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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
序章・前

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6.影はどこからでも

 目を覚ますと、地上で大の字で倒れていた。


 自分の体の様子を見てみると、貫かれた心臓が修復されており、切られた両腕も再生してその他の傷も全て完治していた。

 しかし周りの状況は最悪で、彼方此方のビルや建物が倒壊しており、火災が起こっているところもあれば車が爆発し大破しているところもあり、倒れている者や負傷し苦しんでいる人が沢山居た。


(すぐに終わらせないと、まずいな······)


 そう思った怜はすぐさま膝に手を当ててゆっくりと立ち上がり、再び使えるようになった飛行をフルパワーで使い人型のエピドロメアスの方に戻っていった。

 しかし人を殺害して生命エネルギーを吸収したのか、人型の姿は腕には無数の欠陥が浮かび上がり、顔は2つにっ分断して更に悍ましい姿になっているが、この時の怜は何故か恐怖を感じなく、心には余裕があった。

 すると人型のエピドロメアスは瞬間移動して奇襲を仕掛けてきたが、その一つ一つの攻撃がゆっくり見え動きを簡単にとらえることができているので、次は何処から攻撃を仕掛けてくるのかだったりといった予測なども感覚が研ぎ澄まされ躱すのは容易だった。

 攻撃を躱していく内にあちらも攻撃が当たらず焦ってきているのか攻撃が雑になり、斬撃は怜に向かってではなく、別方向にある建物などに当たる。

 そんなエピドロメアスには彼方此方に隙がうまれていたので反撃で腕を切り落とすと奇声を上げ動きが鈍くなった。

 動きが鈍くなった隙を逃さずに亜空間魔法を使ってもう一本短剣を取り出し、光の速さでエピドロメアスの腕や足を斬り刻んでいき、最終的に残ったコアも同様に微塵になるまで切り刻んだ。

 エピドロメアスのコアを破壊し、人型のエピドロメアスはゆっくりと消滅していった。

人型が消滅すると、他の通常のエピドロメアスも連鎖的に消滅していった。


 これで、予言の災厄は幕を閉じた。


 支配者が残した予言の災厄が終息したが、被害は甚大な物だった。

 倒壊した建物、瓦礫の下敷きになった人やエピドロメアスの攻撃で負傷した人など様々な被害を受けた。

 そこで何か役に立てないだろうかと思った怜は自分の能力を解析してみると、2つ、人々を助けることのできる能力があった。


・対象の物の時間を操る・フロヌ

・対象の怪我の治療・イアシ


 ディアボロスの力を全て解放した時に手に入れた力の内の2つの能力を行使し、建物の修復と怪我人の治療を被害の大きい渋谷全域を対象に能力を使った。

 すると空から透き通る緑色の雨が降り始め、その雨を浴びた者はどんな深刻な怪我だろうと完璧に治療されていった。

 それと同時にフロヌの能力を使うと空に大きな時計の紋様が現れ、時計のぜんまいがぐるぐると速く回っていくとその範囲にある建物をどんどんと修復していき数分後には予言前の今まで通りの渋谷の街風景に戻っていった。

 しかしこの2つの能力は使い切りのようで、能力を使った後は体から能力がゆっくりと消えていくのが感じた。


(これで、少しは貢献出来たかな)


 人々への貢献が終わった怜は飛行を使いその場を後にした。世界を救ったとて正体が知られてしまえばこれまでのような楽しい高校生活も送れなくなってしまうからだ。


◇1週間後……


 予言の日以降エピドロメアスのゲートが姿を表す事は無くなった。

 恐らくあの人型のエピドロメアスがボスで、奴を倒したことで他のエピドロメアスは完全に消滅したのだろう。

 怜はあの後対策本部にこっそりと足を運ぶと近藤からこれでもかというほどの称賛を浴びた。

 怜が気になっていたのは世界の脅威がなくなった今、対策本部は解散するのかというところだったが、この世界には未だ残っている事件があるようで、そちらの対策と処理にあたるとのこと。

 これで、世界に一旦平穏が訪れた。


◇1年後、とある少年


「う、うわあああ! ば、化け物!」


 少年は路地裏を歩いているとエピドロメアスとは違った奇妙な姿をした化け物に襲われそうになっており、じりじりと後退りをしていくものの『ドンッ』と壁にぶつかってしまい、後ろを見ると壁が建っており逃げ場が無くなってしまい、このままだとこの化け物に殺されてしまうと思い、強く目を瞑ると


バシュッ


 何かを斬るような音が聞こえ、何だろうとゆっくり目を開けるとさっきまでいた化け物は粉微塵に斬り刻まれており、目の前には身長が大体180cmの男性が片手に短剣を持って立っていた。


「大丈夫か?」


「お兄さんが、倒したの?」


「ああ」


「······ありがとう!」


 少年はその化け物を倒してくれた男性にお礼を言うと笑顔で頭を撫でてくれて、何処かに行ってしまった。


◇辻井怜・1年後


「ふう、これで今日の分は終わりかな」


 エピドロメアスが消滅して約1年が経過した。

 終息後は今まで通り友達と笑いながら過ごし、偶に行きつけのファミレスで食事を取り帰宅するという生活を送っていたが、最近になってからエピドロメアスとは別の化け物が少しずつ、現れるようになった。

 しかし単体での強さはエピドロメアスほどではなく、B級やC級の能力者でも難なく倒せる程度の強さだった。

 怜はその話を近藤から聞き、また前のように正体を隠して化け物を討伐していた。

 

 世の中には率先して助けてくれる人がいる。

 警察官や消防官、救急隊、現代では能力者も地球の危機から人々を助けてくれるようになったが、助けてくれるのはそういった公の場で助けてくれる人に限った話では無い。

 

 この世界には、影から命を救ってくれる存在も居るということを忘れてはいけない。


 だが、そんな辻井怜の元に新たな脅威が向かい始めていることは、この世のと(・)あ(・)る(・)人(・)間(・)1(・)人(・)を除いて知る由もなかった。


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