シン・魔王⑥
上のフロアにたどり着くまで、5人は怒涛の勢いで敵を倒していった。
とくにヴィーシャは気迫と冷静さを併せ持ちふだんの数倍もの力を発揮しているように思える。
そしてまた大きなドアのあるフロアにたどり着いた。
「これもシテンノかしら」
「ここまでの流れで行けばそうなるよね」
ヴィーシャとヤヒスは話し合ってドアを見上げている。
暫くするとドアは内側に開き、何者かの気配があった。
中に足を踏み入れると、部屋の中央に緑色の肌をして、長髪の女性が立っていた。
「アタシの名前はアイビー、状態異常が専門、魔王様の所には行かせはしないよ!!食らいな!!」
アイビーがそう言うと毒々しい紫色の瘴気が部屋を包み込んだ。
「ウッ!!ゲボッ!!」
ヤヒスが膝を付いて血を吐き出した。
「マスター!!」
フィスがヤヒスに走り寄ると、他の三人も同じように突っ伏して吐血しているがフィスは何ともない様子だ。
「な!お前は状態異常が効かないのか!!」
アイビーはフィスを見て驚いている。
「そうか・・・マスター達は毒やスタンの状態異常に・・・剥離も出来ないでおるのか!!」
フィスはそのとたん瞬歩の速さでアイビーに迫り喉笛に食らいついた。
「ぐわぁああああ!!!」
フィスはアイビーの体液をごくごくと飲み干していく。
「なにを・・・だがそれだけでは私は倒せぬぞ」
アイビーは何のことも無いと言う表情をしている。
フィスはそれを全く気にせずアイビーの身体から跳躍して、ヤヒスの元にたどり着いた。
そのとたんフィスはヤヒスの首に歯を立てている、その内ヤヒスの肌は血の気を取り戻してきた。
フィスは次にヴィーシャの首に歯を立て、血の気が良くなるとリャヒにと全員に繰り返して行った。
「うぅん・・・ブェッ!!口ん中血だらけ」
ヤヒスは地面に血を吐くと何事もないかのように立ち上がった。
「フゥー同じくね」
ヴィーシャも血を吐いて立ち上がった。
「なんだ・・・何なんだ・・・なぜ状態異常が効果を発揮しないのだ・・・」
「ワシはドラゴン、今は人間に化けておるだけだ、元々ドラゴンには状態異常は効果が無い、それに体内にその要素を取り込んでそれに対抗する体液を生成することが出来る、さっきお前から毒気を吸い取りその後、マスター達にかみついていたのは対抗液を流し込んでいたのだ」
「ば・・・ばかな・・・私の状態異常はどのように強い相手にでも確実に効く・・・フフッ、まぁいい、私は状態異常スキルが無くても四天王で最強・・・おま」
アイビーはヴィーシャの激剣で真っ二つに裂けて霞の様に消えていった。
「マサカツの言うとおりね・・・ゴチャゴチャうるさいヤツは早く黙らせるに限るわ・・・なんだか疲れた、ちょっと休憩しましょう」
「ああ、この次は魔王だろうからな」
「なんでわかるのよ」
「うん、説明しよう、シテンノとは俺のいた国の物語や書物に出てくる、うーん軍団の中でも特に強い四人のことなんだ、それを四天王と呼ぶのさ」
「なにそれ・・・階級や軍閥みたいな呼び方じゃダメなの?変なの」
「そう思うだろ?俺もそう思う、だから言わなかったんだ」
「何となくあなたの言いたいことと、黙っている理由が分かって来たわ・・・何かおかしいのね?」
「ふぅーんじゃあもしかして魔王とは戦わないかもしれないの?話をするとかそう言うことを言っていたし」
ヤヒスが会話に加わる。
「おっ、鋭いな、会話で解決するつもりだよ」
「む、マサカツが言うならそうなのだろう、神なのだからな」
リャヒは肩に立てかけていた槍を無意識に撫でながら言った。




