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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
第2章 Solve the Mysterious Murder Case. 屍蘇傀儡篇

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85/87

85.異国の文化

 この宿泊施設、ザ・スパニアーズ・インの管理人を行っているアメリアは外見は茶髪のロングヘアーでおっとりとした雰囲気をしている綺麗な女性だ。

 左手には掃除用具を持っていたので恐らく今の時間は清掃時間だったのだろうが、辺りを見回す限り施設内はとても清潔な状態を保たれており、棚になる本は大きさや並び方などが完璧と言っていいほどに揃えられていることから細部まで清潔に保とうという姿勢をひしひしと感じる。

 するとアメリアは天津の方を向いて話しかける。


「ユウさん、今回はこの宿舎をご予約いただきありがとうございます。コンドウ様にもよろしくとお伝えください」


「こちらこそ突然の予約だっていうのに全員分の部屋を確保してくれてとても感謝しているよ」


「とんでもございません。では、お部屋の方ご案内しますので、こちらへ」


 アメリアはどうやら近藤とも知人の関係を持っているようで、よろしく伝えてほしいというと頷いて返す。

 そしてアメリアは奥にある部屋の方まで全員を案内していき、それぞれの部屋の鍵を渡していく。

 怜は最後に鍵を貰い、正面にある部屋に鍵を挿して開けるとそこは木造ならではの木材のいい香りと木目の揃った壁、しわ一つないベッド、水滴一つないバスルームと、まるで写真で見る5つ星ホテルが目の前にあるような空間だった。

 怜は玄関に立ち尽くしてその綺麗という言葉では押さえられないほどの空間を眺めていたが、はっと我に返ってキャリーケースを壁際に置いてソファに座る。

 ソファの質感ももちろん最高だ。フライトの疲れも一瞬で吹き飛んでしまいそうなくらいに。


「すごいな、本当に。窓からの景色もすごくいい」


 ロンドンにある邪神対策本部には午前10時から行く予定の為、そこまではこの宿で過ごすことになっている。

 8時ごろになると怜のドアがノックされ、ドアを開けるとアメリアが朝食の連絡をしてくる。


「失礼します。ツジイさん、ただいまから大広間での朝食がありますが、どうされますか?」


「ぜひお願いしたいです」


「かしこまりました。大広間は部屋を出て突き当りにある階段から2階に上っていただき、正面にあります。何かお困りでしたら私《わたくし》かタトゥムに尋ねてください」


「分かりました。ありがとうございます」


「では私は準備を行いますので、失礼いたします」


 アメリアは親切に大広間での朝食の案内をするとその朝食の準備に取り掛かるために怜の部屋を後にする。

 怜は早速2階にある大広間に向かって移動し、大広間の大きなドアを開けると既に怜以外の全員が席についており、怜も急いでタトゥムの隣の空いている席に座る。


「これで全員揃いましたね!」


 待つこと10分、反対のドアからキッチンワゴンに朝食を乗せて運んでくるアメリアが入ってくる。

 そしてアメリアはそれぞれのテーブルの前に料理を並べていくが、どの料理も素晴らしい見栄えで、崩してしまうのがもったいないくらいで、ここは高級ホテルなのかと錯覚してしまうくらいだ。

 異国の地ということで日本では当たり前だった白米や味噌汁ではなく大きな皿にベーコン、目玉焼き、ソーセージ、ベイクドビーンズなどがあり、小さな皿にはバターが塗られたパンが数枚並べられていた。

 アメリアが並べ終わると簡単な料理の説明がされた。


「簡単な説明としましては、今回の朝食はロンドンでも一般的な朝食、フル・イングリッシュ・ブレックファストです。日本から来られた皆様にはまずロンドンの文化を知ってもらおうという気持ちで、初日は一般的な料理をお持ちしました。ぜひ楽しんでいただければと思います」


「じゃあ食べようか」


「いただきます」


「ジャパンではそういう挨拶があるんですね! じゃあワタシも、イタダキマス!」


 アメリアの説明が終わって天津たちがイタダキマスとあいさつをするとタトゥムも皆をまねて片言ではあるがイタダキマスとあいさつをして食事を始める。

 初めての異国の料理を食べたが、どれも初めて口にする食材ではなかったため、とてもスムーズでおいしく食べることができた。これも恐らくアメリアの日本人に対する彼女なりの思いやりなのだろう。

 食事を行いながらもアメリアやタトゥムからロンドンの街文化について教えてもらったが、どれも楽しそうな内容だったが、怜達が来た目的というのは謎の殺害事件を解決するためだ。

 怜はもしも解決が早く終わった場合の為に楽しみに取っておこうと考えた。


「ごちそうさまでした。とてもおいしかったです」


「お口に合って何よりです」


「今は9時か。じゃあ皆準備してタトゥムの車でロンドンの対策本部に行こうか」


「分かりました」


「ワタシは先に玄関で待っているので準備ができたら玄関に集合してくださーい!」


 天津が朝食後の動きを説明するとそれぞれ大広間から出る前にアメリアにかんしゃを伝えて自分の部屋に戻って対策本部に行く準備に取り掛かる。

 怜も準備を素早く行って、タトゥムが言っていた通り玄関に行くとタトゥムが指で車のキーをくるくる回しながら待っており、怜の姿が見えるとキーを回すのを止めて怜の方に手を振る。


「レイ! こっちだよー!」


「何から何までありがとう、タトゥム」


「ここはワタシの故郷! 困ったことが合ったら遠慮せずに何でも言ってよ!」


「頼りになるよ」


「お、他のみんなも来たようだね」


「おまたせー」


 タトゥムと怜が会話していると後ろから天津たちも玄関に向かってくる姿が見え、全員が到着したところで玄関を出て外に停めておいた車に乗って早速対策本部まで移動する。


「皆忘れ物は無いですか?」


「大丈夫だよ」


「分かりました、それでは対策本部まで出発でーす!」



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