36.遊戯・脱出③
◇遊戯終了まで、あと15分(湖崎視点)
陽凪が脱出した後、湖崎は制限時間まで低級のテラポーンを討伐し少しでも死点を200点に近づけるためにあえてゲートには入らずに森林内を周回していた。
今では湖崎の死点は175点にまで行き、あと少しで願いを叶えるために必要な200点に届く。
そしてゲートに入らなかった理由はもう1つあり、それは怜の安否確認だった。
陽凪と遭遇した時にはエルと怜の姿はどこにもなく、彼女1人だけだった。
湖崎は恐らく2人はエルを最優先で脱出させ、自分達はその後に脱出しようという計画は読めたが、怜は陽凪を置いて先に脱出はしないだろうと考えていた。
それならば彼はまだこの空間に残ってゲートを探しているだろうと思い、死点稼ぎのついでで怜の捜索も同時並行で行っていた。
湖崎からしたら彼の安否なんてものはどうでもいいのだが、約束を結んでいる以上、彼が死んでしまうのは湖崎にとって不利に働く可能性があるため、残り所間を使って探している。
「あいつは今、どこで何をしているんだ……」
◇怜視点
湖崎が探している中で、怜はゲートを探すことを最優先に行動していたが一向にゲートが見つからずに焦り始めていた。
それに加えて数分前に透兵がA級テラポーンに敗れてしまい、自身の体内から魔力が消えていったのを感じ取り、エルと陽凪が無事に出れたのかもはっきりとわからない状況が続いていた。
「残り時間は15分か……流石にずっと走りっぱだとしんどいな。テラポーンもここ15分は1体も見てないし、いったいどうなっているんだ?」
怜はエル達と別れてから少しでも早く脱出のゲートを見つけようと森林内をずっと走り続けていたのでその疲れからか、顔には汗が流れていた。
そしてテラポーンにはかれこれ15分は見ておらず、何か起きそうな予感がしてならなかった。
「急がないとな」
様々ばことが重なって起こっていることから、ますます急がないとと危機感を感じ、深く息を吐いた後、再び怜は走ってゲートの捜索に向かった。
しかしその後もテラポーンには出会わず、ゲートも見つかる予感すらしない状況が続き、 残り時間はあと5分にまで迫った。
もう何キロ走ったかもわからず、ただ闇雲に走っていたその時、霧の中から人影がこちらに近づいてきているのが見え、刀を構える。
その姿がはっきりと見えるようになり、その正体は湖崎だった。
「湖崎?」
「やはり、まだいたか……」
「どうしてここに?」
「俺はただ時間内にできるだけテラポーンを倒して死点を稼いでいただけだ」
「だからテラポーンが居なかったのか……」
先程からテラポーンと出くわさなかった理由というのは湖崎が片っ端からC級とB級のテラポーンを討伐していたからだった。
S級とA級は遭遇率が低く、その上戦闘開始から討伐までの時間が長引いてしまうため、遭遇したとしても戦闘は避けようと考えていた。
「もうゲートは見つかったのか?」
「いや、まだ……」
「はあ……どうせあの2人を優先して自分は最後に脱出できればとでも思っていたんだろ?」
「っ……」
湖崎はどうして怜が残り少ない時間で脱出できていないのかは大方見当が付いており、それが図星だった怜は言葉に詰まってしまう。
思い通りの反応をしていた怜を見て、湖崎は彼がどこまでお人よしなのだろうかと呆れてため息を吐く。
そして湖崎は後ろを向き、今来た方向に戻る形で足を動かす。
「どこ行くんだ?」
「俺が今来た道の途中でゲートが2つあった。そこに向かうぞ」
湖崎は陽凪と会う前に1つ、怜と会う前にもう1つゲートを発見していた。
それを聞いた怜は彼が約束を守ってくれていたことが嬉しく、笑みをこぼしながら湖崎の後についていった。
◇
「……やられた」
最初に怜と会う前に発見したゲートの方に向かったが、最悪なことにゲートはすでに閉ざされており、発見していたゲートを1つ失ってしまった。
今まで順調に進んでいたのに、この最終局面という場面で壁にぶつかってしまい、思わず湖崎は舌打ちをする。
怒りの表情をしている湖崎に、怜はそっと近づく。
「最初に見つけたゲートの方に行こう。こうしている間にもこのゲートみたいに奪われてしまうかもしれない」
「……ああ」
立ち止まっている間にも、このゲートのように他の誰かにゲートを先取りされてしまうかもしれない上に、もう時間もあと10分を切ろうとしていた為、急がなければいけない。
そして怜と湖崎のどちらかはもう1つの脱出のゲートを残り10分で見つけなければいけないため、残り時間はとても貴重なものになってくる。
しかしここで疑問なのはゲートの数はいくつあるのかという点だ。
鍵が1万個と数に限りがあるのは2人は承知しているが、ゲートの数は鍵と同じ数あるのか、はたまた鍵の数よりも少ない数で設置されているのか、そこの点がまだ分かっていないが、2人にとっては鍵と同じ数で設置されていてほしいと思っている。
そして2人は急いであと1つのゲートに向かって走り始めた。




