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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
第1章 1/3 The Hollow Ordeal 無限迷宮篇

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33.人工悪魔・透兵

 怜は新しい作戦を思いついたと言うと、空に手をかざし魔力を放出すると半透明の兵士が3体出現した。

 1体は槍を持った兵士、1体は弓を持った兵士、1体は大きな盾を持った兵士がそれぞれいる。


「これは……?」


「俺の能力、兵士の召喚だ」


 人口悪魔の能力は亜空間魔法、飛行、隠密の他にも兵士を最大3体まで召喚できるといった能力がある。

 怜は普段から亜空間魔法や飛行、隠密を使っていたので兵士を召喚できる能力を持っていることを完全に忘れていた。

 するとあらゆる能力を使えることに対して陽凪が驚いた表情で怜の方を見つめていた。


「なんで、複数の能力が使えるんですか?」


「え?」


「能力者は、基本的に1人1つだけしか能力を保持できません。わたしは、行動抑制 《ムービング・レストレイント》しか使えませんし、湖崎さんも明晰暗殺《ツリルート・ミトナケッシュ》しか使えないはずです。なのに、辻井さんはわたしが見たものでも3種類はありました」


(しまった……もしかして、能力を複数使えていたのって単に人工悪魔のおかげだったのか……)


 陽凪は怜が能力を複数所持していることに疑問を感じ怜に質問してくるが、怜はてっきり能力者は自分と同じように複数能力を持っているものだと勘違いをしており、今まで派手に動きすぎてしまったと気づく。

 日本初。世界で5人目の人口悪魔の適合者だということは決してバレてはいけないと近藤から言われているので、たとえ仲間である陽凪にでさえ自分が人口悪魔だということは気づかれてはいけない。

 この後も自分の能力のことに質問責めされるのかとひやひやしているところで、陽凪が次の会話を始めようと口を開ける。


「……まあ、この話は、またの機会にしましょう。時間も、あと50分しかないですから」


「そ、そうだな」


 とても心臓に悪かったが、内心この件の会話が先延ばしになってひとまずは安心の息を吐く。

 陽凪の言う通り、あこうしている間にも残り時間は刻一刻と減っていっており、残り時間は50分だ。

 時間が無いため先ほど召喚した兵士、【透兵(とうへい)】を使った作戦を簡潔に話す。


「時間が無いから作戦について少し手短に言う。質問は悪いが無しで頼む」


「わかりました」


「まずこれからの50分間は二手に分かれる。俺は単独で自分の鍵とついででゲートを探す。2人は透兵と共にゲートの捜索を頑張ってほしい」


「それなら危険性も減りそうですね」


「ああ、ここからは脱出までしばしの間離れることになるけど、お互い無事を祈ろう」


「はい」


 ここからの50分間は怜、エルと陽凪の二手に分かれることにし、エルの方に怜が召喚した透兵を護衛に就かせる方針で行くことにした。

 透兵の能力値は怜の半分と湖崎のような相手には力が及ばないが、A級までのテラポーンなら難なく倒せる程度なのでそれほどの力を持った護衛が3体もいれば問題はないと判断した。

 お互いに軽く手を振り、怜は左、エルと陽凪は右に向かっていく。


◇怜視点


 別れた後は時間が無いことを考慮して怜は走って濃霧の森の中を捜索し始める。

 すると走っている間に上からテラポーンが落下しながら攻撃を仕掛けてくるが、それを怜は難なく回避してテラポーンと距離をとる。

 今回のテラポーンは長い槍を持った個体だった。

 槍の長さはおよそ3メートルと長く、槍使いの透兵が使っているもので2メートルなのでこれは苦戦するかもしれないと思ったが、長い槍を使うことで生じるデメリットもある。

 それは操作性の精密さが低いことだった。

 怜が使っている刀や短剣といった短い武器は小回りが利きやすく、精密な攻撃や防御が可能となるが、武器の全長が長くなるにつれ扱いが難しくなりそれに相まって操作性も刀などに対して劣る。

 怜はそのことを瞬時に判断して刀ではなく短剣を1本取り出してテラポーンに向かっていく。 

 先程のエルのおかげで冷静な判断をとり続けることができている。

 残黒刀ではなく短剣を取り出したのは単純に今回の戦闘では短剣の方が使いやすいと感じたからだった。


 丁度隠密の制限が解除され、すぐに怜は隠密を使いテラポーンが槍を真っ直ぐ突き出したのを見た瞬間に右から回り込み、短剣をくるりと回転させて背中にノールックでコアに短剣を突き刺した。

 

【B級のテラポーンを討伐しました。辻井怜に10点が加算されました】


 今倒したテラポーンはB級だったようだが、これまでに何回も戦闘をしたおかげでテラポーンの行動パターンなどが分かってきていた

 これでポイントは65点になった。

 そして倒したテラポーンが崩壊したとき、何かを腰のあたりから落としたのが見えたので落ちた地面を見てみるとそこには脱出の鍵が落ちていた。


「何でテラポーンが鍵を……? 鍵は宝箱からしか手に入らないはずじゃ……」


 鍵は宝箱から手に入ると確かに最初に見たこの遊戯の紙に書いてあったはずだが、こんなパターンがあるのかと少し困惑しながらも怜は落ちた鍵を拾うとゲームウィンドウが開き鍵の詳細が出た。


【脱出の鍵を入手しました。4821/10000】


 「4821……? 確か陽凪の分の鍵は5000番台の鍵だったよな? どうしてそれよりも早い番号の鍵がここに……?」


 怜が今手に入れた鍵の番号は4821番だったが、陽凪の分の鍵、2本目に手に入れた鍵の番号は5719番と怜が今持っている鍵の番号の方が若い。

 もしかして鍵を手に入れた感染者が今倒したテラポーンに殺されてしまい、持っていた鍵を回収された鍵を自分は今手に入れたのか、と考える。

 ひとまず鍵は手に入ったので今後に重要になってくる手がかり以外はスルーするのが得策だと思い、鍵をポケットにしまい、次は脱出のゲート探しにへと向かおうとした時に急にウィンドウが開いた。


【C級のテラポーンが倒されました。辻井怜に5点が加算されます】


「何で急に5点が……?」

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