51.突然の休息
突如与えられた10時間の休息、言い換えれば暫しの停戦時間に入るということだ。
この貴重な時間をどう活用するかで、休憩時間後の動きが変わってくることから、時間の割り振りはとても慎重に考えなければいけない。
「さて、どうしたものか……」
「急に休憩だなんて、少し変じゃないですか?」
「確かに、何かしらの罠かもしれませんしね。油断した隙にテラポーンが襲い掛かってくるようなこともあり得ないわけでもないですし」
ウィンドウは敵との交戦のみ禁止とだけ書いてあったことから、テラポーンとの戦闘は通常通り戦うことができる為、休憩と言っても気の抜けない休憩時間になる。
全員が一斉に眠れば、その時にタイミング悪くテラポーンに襲われてしまえば一気にゲームオーバーになることだって可能性は十分にある影響で、睡眠は交代制になるのが無難だ。
そして休憩ということは最初にあった物資補給の使用を検討しなくてはいけない。
今行った作戦のおかげで2人を倒すことができ、TPが100ポイントたまったので物資の補給が可能となった。
確実に、安全に物資を確保するのは今しかチャンスはないかもしれない。
もしかしたら休憩はこの1回しかないかもしれないことを想定して、この機会に使うのはなんらおかしいことではない。
「とりあえず、物資補給を使うのはどうでしょうか? 流石に地面の上で寝たりするのはちょっと……」
「確かにそれもそうだね。一先ず購入の手続きはあたしがやろう」
橘が購入の手続きをすると言ってウィンドウを開いて購入画面を開くと、枠は3つまであることから一回の使用につき3個まで購入ができることん位なるが、思ったよりも数が少なく、買う物は慎重に選ばなければと全員が案を慎重に出そうと考える。
確認として適当な物を3つ選んで購入決定画面の直前まで行くと、どうやら値段指定はないようで、3つの枠内に好きな物を入れることができるようだ。
「このシステムはどうやら個数指定はあっても値段の指定はないっぽいね。ここは、必要不可欠な物を3つに絞って選ぼう。皆も何か意見を出してくれるとありがたい」
「テント!」
「寝袋」
「食べ物……」
「明かり!」
「一斉に来たな……」
橘が案を出してくれと頼むと皆一気に意見を出してきて橘は確認をするのに一苦労だったが、チームの全員が出した物はどれも必要な物ばかりだった。
そんな中で30分ほど考え抜いた結果、購入する3つはテント、食料、そして飲料水だった。
遊戯開始時点で食料と水は配布されていたが、1日凌げるかどうかの量だった為、制限時間いっぱいまで戦うことを想定するのならば、やはり補給は重要だ。
早速橘はウィンドウから注文決定画面まで行き、完了の部分をタップするとしばらくしてから上空からドローンのようなもので物資が運ばれてきた。
その中には男女で2つのテントと人数分の食料と飲料水が入っていた。
そして全員でテントを組み立てて、完成した後は男女で別れてテントの中で休憩することにしたが、その間の外の見張りは男性陣にお願いすることにした。
人数が女性陣より多いことから、テントの中が窮屈なこともある。
「急に暗くなってきたっすね」
「確かに、さっきまでは曇りの空だったのに」
「不気味っすね~」
瀬戸口の言う通り先程まで曇りの昼空だったというのに一気に夜空が広がった。
何かしらのイベントが始まる予兆なのか、それともただ単に時間が経過して現実世界のように昼から夜に変わっただけかもしれない。
どういうことなのか考えたいところだが、この貴重な時間を無駄にはしたくなかった為、怜は他の3人にテントで休んで大丈夫だと言っておく。
「まずは俺と瀬戸口さんで見張りをします。皆さんは先に休んでいてください」
「大丈夫なのか? ほら、さっき反怨者と戦った後にテラポーンとも交戦したんだろ? いくら何でも動きすぎじゃあ……」
「……確かに怜さんはさっき反怨者とも、テラポーンとも交戦したっすけど、仮に3人の中で見張りをやるとしてA級のテラポーンを相手にできるんすか?」
「それは……」
「それに、今回は怜さん1人じゃないっす。俺も見張りとしての任務をしっかりと行うっすよ! さっきはへましちゃったっすけどね……はは」
先ほどまで激しい戦闘を行っていた怜がこのまま活動し続けるのに対して心配の眼差しを向けていた休憩組の3人だったが、重い空気の中で瀬戸口がもしもA級と戦闘するとなった時に戦えるのか、テントの中にいる人たちを守りながら逃げ切れるのかと問うと3人は言葉を詰まらせた。
瀬戸口の言う通り、他の3人ではA級のテラポーンを相手にすれば確実に瞬殺されてしまう。
A級を相手にできるのは今のところ怜か橘の2人しかできない為、必然的に見張りを行うのは2人のどちらか片方が見張りに出なければいけない。
瀬戸口はそんな中でも自分が一緒に任務を行うと胸を張って言うが、最後には先程のテラポーンの時に誤ってくしゃみをしてしまってテラポーンに気づかれてしまったことを苦笑いしながら反省していた。
「さて、ここから休憩時間の半分、しっかりと見張りを行うっすよ!」
「はい」




