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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
序章・前

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3.初任務

 人工悪魔の適合者となった怜は、その日は諸々の登録等を行った後は対策本部の入口で近藤と挨拶を交わして来た時と同じ様に黒服の車に乗せてもらいアパートに帰宅した。


「では、これからよろしくお願いいたします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 アパートに着いた頃には時刻は既に0時を回っており、この短時間で様々な事が起こったことからの疲れで風呂に入る気力も残っていなかったので、怜は帰宅後すぐにベッドに飛び込み、目を瞑るとすぐに深い眠りへと付いた。

 翌日目が覚めたのは昼前の午前11時頃だったが、今日は土曜日ということもあって学校は無いので安心した。


 人工悪魔の力を手にしてから数日が経ったが、対策本部からの連絡は一切来ておらず怜は今まで通りの普通の高校生活を送っていた。

 念の為ニュースやSNSを確認してみるものの、上手く近藤が隠してくれたお陰か人工悪魔に関するニュースや記事は1つも見当たらなかった。


「連絡は来るとは言われたものの、もう3日は経過してるのに一切来ないぞ······?」


 そんな中、家の中で自分の手にした能力を粗方探ってみて分かったことは5つ


・自分の姿を隠せる隠密

・亜空間魔法による武器の出し入れ

・毒や呪いなどデバフの解除

・何体か兵士を召喚可能

・飛行


 どれも便利な能力ばかりだった。

 今のところこの5つの能力が判明しているが、もっと深く追求すれば他の凄い能力も分かると思うが、ここは広いとは言い難いアパートの中だ。強力な力が出ようものならアパートごと破壊しかねない。

 なのでエピドロメアスに自分の力を大いに振るって力を確かめたく対策本部からのエピドロメアス発見の連絡を待っているが、もうかれこれ3日間も来ておらず、家の中でまだかまだかと待機してはいるものの、連絡が来ないものだから暇で仕方なかった。

 

 適合者になってから1週間が経過した頃、ベッドで寛いでいると机においてあるスマホが振動し、何の通知なのか確認すると対策本部からエピドロメアスの出現連絡だった。


(ようやく来たか、エピドロメアス······!)


 すぐに着替えなどの支度を済ませ、連絡があった指定の場所に隠密と飛行を使い、すさまじい速度で現場に向かう。

 連絡があった場所は東京都江戸川区の中心地のビル前の道路で、怜が現場に着いた頃には既にエピドロメアスが完全に姿を表しており、住民は悲鳴を上げている者や慌てて逃げ出している者など沢山おり、エピドロメアスは今にでも暴れそうな雰囲気を出していた。

 

(居た! あいつがエピドロメアス!)


 怜はエピドロメアスは今まで教科書やSNSにアップロードされていた写真でしか見たことが無かったが、目的地に着いて始めて実態をこの目で見ると教科書で見たものとは別格の悍ましく気色の悪い色をした機械の怪物だった。


 時間を食っていては他の能力者が来てしまう為、速攻で終わらせようと亜空間魔法で短剣を取り出した。

 エピドロメアスは基本的に本体が大きく動く事は無いものの、目と思われる所からのレーザービームだったり、伸ばした腕のようなもので攻撃してくるのが普通だ。

 エピドロメアスの弱点は本体が動かない為、攻撃を躱して懐に入り込めれば簡単に倒すことが出来る点。

 そこで怜は隠密と飛行スキルを併用して奴らの弱点である後部のコア目掛けて進み、レーザービームや斬撃といった攻撃を躱しながら周りの建物を優位に使って移動する。

 街灯を掴んで遠心力で上空に飛び上がり、エピドロメアスからの強力な一撃を回避すると飛行で瞬時に方向を変えて回り込み、短剣を両手で得強く握りしめて弱点であるコアに突き刺す。

 するとエピドロメアスは奇声をあげ爆発し、消滅した。


(この短剣、切れ味凄いな)


 正直短剣の攻撃一発ではこの巨体を倒せるとは思っていなかったが、短剣の切れ味とあまりにも高い攻撃力によって一撃で倒せてしまったので驚いた怜だったが、正体を隠さなければいけない現状だったので、素早く倒せたのは良いことだったと感じた。

 倒した後、遠方から能力者の攻撃隊が向かってくるのが見えた為、怜は素早くアパートに戻ろうと亜空間魔法で短剣をしまった後飛行を使って現場から飛び去っていく。


 十分後には通報を受けた能力者達が駆けつけてきたが、その頃には既に怜がエピドロメアスを倒していたのでその戦いで起きた被害の光景しか残っていなかった。


「あれ? エピドロメアスが居ない······」


「もう何も残ってないですよ。誰かが先に倒したんじゃないですか?」


「一体誰が······」


 駆けつけた攻撃隊は一体誰がエピドロメアスを仕留めたのか謎の状態で、一先ず対策本部にエピドロメアスの消滅を報告した。


 アパートに帰宅し、スマートフォンで局長に直接エピドロメアスを倒した事を連絡すると直ぐに『お疲れ様です。また出現した際には連絡します』とメールが送られてきていた。


 初めてエピドロメアスを討伐する事が出来た。それも1人で。


 普通ならば遠距離と近距離型の悪魔の能力者、そして回復薬と強化、もしくは守備の天使の能力者の合計4名が最低でも必要だが、怜の場合は力が強すぎるあまり、回復も守備も一人でこなしてしまう為必要無く、たった1人で倒すことが出来る。

 そのため、帰ってきた時には自分1人で倒すことができたことに対して幸福感といった嬉しさが込み上げてきていた。

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