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土獏のダンジョン

「成り」を取得するためにしばらく魔物討伐を休んでいた黄昏パーティー一行が冒険者ギルドに入ったのは昼下がりのことだった。


「おっヤヒス達か、しばらく見なかったなぁ」

「なんか秘密の特訓してたんだって?」

「どうしてそれを・・・」


ヤヒスは冒険者仲間の声に疑問符を浮かべた。

「俺が見たんだよヤヒス!!」

「イエールか、耳が良いなぁ相変わらず」


「ふふ、今度は目が好いって方だぜ、お前たちの家で直接見かけたんだからな」

「あぁ・・・前庭のアレかぁ・・・でもイエールの活動範囲からは離れてるね、何か用事があったのかい?」

「ぬっ・・・それはだな」


「ハハハッヤヒスが全然姿を見せないからイエールのヤツ心配で直接見に行ったのさ」

冒険者の一人がヤヒスに話しかけてきた。

「なっ・・・そんなこたねぇ!!たまたまだ」


「良く言うぜぇ、ヤヒスのヤツ今日もいねぇみたいだ、とかこぼしてたじゃないか、恋人は気になるよなぁ!!」

「なっ!!違うからな!!そんなことはしてないからな!!」

別の冒険者の言葉にイエールは動揺してそのまま冒険者ギルドを出て行ってしまった。


「な、アレはアレでお前たちを心配していたんだよ」

「そうそう、気になっちまっていたんだ」

「そうか・・・心配かけたなぁ」


周囲にいた者からはそう言う声を聞かされ、ヤヒスはなんだか悪いことをしたような気になっていた。

「ところで、私達が出入りしていない間に何か大きな動きはあったの?」

「あるぜ、新しいダンジョンが見つかった、南西の土獏地帯だ」

ヴィーシャの質問に肩越しに答えが返って来た。


「土獏とはまた辺鄙なところに出たんだな」

「そ、しかもダンジョンは複雑で出てくる魔物も強いってことで、冒険者は殺到したが、なかなか攻略の糸口が見えないでいる」

マサカツは冒険者の一人に話しかけたが、その者は攻略難易度が高いダンジョンだと言うことを告げてきた。


「受付嬢さん、今話題になっていた土獏のダンジョンが記された用紙はありませんか?」

「はい、ありますよ、こちらです」

「ありがとうございます」

ミードリは受付嬢から素早くクエスト用紙を受け取り、全員が冒険者ギルドを出てホームに向かった。


「しかしダンジョンってのは急に出現することがあったりするのかい?」

マサカツの話しにミードリが答える。


「ありますよ、魔素と言う要素がおおよそどこにでも漂っています、それは濃淡があるもので、地形や環境的要因で『魔素だまり』と言う場所が発生します、その濃度が大きくなるにつれて魔物が発生して、地形が特殊な場所であればダンジョンの形成にまで至ります、ですがこれがどういう仕組みで発生するかは今もって解明されていません」


「ふん・・・それはあらかじめ予測できんのか?」

「ほぼできません、だからいつも後手後手に回る結果になります」

フィスの疑問にミードリが答える。


「魔素は魔物だけではなく自然環境にも影響を及ぼす、その場合魔物の様に実体がないのでほとんど対応できない」

「あっ、ウチの村では時折、魔素降ろしって現象が発生して農作物をダメにしてしまうよ」

パムの話しにヤヒスが答える。


「はい、魔素降ろしは魔素だまりが複数出来上がった時に風がそれらを麓に運ぶ現象です」

「うーーんそうだったのか、俺が出稼ぎに出る原因になったのも魔素降ろしだからなぁ」

ミードリはヤヒスに話しかけ、彼は振り向きながらその様子を見ていた。

「まぁ、とにかくダンジョンが出来て魔物が出るなら討伐に行くだけよ『成り』成果も試せるし丁度いいわ」

ヴィーシャがそう言うとパーティーホームが見えてきたので、全員中に入った。

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