ジャパンでの修行③
ヤヒス達が山に入って四日目の昼前、一行は小規模な滝にが見える斜面を降りていた。
「綺麗ですね・・・」
「仙空が自然に宿る力が、と言っていたのが本当に思えてくるわ」
ミードリとヴィーシャは滝を見上げながら話している。
「よぉしいいか!!今日の修行はこの滝に打たれることだ!!」
仙空の声に多くは怪訝な顔をしたが、マサカツだけはカラカラと笑っていた。
「なにがなんだかわからないと言った表情だな、ワシの手本をよく見ておくように。
仙空はそう言うと、荷物を下ろしてそのまま滝の方に向かって行った。
「ねぇまさか・・・」
「これは・・・」
ヤヒスとリャヒは困惑顔で様子をうかがっている。
その内に、仙空は滝の真下に入り、それどころか滝の落水を全身で受けて何事か唱えている。
「ほぉ・・・面白い修行だな、人間は妙なことを考え付くモノだのう」
「面白くないよ、苦痛しかないよ」
フィスとパムが滝行を見て何事か話し合っている。
「よぉおし!順繰りに滝に打たれ自己の能力や思考を鋭敏にするのだ、お前からだ!!」
「え?俺?」
ヤヒスは絶望的な表情をしした。
「うああああ!!!」
ヤヒスは冷水を頭から受けて悲鳴とも何とも言えない声を上げている。
(さささささ寒い!!!何でこんなことしているんだ、ただの苦痛だぞ、拷問だぞ!?)
ヤヒスがそう思っているうちに滝行は止められ、次に行を受けるリャヒと入れ替わった。
「せせせ仙空さん!!焚火は!!焚火は無いのですか!?」
「ない、冷えたからだは運動することで体内から熱を発生させる、何がしかの激しい運動で身体を温めるのだ!!」
ヤヒスの冷え切った青い顔が一層青くなり、彼はびしょ濡れのまま林内を走り出した。
さすがに仙空は心得ているようで、彼の言う通り走っていると徐々に体が熱をおびて、身体から湯気が上がりだした。
その内リャヒも加わったかと思うと林内を走る者が徐々に増え始めた。
「よーしやめい!!」
仙空に号令で全員が荒い呼吸で滝の周辺に集まって来た、それぞれ身体から湯気が立ち上っている。
「うむ、温まったようだな、では斜面を登り尾根まで出るぞ」
黄昏パーティー一行は急いで装備を身に着け、仙空の後を付いて行った、その日も尾根をただ歩き、岩場を越えて日が暮れだした頃に林内に腰を落ち着けることとなった。
すこしの休憩の後、仙空がドングリを集めるように指示を出したので、全員そのようにドングリを集めることになった、全員が今日の夕飯はこれだと言うことを受け入れ無言でドングリを拾った。
暫くすると仙空が戻ってきて、手に束となった植物を持っている、これも今日の夕飯だろう。
「うむうむ、では火が起こったな、鍋にドングリを入れる、そうすると香ばしい匂いがしてきて明らかに火が通った臭気に変わったら火から盆に開ける」
仙空はそう言うと鍋から盆にドングリを移した。
「へぇ・・・良い匂いがするものね」
「ドングリはガキの頃よく食べたよ、美味しいんだぜ」
ヴィーシャとヤヒスは隣り合って何事か話している。
「さぁ、熱いうちに食うぞ」
仙空がそう言うと皆次々とドングリの殻を割り、口に放り込んでいく。
「うむ、悪くないな、栗ほどではないが」
「うまいのう、それにこれは滋養がありそうだわい」
リャヒの言葉にフィスが答える。
あっという間にドングリは無くなり、その間に沸かしておいた湯に仙空は灰を入れだした。
「灰を入れて飲むんですか?」
「何かの薬なのかな・・・」
ミードリとパムは不思議そうに見つめている。
「うん?ああ、これか、灰を入れてこの山菜のあくを抜くのだ、これをするのとしないのとでは大違いなんだぞ?」
仙空は灰が投入された熱湯に山菜を投入して、しばらくするとお湯を捨て、今度はお湯だけで山菜をサッと煮上げた。
「よぉし、さぁさぁ食ってみろ!!」
仙空の言葉にマサカツをはじめに、次々と口に入れだした。
「あっ美味しい」
「だろう、これは俺のいた世界でも喜ばれる食べ物だったんだ」
美味しいとわかると皆次々に手を出し、片付けをした後で各々が無言で辺りに寝ころびすぐに寝息を立て始めた。
「ふーーーむもう慣れたものだな、食事も野生のものをちゅうちょなく食べている、普通は四日目まで持つやつはまずいないんだが・・・大した奴らだ」
仙空はそこらの地面に寝転がっている黄昏パーティー一行を見て顎を掻いた。




