シン・魔王⑦
「はぁーまだ口の中が血の味がする」
「うむ、フィスがいなければどうなっていたことか・・・」
「フフン、ワシは使えるだろう?」
ヤヒスとリャヒの会話にフィスが混じり、パーティーの空気も良くなってきた。
「さ、上に進むわよ」
ヴィーシャの一声に全員が立ち上がり長い長い階段を登って行った。
登り詰めた所には一層重厚な扉が控えており近づくと扉は内側に開いた。
中に入ると広い空間があり、魔石もきらびやかに光っていおり、真正面には城の上空に映し出されていた不気味な鎧兜の男が玉座にすわっていた。
「良くここまで来たな勇者パーティー黄昏よ・・・さすが勇者だとほめてやる、さてお前たちに・・・」
「ちょっと待った先にこちらからの質問をさせてもらいたいんだが、ここまで来た褒美ってことでね」
「フン・・・良かろう・・・」
「アンタさ、異世界転生者だろ?」
「んな!異世界転生者などではない!!そのようなものは知らぬ!!」
「この世界では異世界転生者って言葉が通じないんだよ、異世界転生者って言葉が分かるのは異世界転生者だけなのさ」
「グッ・・・」
「あとさ、四天王はさすがにカッコ悪いだろ?今どきないぞあんまり」
「クゥウ」
「それと四天王の一人目、宇宙の騎士のハインラインから取っただろ?オタクってそう言うことするんだよね」
「ギ・・・」
「第二の四天王ガンダールベは指輪物語?」
「くっくく・・・う・・・うるさーい!!!うるさいうるさい!!!二カ月もかけて構築したんだぞ、こっちだって好きで異世界来てるんじゃないの!!!」
そのとたん魔王の影は薄れ消えて玉座からショートカットに赤い眼鏡をかけたセーラー服姿女の子が降りてきた。
「じょ・・・女子高生・・・」
ヴィーシャがマサカツの後ろから顔を出して質問する。
「なに?ジョシコウセイって?」
「女子高生よ!!JKよ!!あなたくらいの女の子が高校に通っているのが女子高生よ!!」
「え?え?」
ヴィーシャは困惑しているが、マサカツ以外の他のメンバーも訳が分からないと言う様子だ。
「まぁ落ち着いてよ、自己紹介から始めよう、俺はマサカツ、異世界転生者」
「・・・私は美咲、異世界から来た魔王よ」
マサカツが振り向くので順繰り自己紹介をしていく。
「私はヴィーシャ、剣士よ」
「リャヒ、プルツ国の王だ」
「フィス、ドラゴンだ」
「俺はヤヒス、農家の出稼ぎ」
「で、他に仲間が二人いるんだ、その辺りにいるんだろう?会わせてくれよ」
「あなたどこまで把握しているの?何者なの?」
「ん?理系の大学生」
「うぁっ、ハァーバレるわけだわ、二人はその向こうにいるわ、ついて来て」
美咲はそう言うと壁に向かって歩きそこに吸い込まれて行った。
「隠し扉か」
そう言ってマサカツも中に入り、残りの全員が壁に吸い込まれて行った。
中は30畳以上あるかと言うフローリングの部屋で、ソファーや机にテレビと、およそ現代の家具家電がごちゃりと収まっていた。
ソファーにはパムとミードリが座って携帯型ゲーム機で遊んでいた。
「ちょっとまた甲羅投げてくるんですか・・・」
「フフ・・・甲羅出たら盛り返せる」
「パム!!ミードリ!!」
「あっヴィーシャさん、来てくれたんですね」
「ですね?じゃなくて生きていたのね・・・パムも」
「うん?御大層なPCがあるが・・・コレで城の管理や何かをしていたんだね」
「そう、向こうに大きいサーバールームもあるよ」
「ふむ・・・この現代機器の数々は現代から取り寄せた物かい?何軒かそう言うたぐいのアニメあったし」
「そう、向こうにネットは繋がってないけど商品は届く、多分なんかのプログラムをいくつもカマせているね」
「どっかから手繰れないのかい?」
「だめ、ブラックボックスが多すぎる」
「どうやら君も理系少女みたいだな」
「こちとら三歳からプログラムとオタク趣味にどっぷりなのですよふふふ」
マサカツと美咲が会話している間に廊下から金髪碧眼の少女が現れた。
「おふろ出たよー」
「おおっ姫!!今日の服もゲキカワ!!後で撮影会ですぞ!!」
「えへへ~」
美咲と姫様は仲睦まじい姉妹のようである。
「・・・姫・・・囚われていた姫様!?」
ヤヒスが姫様を見て叫んだ。
「あぁ、そう言えば我らは姫を助ける任務で来ていたのだった」
リャヒは状況について行けず呆然としている。
「ちょっと美咲?パムとミードリはどうなっているのよ??」
「そこ難しい話なんだよね、ミードリさんはすぐ理解したけど」
「まずこの城は本物であって本物じゃないの、中に入ると同じように本物だけれど本物じゃないエフェクト・・・壁とか箱とかがあるの、敵もプログラムされた・・・生み出されたものでポイントが付与されているの何回、何でどう斬られて魔法をどう浴びれば存在が消滅するか、同時に意志を持っている、ランダムに強い攻撃や連携をする、城の中は全部そう言うポイントで埋め尽くされているの」
「えっ?ええ?ポイント・・プログ・・・」
ヴィーシャは混乱している。
「君よくこんだけの乱数組んだね、基礎はAI?」
「いくつかAIが組んであったけどどれも気に入らない!!だから学習させていった」
「な、ヴィーシャ説明されてもわからないだろ?だから魔王に聞くって言ったんだ」
「ていうかこの部屋は何・・・」
ヴィーシャは混乱している。
「まぁまぁまぁ、そのポイントをあなた達がこの城に入った時点に付与して、その後の行動からも随時更新していくの、ミードリさんとパムちゃんは例えば生命ポイント4だとしたら10位ポイントを奪われたの、痛みも痛いと感じているだけで怪我じゃないの、で、その時点で死亡者が隔離される部屋に移動させられて待機状態になるのね」
「????え?」
ヴィーシャは混乱している。
「まぁ一般的な感覚をした日本人なら、異世界転転生とは言え人間を殺すようなことはしないからね・・・」
美咲はため息をついた。




