ジャパンでの修行②
黄昏パーティー一行は早朝から深山に分け入っていた。
白装束に、こまごまとした装備を身に着けて、手にはシャクジョウと呼ばれる杖を突き、それを付くたびにジャリンと音が鳴った、この装備品を身に着けて深山に分け入るものをシュゲンジャと呼ぶのだそうである。
「このゲタって言うの足が痛い・・・」
「私はシャクジョウが重く感じます」
ヴィーシャとミードリは不満をこぼしている。
ヤヒスは幼いころから自然に親しんでいたためか比較的へいきそうである。
一番先頭を登っているのはフィスで、さすがはドラゴンが変化した娘だと言う所である。
「おーい皆遅いぞ、今日は夕暮れまで歩く、とにかく歩くぞ、今日一日で歩き方やバランスの取り方を身体に覚えさせるんだ」
千空はずっと先を歩いており、黄昏パーティー一行にハッパをかけた。
「ふ~~む最近の冒険者は軟弱だのう・・・だが一週間後には見違えるようにしてやろうぞ」
彼はそうつぶやいてシャクジョウをジャリンと鳴らした。
藪を漕ぎ、岩場を登り、ひたすら急峻な尾根をはいずるようにして登り、ほぼ全員が身体のどこかに負傷を抱えていた。
夕暮れ頃にようやく行動を停止した。
「ほれ、座り込んでいないで、コレを拾うんだ」
仙空が見せてきたのは大ぶりの栗であった。
「ぬ、栗か、プルツでもよく拾って食しておったわ」
「くりとはなんぞや?」
リャヒが栗を拾いながらそう言ったので、フィスは良くわからないと言うような表情を見せた。
「俺も村でよく食べたよ、美味しいんだよなぁ」
「美味しいんですね・・・また何か奇妙な食べ物かと・・・」
ミードリはすでに疑心暗鬼になっているようだ。
「おう、栗は取れたか?うんうんこれだけあれば十分だ、ワシはこいつを取って来た」
仙空は茎が細長く、葉が膨らんだような格好をした植物を見せてきた。
「それはなに?」
「う~~ん?コイツはギョウジャニンニクと言ってな、我ら修行者のエネルギー源になる貴重な食べ物だ、うまいぞ」
パムの質問に仙空が答えニカリと笑顔を見せた。
焚火を焚き、そこに鍋を置いたら栗を投入して蓋をする、そうすると手ごろな時間になると自然に栗が破裂するので、そこを目安として一行は栗を食べ始めた。
「アッツ!!でもこの状況で暖かいものはありがたいわね」
「うーん美味いやはり栗はいい、それとこの業者ニンニクも苦くも無くてニンニクと言うだけあって強烈なにおいだ、うんうん滋養がつきそうだ」
ヴィーシャとヤヒスはもそもそと食べ進めている。
「さて、明日も早い、各自そこらに寝て朝を待つのだ」
「仙空どの、あのムシロとか言う物だけでも持って来てはいけなかったのか?」
「これも修行だ、山に入る、ここは神域とされる山だ、木、草、岩、あらゆるものの神性を身体の中に取り込むのだ、地に直接寝るのだ、不要なものはいらぬ」
リャヒの質問に仙空が答え、全員が適当な場所を見つけて寝転がった。
「さささ、寒い、昨日よりさむい・・・」
「山の高い部分に来ているからね、高い場所に来ると気温が下がるんだよ」
「寒い」
ヤヒスのうめき声にマサカツが答え、パムはただ一言寒いとだけ答えた。
空が白んできたころ、ヤヒスはようやくうとうとと眠りに入りかけていたその時、仙空の怒号が響いた。
「起床ーーーーーー!!!!」
それを聞いた黄昏パーティー一行は飛び起きて目をしたたいている。
「飯を食ったらまた一日歩くぞ、寝られていないだろう?ここからが本当の修行だ!!」
仙空は腕組みをして声を荒げ、ヤヒスは頭をカクリと折って渋い顔をした。




