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人工悪魔は影から  作者: イワスズタ
第1章 1/3 The Hollow Ordeal 無限迷宮篇

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20.再会

 近藤は天津の思い通りに4年間で変わった外見に驚いており、その驚いている表情を見て天津は軽く笑った。


(先ほど天津が来たとは職員から聞いていたが、本当に来るとは……)


「今日はどういった要件で来たんだ、天津」


「昨日の朝まで海外を転々としてて、丁度今日の朝、日本(こっち)に帰国したから、一応恩(・)師(・)に挨拶をと。あ、単に任務が面倒になったから海外逃亡してたわけじゃないよ」


「相変わらず、口は軽いままだな」


 天津の音信不通の理由はいたってまともだが、最後の冗談交じりな所は4年前と何ら変わっていないようで、久々に彼の冗談を聞いて近藤はクスリと笑った。

 そして天津が口にしていた恩師というのは、天津はもともと孤児で、小学生低学年の頃に街をふらふらと歩いていた所で天津は近藤と出会った。

 それからというもの天津は近藤のもとで生活を始め、学費や生活費など天津が成人になるまでの間殆ど近藤が負担してくれていた。

 そういった点から天津にとって近藤は恩師、極端に言ってしまえば実の父親の様な存在だった。


 天津がソファに座ると近藤がお茶を自ら2人分用意し、机に用意してくれた。


「どうも」


「それで、どうして3年も音信不通だったんだ?」


「話すと長くなるんだけどね、高校を卒業して数週間が経った頃、アメリカの人工悪魔の適合者から僕に直々に連絡が来てね」


「アメリカ……リアム・ヴァンスか」


「そ」


 アメリカの人工悪魔の適合者、リアム・ヴァンス。

 今から7年前、リアムが25歳の時にアメリカで世界初の人工悪魔の抽出に成功し、その適合者として彼が抜擢された。

 リアムは元々アメリカ海軍の大将ということもあって身体は勿論、精神力なども完璧と言っていいほどの者だったので、周りも何一つ反対せず、逆に称賛の嵐だった。

 そんな彼から直接アメリカの共同任務のオファーを貰っていたという事実に近藤は少し驚いていたが、天津程の実力ならオファーを貰ってもおかしくはないかとすぐに納得できた。

 

「それで、3年前から彼のチームと修行をしていてね」


「修行? 以前の状態でも国家壊滅など可能なほどの力はあったろうに」


「国家壊滅可能な力、か。まあ国家壊滅なんてやる意味無いからするつもりなんてないけど。それに、依然までの僕は自分の等級である超越者(ソリタリネス)は適切に与えられたものでは無いと思ってたしね。ちゃんと自分の力を自分の等級に値するまで鍛えたかったから、今回のアメリカとの修行はいい経験になったよ」


 天津の等級、超越者というのは文字通り他の能力者よりも能力が超越している者に与えられる等級でS級の更に上の等級に位置しており、世界でたった2人しか存在していない。

 その等級を与えられる条件は単独での国家壊滅が可能、天使と悪魔以上の強大な力を所有していることだ。

 しかし今までの天津は自身に与えられた等級に納得しておらず、何度か自分の等級を下げて欲しいとお願いしたときもあった。

 そんな時にアメリカのリアムから招待を貰ったので、この機会に一度自分を見つめ直して、更にパワーアップしようと決め渡米した結果、自分の目標のラインまで成長出来たので、結果としては良い経験になったという。


 天津がお茶を一口飲み、コースターに置いた瞬間、さっきまでの和やかな雰囲気とは一変し、凍てつくような空間に切り替わった事を感じ取った近藤は、ようやく本題に入るのかと姿勢を直す。


「で、今の日本、いや、世界中で何が起きてる? さっきタクシーに乗ってた際に、橋の上で頭が無い死体が山ほどあった」


「……内容を話すに当たって条件がある」


「条件か、良いよ」


「今回の件に全面的に我々に協力してもらうことだ」


 近藤が何故天津に邪神の件を話すのに条件付きにしたのかと言うと、天津がいるだけで現場の流れが一変するからだ。

 天津は先程説明したとおり世界に2人しかいない超越者だ。そんな存在が全面的に日本に協力してくれれば邪神の討伐にいい影響を及ぼせることが出来る。

 そういったメリットがあることから天津に条件を言い渡すと、天津は1つため息を吐いて条件に対する答えを出した。


「分かった、その条件乗るよ。ただ僕にも仕事がある事は考慮してよ?」


「その点については心得ている。では、邪神について話そう」


◇怜・エル視点


 怜と人型のテラポーンの戦闘が始まり数分が経ったが、いかんせん全身が固い鎧のようなものを身に纏っているのでなかなか怜の攻撃が入らず、逆に奴の攻撃は怜の倍近い重さでのしかかってきており依然劣勢の状況が続いていた。

 テラポーンの弱点であるコアも固い鎧で覆われていたため、いままでの様に攻撃の隙を狙った攻撃は無く、何か奴を崩す手は無いのかと悩んでいた。

 

(こいつ、全身が硬いから短剣が深く入らない······一体どうすれば······)


 悩んでいながらも、何か弱点は無いかと攻撃パターンを模索していると1つだけ妙な瞬間があった。

 奴は攻撃、そして刀で防御する時に謎の灰色のオーラのようなものを刀に纏わせながら戦っていることに気づいた。

 もしかしたらそのオーラは奴が自身の体内にある魔力をアウトプットして刀に纏わせる事で、刀の攻撃力防御力共に底上げしているのでは無いかと考えた。

 そういう事ならば怜にも出来ないことは無い。

 人工悪魔の力を全て解放した今の怜の魔力は全て解放する前の約10倍にも増幅しているので、その魔力を奴同様にアウトプットして短剣に纏わせる事が出来れば、奴の硬い鎧も貫通して刃がコアまで届くのではないかと思った。

 そこで怜は身体の中に流れている魔力を目を瞑って念じると、ゆっくりとだが身体の全身に纏われていくような感覚が漂ってきた。


(感じる、魔力の流れが。このまま行けば、アウトプットも出来る……!)

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