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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
第2章 Solve the Mysterious Murder Case. 屍蘇傀儡篇

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82.異国の地、向かう

 天津悠《あまつゆう》の出した任務《ミッション》というのは謎の殺害事件を解決するというものだ。

 至って普通な内容ではあるが、恐らく蓋を開けてみれば疑問に思うことや不可解な点が様々出てくるのだろう。

 そして天津が話し終わると近藤たちが空港まで向かう為の車が停められている場所まで案内されると、そこにはいかにも高級そうな黒塗りの車が2台止められており、片方には荷物を、もう片方には怜達が乗る流れとなっていく。

 黒役によって荷物の収納はスムーズに終わり、怜達は早速車の中に入っていく。

 内装は非常に綺麗で、普通の生活をしていればこのような高級車に乗るという機会はないだろう。

 最後に近藤が怜達の乗っている車に向かって激励の言葉を残す。


「皆、くれぐれも気を付けて頑張ってきてくれ」


「はい」


「悠、4人のサポートは任せたぞ」


「元々皆の能力を引き延ばすのが目的だったんだし、当たり前でしょ」


「よし、頼んだ」


「はいよ~」


 会話が終わると車のエンジンがかかり、空港に向かって移動を始めるが、近藤は2台の車の姿が見えなくなるまでその場から動かずに見送る。


 社内ではロンドンに到着してからの動きの流れが説明された。

 予定では1週間ほどの滞在で、1日目は現地の事件解決班に担当されている能力者との顔合わせ、そして事件が発生した地域に移動して情報の聞き込み調査を行う。

 2日目以降は進行度にもよるが犯人確保に着手していくとのこと。

 

「……っていう流れなんだけど、今のところは大丈夫かな」


「問題ないです」


「だが、その謎の殺害事件の犯人が邪神ならばこの前のラティオマラのように強敵の可能性が非常に高い。1週間で足りるのか……?」


「そうなったら滞在期間を延ばすしかないね。ま、いざとなったら僕がサポートするから問題はないと思うけどね」


「あんた、一体何者なんだ?」


「僕はただの人間さ。《《ちょっと強いだけ》》のね」


 湖崎は天津に邪神の可能性があるのではないかと質問するとそういう質問を待っていたかのような受け答えをする。

 今湖崎の言っていたことは以前近藤が同様の事を言っていたが、この謎の殺害事件は邪神が行った可能性が十分にあるということだ。

 反怨者の犯行だという情報は今のところ現地からは来ていないことと、エピドロメアスは全ていなくなっている、邪神の一体であるラティオマラが動き始めたことによって他の邪神が便乗して地球を襲いに来ているといった様々な理由から邪神の仕業である可能性が十分にある。 

 しかし天津は邪神の事を脅威として認識していないかのような、余裕がたっぷりある表情でもしも邪神に対抗できなくなってきたら自分がサポートすると説明する。

 湖崎は天津の余裕ぶりを見て何者なのかと問うと、天津は目を瞑り、背もたれに取り掛かって微笑んで普通であり、ちょっとだけ強い人間だと答えたが、その回答でさえ胡散臭い回答に聞こえてしまう。


 空港まではおよそ30分ほどで到着し、海外便に向かっての持つ検査などを受けて待合席で搭乗時間になるまで再び待機する。


「いや~日本に戻って来たかと思えばまた海外か~」


「前もどこか他の国に行ってたんですか?」


「ああ、前回はアメリカだね。アメリカには皆も知っている通り世界で《《4人》》しかいない人工悪魔使いの1人がいる。その人と僕は縁があってね、用事で大体2年くらい滞在してたね」


「だから任務の発表の時にわざわざ英語で言ってたんですか」


「いや? ほら、英語で任務を言うと海外のエージェントっぽくなるからかっこいいかなって」


「そんな理由で!?」


 天津は4人に少し前までアメリカに滞在していたことを話し始めたが、人工悪魔の話題に切り替わった時、人数を5人ではなく4人として皆に言っていた。

 恐らく怜が5人目の人工悪魔だということは隠せと近藤に言われたのかもしれないが、今の天津はただの善意で怜が人工悪魔の適合者だということを隠しておいてくれたのだろう。

 陽凪が天津が今回と最終的な任務を英語で言っていたのはアメリカに2年間も滞在していたからなのだろうかと思って聞いてみるが、理由は単純明快で英語で言うとかっこいいからだった。

 先程までのイメージが一気に落ち、怜は思わず突っ込んでしまう。


 すると丁度アナウンスが鳴り、イギリス便への誘導が始まる。


『14時55分発、イギリス・ロンドン行にお乗りになられる方は6番口にご移動ください』


「お、時間みたいだね。じゃあ行こうか」


「はい」


「何も事故とかなければいいけどな~」


「それフラグじゃないですか……」


 天津が何かフラグのような言葉を口にしたが、天津同様に怜達も何も事故無くロンドンまで行ければいいなと思いつつ搭乗口に向かっていく。

 飛行機内に入って指定された座席まで移動し、全員が乗り終わってから10分後に飛行機は飛び始め、どんどんと地面が遠くなっていく。

 エルは丁度運よく窓側の席だったので、窓から見える景色を目をキラキラさせながら眺めていたが、その光景はとてもいとおしいと思えるような光景だった。


 飛行機が空を飛び始めてから1時間が経過したころ、前の方で女性の悲鳴のような声が飛行機内に響き渡った。


「きゃああああああああああ!!!!」


「全員聞け! この飛行機はジャックさせてもらった! 全員動くんじゃねぇぞ!」


(事故起きちゃったーーー!?)






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