↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
第1章 2/3 The Hollow Ordeal 死島団戦篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
59/82

59.不穏な予感

 エルは見張りの2人を短剣で刺した後、森林の中に無我夢中で走って行き、たとえ息が上がったとしても自分の体が限界になるまで走りぬく。

 そして走ること15分、無我夢中で走っていた影響でここがどこなのかが全く分からないところまで来てしまった。


「ここ、どこ……?」


 エルが今いる場所の景色は森林という部分は変わらないのだが、その中に荒廃した大小様々な建物が何件か建っており、地面には全く舗装されておらずガタガタになった道路のようなアスファルトがある。

 まるで人類が居なくなってから数十年後の地球を表しているような情景だが、何故人間は遊戯《ゲーム》に参加している10人の他にはいないはずなのにこのような都市の一片のような場所があるのかは今のエルには分からなかった。

 エルはテラポーンの危険性も少なからずあったが、今は隠れる場所としてはいい場所と考え、恐る恐るその荒廃した建物の中に入っていく。

 中は思ったよりもカビの悪臭は漂っていないが、思っていた通り中まで草木が生い茂っていた。

 歩いていく中で、エルが見た事のあるような建物内の構造がいくつかあった。


「ここって、あの時の……」


 今エルがいる場所は怜と出会って間もない時に1度だけ行ったことのある、ショッピングモールの一角だった。

 ショッピングモールの一角としてあったのはフードコードで、テーブルには空の器や箸、スプーンなどの食器が散乱しており、天井には割れた蛍光灯やガラスが地面に散乱していた。

 ここで疑問なのはどうしてここに人工物をラティオマラが生成したのかという点だ。

 第一回遊戯《ゲーム》でも同じだ。目覚めた場所は西洋の建物を作り出していたのも未だ謎であり、一体なんの意味があって、どうやって人工物を作り出したのか意図が読めない。

 その後もそのフードコートをくまなく探索したが、あるのは使われなくなった食器類やテーブル、椅子だけで他に何か今後の手掛かりになるようなものは見当たらなかった。

 ここには何もないかと別の建物に移動しようとした瞬間、エルの後ろから何者かがこちらに向かって来ている足音が聞こえ、歩みを進めようとした足が一瞬にして硬直する。


(だ、誰……?)


 恐怖しながらももしかしたら怜達のメンバーの誰かが運良くこちらに向かってきたのかと思いつつ、ゆっくりと後ろを振り返ってみるとそこにいたのはオオカミの姿をしたテラポーンだった。

 見方かもしれないという淡い希望が一気に崩れ去り、エルは焦って再び全力で走ってショッピングモールの外に出ていくが、逃げるという動作をとったせいでオオカミのテラポーンはエルの方目掛けて追いかけてくる。

 外に出た時、扉の段差に躓いてしまい、転んで立ち上がれなくなったところに追い打ちをかけるようにテラポーンはエルの方に飛び込んでくる。


(嫌……! 誰か助けて……!)


 このままでは喰い殺されてしまうと思い心の中で誰でもいいから助けてほしいと目を瞑って強く願った時、遠くの方から銃声が聞こえ、エルを襲おうとしたテラポーンのコアに銃弾が命中して目をゆっくりと開けた時にはテラポーンは体が崩れ去っていっていた。

 目の前で襲われそうになった瞬間を狙ってテラポーンを倒したのだから今度こそきっと怜達が来てくれたのだと思って少しだけ表情が柔らかくなり、辺りを見回すと、エルの視界に移ったのは、頼もしい姿をした怜の姿ではなく、《《恐怖そのものと言っても過言ではない威圧感を醸し出している上城戸だった》》


「……ぇ?」


「ようやく見つけたよ、お嬢ちゃん」


◇怜視点


 エルの捜索を始めて30分が経過したが、ここまででこれといった手掛かりはなく橘が最初に見つけたハンカチしか見つかっていない。

 今頃敵チームに卑劣なことがされていないか心配だが、そこで怜は第1回の遊戯《ゲーム》で彼女に護身用として自身の短剣の片方を渡していたことを思い出す。

 あの武器は素人が使ったとしてもかなりの威力が出せる匹ではあるものの、懸念点はその武器が第2回遊戯《ゲーム》開始時にルールに接触する影響でなくなっていないかだ。 

 第2回は天使や悪魔といった能力系統が全て禁止となっているが、その範囲が第1回で出したままの武器にも適応されるのかが分かっていないことと、エルに武器は残ったままなのかを怜は聞いていなかったのでそういった様々な点からエルが自身を守れているのか怜はとても心配だった。

 

 そんなことを思いながらも進んで行くと、何者かの足跡が地面にくっきりと残ていた。


「この足跡は……人間か?」


「多分そうだろうね。テラポーンだとしたらもっと足跡は大きいはずだし」


「というか此処って、少し前に囮作戦で敵を倒したところの近くじゃないっすか? ほら、あの木の目印」

 

 怜達は人間の者と思われる足跡を発見した上に瀬戸口がこの場所が橘を囮とした作戦を行った場所の近くだということを思い出す。

 決めつけは瀬戸口が指を指した方向にある木に彫られている目印だった。

 その目印は作戦を行う際にこの目印が付いた木を敵が通ったら作戦を開始するという意味を模した目印であって、恐らく地面にある足跡を逆に辿っていけば運が良ければ敵の拠点にたどり着くかもしれないと踏んだ。

 そして橘は怜とアイコンタクトをとって後ろにいる他のみんなにこれからの進み方を指示する。


「皆、聞いてくれ。この足跡を辿っていけば、恐らく敵の本拠地を見つけることができるかもしれない。だから、いつ戦闘ができても問題ないように準備していてほしい」


「分かりました!」


「俺はいつでも行けますよ!」


「よし、進むぞ!」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。