平然と言うので、あんまりピンと来なかったが、後になって背筋が凍った。
そして、アリスはこの強力な金持ちを味方にした今まさにこの時がちょうど良い時期だと思ったのだ。
「引っ越しをしましょう」




