86.組む
アメリアの宿泊施設から対策本部までは少し距離があるため、高速道を通って移動することになり、高速道を使ったおかげで大体30分で対策本部に到着することができた。
怜は車の中では窓から見える景色を見ていたが、日本では見られないような特徴的な造形をした建築物などが様々あり、その建物を眺めていた。
「さあ、到着しましたよ!」
「日本の対策本部とは違って都心から離れたところにあるんだな」
「そうだね、目の前に見えるのが対策本部として使っている大聖堂、プロフェティック大聖堂だよ」
「大聖堂が対策本部……!?」
怜達が来た場所は高速度道路を使ってビルなどが聳え立つ都心部ではなく、少し離れた丘まで来ていた。
湖崎が日本の対策本部との違いを比較しているとタトゥムが続いて対策本部の説明を始める。
ロンドンの対策本部は今怜達の目の前にあるセント・ポール大聖堂という建物らしいく、大聖堂をそのまま対策本部にするという大胆な発想に怜は驚く。
「普段は観光地としても有名だけど、この大聖堂だけは能力者が生まれた100年前からは関係者しか入れなくなってるんだよ」
「確かに、周りには観光客の皆さんがいっぱいいますね」
「では皆さん、今から大聖堂の中に入っていくけどくれぐれも無礼の内容にお願いしますね。ロンドンの局長さんは厳しい時はかなり厳しいですからね」
「タトゥム、地元だからってのもあるけど、やけにこの大聖堂に詳しいんだな」
「ま、まぁそうだね~」
タトゥムが詳しくこの大聖堂の事について説明してくれているが、天津が言っていたようにアメリカに在住していてチームメイトでもあるということから対策本部にかかわるようになってからは恐らくアメリカで生活しているはずだ。
それなのにロンドンの局長はかなり厳しいから大聖堂に入るときは無礼の内容に等も知っているため、怜はどうして知っているのか聞いてみるとタトゥムは急に汗をかき始めて相槌だけうって皆を大聖堂に向かっていく。
大聖堂の正門に近づくと近衛兵がタトゥムを止め、身分の分かるものを提示しろというとタトゥムはポケットからカードのようなものを取り出して提示すると近衛兵は下がって通ることを許可する。
「後ろの方々はジャパンから来た能力者の皆さんです。今この地で起きている謎の殺害事件の解決の協力をするためにはるばる来てくれました」
「なるほど。よし、通行を許可する」
「ありがとうございます」
近衛兵に通行の許可を得たタトゥム達は中に入ってすぐ正面の受付の女性に局長に
「日本から今回の事件解決に参加する能力者が来た」と連絡してほしいと使えると受付の女性はすぐに局長室にいるであろう局長に内線をかける。
数分経ってから局長から許可が下り、奥の部屋から出てきた別の近衛兵の案内で局長室まで案内される。
「局長様から許可が下りましたので、この近衛兵の方について行ってください」
「君たちが日本から来た能力者か。事件解決の援助をしてくれるのはありがたいが、妙な真似は慎むように」
「分かりました」
「では案内する」
局長室は大聖堂の最上階にあるようだが、この大聖堂は古くからあることもあってエレベーターなどの移動手段はなく、全て階段を上って移動するようで、何段もある段差を上っていくが、近衛兵は表情などを一切変えずに戦闘を歩いている。
ようやく会談を上り切り、目の前にあったのは大きな2枚の鉄の扉で、それを近衛兵がゆっくりと押して開き、局長に向かって大きな声で日本の能力者が来たことを報告する。
「報告します! 日本から5名が今回の謎の殺害事件の解決の援助としてお越しになられた方々をお連れしました!」
「そのまま私の前まで」
「はっ!」
近衛兵の報告に応えた声は女性の声で、ロンドンの局長は意外なことに女性のようで、厳しい人だと聞いていた為てっきり体格のいい男性が局長を務めているのかとこの場にいる日本人全員が思っていた。
案内を終えた近衛兵はそのまま後ろに連れてきた6人を局長の近くまで連れていくと横を向いて壁の前で整列する。
近衛兵の大きな体で局長の姿は見えなかったが、今見えるのは太陽がまぶしく輝いて見える窓を向いており、その全貌は未だ見えないが、ひらりと見えた髪色は銀髪で、太陽の光の影響もあってより一層眩しく輝いていた。
そして局長はゆっくりと椅子を右回りに回転させて怜達の方を向く。
「はるばるこの地にお越しになった日本の皆さん。此度は謎の殺害事件の解決への協力、感謝いたしま――――――」
「?」
局長の外見は銀髪のハーフアップ、青色の瞳、その場にいるだけで緊張感が漂うほどの威厳を感じ、その局長が挨拶を終えようとした瞬間、最後の言葉にたどり着く寸前で口を止める。
一体どうしたのだろうとこの場にいる《《1人》》を除いて困惑しており、もしかして無礼を働いてしまっただろうかと心配になるが、次の局長の言葉でその心配は驚愕へと変化する。
「……何でいるのですか、《《タトゥム》》……」
「え、タトゥム? お前、局長と知り合いなのか?」
「あ、え、いや、その……」
「知り合いもなにもありません。今皆様方の隣に立っている男、タトゥム・ブルックスは……私の、弟なのですから……!」
「「「「はあああああああああああああ!?」」」」




