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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
序章・前

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5.予言

 とうとう予言当日になった。

 何故か3日前からエピドロメアスのゲートが世界各国から完全に消滅し、周りでは『予言なんて嘘なんじゃないか』と言った声で溢れていたものの、対策本部ではもしもの事を想定して日本のS級とA級の能力者を集めれるだけ集め、本部前で待機していた。

 念のため都心部の住民は出来るだけ避難させている。

 怜は本部から自宅で待機し、連絡があったらすぐに本部に向かうようにと伝えられていた。

 しかし連絡が中々来ないので怜も周りの人々同様に予言なんてデマじゃないのかと疑心暗鬼になっていた。


「予言、本当に来るのか······?」


 そう思った矢先にスマートフォンが振動し、本部から電話が来た。

 いつもはメールでのやり取りでしか連絡を取っていなかったが、本部から電話として連絡が来たのは今回が初めてなので余程緊急の事なのだろうと思い、すぐに電話に出ると、近藤が焦ったような声で話しかけてきた。


「辻井君、今すぐ来てください! 渋谷上空に巨大ゲートが出現しました!!」


「分かりました、今すぐ全速力で向かいます」


 怜は念の為すぐ動けるようにといつも討伐する時の服装でいたので、電話を切り急いで玄関を飛び出て隠密と飛行を使い、全速力で渋谷まで向かった。

 渋谷の近くまで来ると空には今まで見たことのない巨大なゲートが出現しており、その中から人型のエピドロメアスと思われる怪物に加えて大量のエピドロメアスが出てきていた。

 巨体のエピドロメアスはいつも討伐しているので見慣れていたが、奥にいる人型のエピドロメアスは初めて見た上に、一般人と変わらない大きさをしていながらもものすごい凶悪なオーラを放っていた。

 すぐさま討伐しなければ地球が終わるかもしれないと思い、他のエピドロメアスは無視し奥の人型の方に隠密で向かい、亜空間魔法で短剣を取り出して奇襲を仕掛けるも、奴は瞬時に氷の大剣を取り出して攻撃を防御してきた。

 一見重そうな大剣だが、奴にとっては造作もない重さなのか、片手で軽々と振り回していた。


(何!? 隠密が破られた?)


 隠密が破られた事で能力が解除され戦闘が開始する。

 隠密の唯一の弱点は、敵対した相手に隠密が見破られてしまうと自動的に解除され、一定時間使用が制限されてしまう点だ。

 戦闘が始まるやいなや、人型のエピドロメアスは反撃の隙を与えまいと次から次へと攻撃を仕掛けてくるので怜は短剣で防御するので精一杯だった。

 それに加えて、このエピドロメアスの動き、今まで経験してきた個体よりも何倍、何十倍も速く一撃一撃が重い攻撃が押しかかってくる。


(こいつ、強い……! 今まで戦ってきたどんなやつよりも!)


 防御しかできない状況でエピドロメアスは両手で大剣を握り、怜に目掛けて大きく振りかざしてきたので怜は片方の短剣を仕舞って空いた左手を短剣の棟《むね》を支えに使って攻撃を防御する。

 しかしこの防御で怜は両手が塞がってしまい、これでは次に来る攻撃を防ぐことができないと思った瞬間、人型のエピドロメアスは胴体を変形させて3本目の腕と体験とは別の細長い剣を生成し、がら空きになっていた怜の心臓を鋭く貫いた。


「がはっ······」


 心臓を貫かれ、動けなくなった怜は口から大量の血を吐き、飛行も解除され、エピドロメアスの剣に刺されて浮かんでいるところをエピドロメアスは剣を抜く。

 すると力が入らない怜はそのまま重力に逆らわずに地上に落ち始めるが、その時にエピドロメアスは追い打ちを掛けるように右腕と左腕を切断し、最後に蹴りを食らわせて怜を地上に突き落とした。

 突き落とされた瞬間、怜は意識が遠くなっていくのと共に見知らぬ空間に送り込まれる感覚に引き込まれる。


◇謎の空間


 その空間で目を覚まし、辺りを見回してみるとそこは森の中で、地面には色とりどりの綺麗な花が咲き誇っている。

 もしやここは天国なのだろうかと辺りを歩いていると、湖の上で黒い馬に乗った黒い甲冑を身にまとった兵士が湖の上で浮かびながら遠くの景色を眺めていた。


「お前は······」


「私は、ディアボロス。お前の力になっている悪魔だ」


「お前が、俺の力······」


 その兵士の名前は悪魔であるディアボロスと名乗り、此方を向いた。

 このディアボロスから漂っているオーラは近藤のオーラよりも大きく、このオーラの強さが自分の中に入り力になっていると考えると、今までエピドロメアスを1人で討伐できていたのにも力にも説明がつく。

 そんな中、自分は死んだのかと尋ねてみると予想外の回答が返ってきた。


「俺、死んだのか?」


「まだ、希望はある」


「本当か!?」


「しかしこれには危険が伴う。今のお前の力は私の力の半分に過ぎない。それを全て解放すれば、お前を殺した奴を倒すことが出来る。しかし、力を解放した影響で自我を失い、暴走し世界を滅亡に導くやもしれない」


 どうやら今までの力はディアボロスの全ての力の内の半分しか解放していなかった様で、それを解放し全ての力を使える様にする事であの人型のエピドロメアスを倒すことが出来るが、それにはデメリットがあった。

 それは力の暴走だ。全ての力を解放することで強大な力を手に入れることがで出来るのと同時に、力をコントロール出来なければ自我を失い暴走し、世界を破滅させる可能性があると言う。

 しかし、今の怜に選択に迷うといった余裕は無かった。


「それでも、世界を救いたいんだ」


「暴走した暁には、私自身でも止めることは出来ない。それでも良いのか?」


「構わない、これは賭けだ。ここで戻らなければどちらにしろ地球は終わる」


「······良いだろう」


 力を取り戻す事で暴走の危険性があるものの、ここで復活しなければどちらにしろ世界は滅亡する為、怜にとってこれは賭けだった。


 力をコントロールし世界を救うか

 力をコントロール出来ずに暴走し世界を滅ぼすか

 

 この賭けに、ディアボロスも面白いと思い、怜に全ての力を託すと、ゆっくりと姿を消していき、眩しい光が怜を包み込み、怜は思わず目を瞑った。

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