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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
第1章 2/3 The Hollow Ordeal 死島団戦篇

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41.死島団戦・開幕

 ◇第2回 遊戯(ゲーム)  死島団戦(しとうだんせん)開幕

 残り時間72時間

 生存人数 赤チーム10名 青チーム10名


 全員がスタート地点に立ち、赤いレーザーが時間になり消滅した瞬間に一斉に橘チームと怜チームに別れそれぞれ西と東の方向に向かっていく。

 スタート地点はこれから殺し合いが行われるとは思えないほどの綺麗な海が広がっている砂浜で、今から向かおうとしている先はまたもや森林だった。

 幸いなことに今回は前回のように濃い霧が立ち上っているわけではなく、むしろ視界はとても良好のため、視界をあまり気にせずに立ち回れるのは怜だけではなく他のメンバーもよかったと思っていた。

 

◇怜チーム視点


 怜のチームは東方向に向かっており、周辺のマップを理解しておくということも踏まえて隅々まで探索していた。

 今回は無限迷宮《インフィニティ・ラビリンス》のように無限にフィールドが広がっているわけではなく、島の直径約10kmと設定されているのでこうして早い段階で少しでも地形を理解しておくことでこの先戦闘になった際に地の利を生かした作戦が使えるかもしれない。

 ゲームウィンドウにはこの島の簡易的なマップが表示されており、マップ内には自分の現在地と自分のスタート地点が青くマークされている。

 探索を初めて15分が経過し、ひとまず休憩ということで

 

「リーダー、あんたは俺たちをまとめる役だ。何でも言ってくれ!」


「わかりました。ありがとうございます」


「それにしても、怜さんって本当に第1回だけで150点も稼いだんですか? なんだか、まだ信じきれないというか」


「あはは……」


「それだけの実力があるなら、もしかして明夏音さんと同じA級だったり? ランクは何ですか?」


「あ、えっと……」


 休憩時間に山村が自分を頼りにしていると声をかけてくれたことはとても嬉しかったが、問題はその後に声をかけてきた内田と神崎の女性陣だった。

 彼女たちは怜が自己紹介の時に言っていた所持点数が150点あるというのが未だ信じられないようで、怜にどんどん質問をしていき、1回目は愛想笑いでごまかせたが、神崎がランクの等級を聞いてきた瞬間に怜は一気に冷汗が止まらなくなった。

 何せ人工悪魔にはランクがないからだ。

 世界にたったの5人しかいない上に力に関しても未だ研究を続けているので力の最大値が未知数だからだ。

 しかしランク査定するならば確定でSには上り詰められるほどの力を怜は有している。

 貴重なS級能力者だということがバレてしまえば、どうなるのか見当もつかないが、隠して嘘をつくのも逆に怪しまれるかもしれなかったので、怜は人工悪魔だということだけを隠して神崎達に話す。


「実は、つい先日に能力者として覚醒したので、ランク審査はまだ受けていないんです」


「そうなんだ。ちょっと残念」


「だけど怜君ならきっとS級に行ける実力があるよ!」


「その通りっす!」


「そういってもらえると嬉しいです」 


 先日覚醒した、というのは嘘ではないがランク審査がないのにまだ受けていないと嘘をついたのは少しだけ罪悪感がわく中で、チームのみんながランクについて応援の声を上げてくれるのでさらに罪悪感がわいてくる。

 こんなにも応援してくれるのに、実は日本初の人工悪魔の適合者だということを知ってしまったらどんなに落胆されるのか、どんな反応をされてしまうのかと考えると怜は鳥肌が止まらなくなる。

 だからこそ、怜は人工悪魔の事はエルや近藤局長、霧野といった関係が深い人にしか情報は言わずに他の人には何も言わない。

 もしも自分が人工悪魔ということが知れ渡ってしまえば、能力を狙っている悪人が怜本人だけでなくエルなどにも被害を及ぼしかねない点から、接点がない人に無暗に情報を伝えるのはかなりリスクがある。もし仲間の中に内(・)通(・)者(・)がいる可能性もないというわけではない。

 そんな危険性もあるため、怜は何がどうであれ正体がバレてはいけない。


「そろそろ行きましょうか」


「よし、ついていくぜリーダー!」


 山村がいつものように元気のある声で怜の言葉に賛成した時、右側の木の裏で枝が落ち、木の葉がすれるような音が聞こえたのでその方に全員が視線を向けて、怜が他のチームメンバーとアイコンタクトをとり物音がした方向にゆっくりと向かっていく。

 そこには怪しいものは何一つなく、あったのは物音を引き起こしたであろう木の枝が落ちており、怜はその枝を手に取る。


(ただ枝が落ちてきただけか……)


 そう思っていた瞬間、スナイパーが銃弾を発砲した音が鳴り響いた1秒後、後ろにいた内田美南と山村誠二の2人のこめかみが撃ち抜かれ、その場に倒れる。

 怜は反応速度が速い方ではあるものの、弾丸のような視認できないほどの速度で飛んでくるものが1秒後にターゲットに着弾するものなど反応できるはずがない。

 倒れた人を見ることのできないまま、すぐに次の襲撃に対処するため、腰につけていたポーチからライフルをとりだして敵がどこにいるのかを索敵するも、相手の姿はどこにも見当たらない。


【青チーム 内田美南・山村誠二、死亡。青チーム残り8名】


「どこだ……?」


「居ないっすね……」


 瀬戸口と神崎も怜に続いて敵の索敵を開始するも怜と同じく敵を見つけることができずに空間には静寂が続く。

 1分ほどが経過したところでどこからかパチパチと手を叩く音が聞こえるが、姿は未だ見えない。


「素晴らしい対応能力。死んだ味方よりも敵の索敵に時間を使う……」


「誰だ! どこにいる!」


「ここだよ」


 声の方に視線を向けると声の主は木の上に立っており、その姿はベージュ色のロングヘアーで後ろで髪を結っている男だった。

 すぐにその男に対して銃口を向けるが、男は反撃の意思を見せるどころか、右手で静止のポーズをとる。


「待て待て、今の状況は1対3。私の方が圧倒的に不利だ」


「何がしたい?」


「それは勿論、正々堂々の 勝負(タイマン)だよ」


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