新人探偵? シュライン
無事、仕事が終わり外に出ると、そこには思い掛けずラデルが待っていた。
「どうしたの?こんな所で待ってて……」
そうアルテミスが尋ねると、思いもよらない返答が帰ってきた。
「私を、魔女探偵事務所へ連れていってはくれませんか?」と。
アルテミスは一瞬固まった。そして言う。
「本当に、何で?」
「いや、魔女を暗殺する身として、メリットしかないので……。魔女の修正も分かりますし、アルテミスさんが居ることによって、魔女の人脈も持てる……。そして、貴方は護衛をしてもらえる。それはつまりお互いにとってメリットしか無いじゃないですか」
それにはアルテミスも納得したが、魔女として、いや魔女の真実を知る者にとって、魔女暗殺業者と魔女の関係はとても複雑。
逆に知っていることが物事を複雑にさせるのだ。
でも、ここで断る理由もなかった。でも、それよりも心配なことが……。
「良いけど……、給料とかは」
もう、貧乏なアルテミスにとって、ラデルを養える程のお金は無かったのだ。
「それについては問題ありません。アルテミスさん、貧乏なんでしょ?私が、養ってあげますよ」
給料の良い彼女ができるこの作戦。アルテミスが食いつかないわけがなかった。
その一言に、アルテミスは目を輝かせた。
「是非、一緒に魔女探偵事務所に来てください!」
「そう言ってくれるとおもいましたよ」
ラデルは微笑んでそう言った。
一週間後。
魔女探偵事務所にて。
バレス村から、商人などの馬車を乗り継ぎ、なんとか帰還したアルテミス。その斜め後ろにはラデルも居た。
そして、扉を開けた瞬間。聞き覚えのある声が元気な声でこう言う。
「『ようこそ、魔女探偵事務所へ……』って、なんですか……アルテミスさんじゃないですか」
残念そうにアリスは言った。
そして、机の上から飛び降りてこちらに駆け寄ってきたルシフェルをアルテミスは抱き抱え、抱きしめる。
「ルシフェル〜、会いたかったよ〜」
それに、答えるようにルシフェルは「にゃー」と鳴いた。
「で、そこに居る方がお客さんですか?」
アリスがそう尋ねると、アルテミスが答えるよりも先に、ラデルが愛想良く、先に口を開いた。
「どうも、バレス村でアルテミスとお友達になったシュラインです」
ここで、ようやくアルテミスは理解した。
ここへ来る、三日前にラデルは美容室に行き、金髪にしていたのだ。なぜ、こんなことをするのだろうか。イメチェンかな……と思っていたアルテミスだったが、ここにきてようやくその意味を理解したのだ。
そうして、ロングヘアーの金髪イケメン美女を前にしたアリスはうっとりした目でこう言った。
「お姉さん、かっこいいですね」と。
何、すっかり騙されているのだろうか。
「私、今日からここで働かせてもらうことになりまして……」
すると、アリスはきれ気味に言った。
「何、お金ないのに持ってきたんですか」
すると、シュラインは愛想良く言った。
「まぁまぁ、私は実家が太いので魔女探偵事務所にはお金を入れますよ」
それを聞いてアリスはアルテミスの方を見て微笑んだ。
「良い収穫がありましたね」




