表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
税は未来のために ― 崩壊国家を再構築する経済戦記 ―  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
59/70

第59話:リディアの政治

 「それでも、見捨てない」


 その言葉は、理想だった。


 だが――


 現実は、動かなければ変わらない。


 ◇


 王都、貴族院本会議。


 高い天井。

 重厚な机。

 整然と並ぶ貴族たち。


 その中心に――リディアは立っていた。


 ◇


(逃げない)


 あの時、決めた。


 守られる側ではなく。


 動かす側になると。


 ◇


「発言を許可する」


 議長の声。


 視線が、一斉に集まる。


 ◇


「……リディア・エルフォードです」


 静かに名乗る。


 だが、その声は揺れない。


 ◇


「本日、提案するのは――」


 一拍。


「税制および流通制度の改革案です」


 ざわめき。


 当然だ。


 この状況で、“変える”と言ったのだから。


 ◇


「現行制度は、限界に達しています」


「民は疲弊し」


「市場は停滞し」


「国家財政は崩壊寸前」


「……言い過ぎだな」


 どこかから声が飛ぶ。


 だが。


「事実です」


 リディアは即座に返した。


 ◇


「だからこそ」


 資料を広げる。


「三つの柱で、再構築します」


 ◇


「第一に」


「税の再定義」


 ◇


「税は、徴収のためではなく」


「循環のために使う」


「……何を言っている」


「徴収した資金を」


「即時に現場へ戻す仕組みを構築します」


「インフラ」


「生活基盤」


「最低限の保障」


「これを優先する」


 ◇


「そんなことをすれば」


「財政が持たん!」


「持たせます」


 即答。


 ◇


「第二に」


「流通の開放」


 ◇


「特定商会への依存を排除」


「複数ルートの確保を義務化」


「取引の透明化」


「……商人が反発するぞ」


「ええ」


「ですが」


 一拍。


「従わない場合は、取引停止とします」


 ◇


 空気が、張り詰める。


 強制。


 それは、明確な権力の行使だ。


 ◇


「第三に」


「監査権限の拡張」


 ◇


「税の使用先」


「契約内容」


「すべてを開示対象とする」


「違反があれば」


「即時介入」


 ◇


「やりすぎだ」


「権限が強すぎる」


 反発の声が上がる。


 当然だ。


 既得権益を、直接切りに来ている。


 ◇


 だが。


 リディアは、一歩も引かない。


 ◇


「今回の崩壊は」


 静かに言う。


「“見えなかったこと”が原因です」


「だから」


「見えるようにする」


「それだけです」


 ◇


 正論。


 だからこそ、重い。


 ◇


「……誰の入れ知恵だ」


 低い声が飛ぶ。


 探るような視線。


 ◇


 一瞬だけ、思い浮かぶ。


 あの街。


 あの男。


 ◇


 だが。


 リディアは首を振る。


「私の判断です」


 ◇


 嘘ではない。


 これはもう――


 自分の意志だ。


 ◇


「……通ると思っているのか」


 議長が問う。


 ◇


 リディアは、まっすぐに前を見る。


 逃げない。


 揺れない。


 ◇


「通します」


 静かに。


 だが、確実に言い切った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ