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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
第1章 1/3 The Hollow Ordeal 無限迷宮篇

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27.襲撃

 ようやく1本目の鍵を手に入れる事が出来た。


「やりました! ようやく1本目の脱出の鍵ですよ!」


 鍵を見つけた事でエルと陽凪は手を握り合って喜んでいたが、怜はその間に鍵を手に取るとウィンドウからその鍵の説明がされた。


【脱出の鍵を入手しました。90/10000

 この鍵は譲渡可能で、使用可能は残り時間1時間以降に出現するゲートに使用ください。しかしゲートには1人しか入ることが出来ないのでご注意下さい】


 最初に書いてあった【90/10000】というのは鍵を入手した順番ということなのだろうか。

 そういう事ならば第1回の遊戯(ゲーム)で生き残れるのは最大1万人という事になるが、何十万人と参加している筈なのに何故最初から半数以上を失格対象にするのだろうか、と怜は疑問を抱く。

 しかし、もしこの1万という数字がゲートごとのクリア可能人数だとしたらなんとなく納得出来そうではあるが、それでも仮に他のゲートのクリア可能人数が怜達と同じ1万人だとしても合計で第1回の合計クリア可能人数は5万人。それでも少なく感じる。


(生還者を数えれる程にするのか……? 奴(ラティオマラ)はどういう意図で動いている……?)


 ラティオマラの意図が掴めず、この遊戯(ゲーム)を行なっている理由であると思われる特(・)待(・)生(・)を選び出す訳とは一体何なのかわかない状態が続き頭が混乱する。

 単純かも知れないがラティオマラは特待生を自分と戦わせようとでもしているのだろうかと考える。


 一先ず今はこの事を考えるのは後回しにし、鍵を握っていた手の力が緩み始めていたので再び鍵を強く握り締め、エルの方を向いて鍵を差し出した。


「エル、この鍵はお前が持っててくれ」


「え!? でも、お兄さんが持っていた方が……」


「この3人の中で逸早くクリアし無ければならないのはエル、お前だ。それに、俺がもし先に死んだら折角手に入れた鍵を無駄にしてしまう。陽凪も、最初に脱出させるのはエルで構わないか?」


「わたしも、エルちゃんが最初に脱出するのに異論は無いです」


「助かる」


 エルは自分より怜や陽凪が先に脱出するべきだと鍵を受け取るのを断っていたが、怜の言っていた様に、先に怜や陽凪がやられてしまった時にエルを守れる存在が居なくなると、確実にテラポーンや好戦的な人間に鍵を奪われる、もしくは殺されてしまう為、エルが最初に脱出するのはかなり合理的だ。

 陽凪にも一応確認を取ると、すぐに頭を縦に振ってエルが鍵を持つことに賛成した。

 エルは少し不服ながらも怜から鍵を受け取りポケットに仕舞った。


 その後も順調に進んでいき、残り時間2時間半時点でテラポーン3体を討伐し怜の合計所持点数は70点に達した上に宝箱2つを発見でき、その中の1つには2本目の脱出の鍵が入っておりこれで残りの脱出の鍵は1本となった。

 

 2本目の鍵は陽凪に渡した。

 今の怜の力なら1人でも鍵は捜索出来るほど魔力が残っている上にこれまで人と何人か出会ってきたが、どの人も鍵を探すのに夢中で他の人を殺して鍵を奪うことなんか眼中に無いような目をしている人ばかりだった為、好戦的な人とは出会っていないのが大きい。

 そして先程手に入れた2本目の鍵の入手番号は【5719/10000】と気がつくと既に半数の鍵が感染者の手に渡っている。


(残り本数は4281本、あまり時間が無いな……急いで俺の分の鍵を見つけないと)


 鍵を探すことが出来るのは脱出ゲートを探すことを加味した上で残り1時間半とあまり時間がありそうで無い。

 こんな時に好戦的な人間と出会ってしまうのはやめて欲しい、と考えながら森を進んでいくと、背後から何者かの気配がしたのですぐに亜空間魔法で刀を取り出し後ろを振り向くと剣を持った男が此方に目掛けて走ってきていた。

 男は怜達の方に近づくと大きくジャンプし、上から斬りつけるような形で襲いかかってきたが、あらかじめ刀を取り出し準備をしていた怜はすぐに戦闘体制を取ることができ、うえからの攻撃を防御し男を軽く薙ぎ払い距離を取る。


「エル、陽凪、後ろに下がってろ」


「わたしも手伝います……!」


「駄目だ、こいつは明らかに格上だ」


 陽凪は杖を持って怜のサポートに回ろうとしたが、怜の見立てではこの男は陽凪寄り明らかに2ランク以上の力の差があると考えて陽凪のサポートを断り、隠れるように強く言う。 

 2人を隠れさせたのと同時に男はゆっくりと此方に歩いてきていた。


「お前、何者だ」


「お前に名乗る必要など無い。今から3人全員殺して300点を取るからだ」


「最初から勝つ気満々とはな……」


(やっぱり、こいつは強そうだな。今の俺と同等、もしくは一段階俺が下……)


  何者かと怜が聞いても男は名乗らずに剣先を怜の方に向けて今すぐにでも怜を殺すという殺意が感じられ、思わず額から汗が1滴、滴り落ちた。

 佇まいや外見からして、怜は戦わずともこの男が自分と同等か、それ以上の力を所持しているなとすぐに感じ、思わず今の自分で勝てるのかと考えてしまう程だった。

 今の怜の残り魔力は7割か6割と言った所で、惨黒刀に刻まれている魔力を足しても全快というわけではなかった。


 怜にとって、初めての人間同士の戦いが、今始まる。


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