シン・魔王⑤
「チェストォオオオオ!!!」
上のフロアにたどり着き、警戒しながら進むと敵の剣士らしき数々が雄たけびを上げて突っ込んで来た。
「今度は薩摩武士かよ・・・好き勝手やっているなぁ・・・おい!!!前衛職!!!そいつらの打撃は絶対に受けるな!!切り結んでも駄目だ!!絶対に避けろ!!
「えっ!?分かった!!」
「承知したわ!!」
「うむ」
前衛職三人は叫びながら突っ込んで来る剣士を寸で回避して隙だらけになったそれらに一撃を入れている。
後から後から湧いて来る剣士にはマサカツが矢で射たり、隙がある部分にミードリが火炎魔法を叩き込んでいる。
「クッ・・・キリがない」
敵はいたるところで出現し、どれもこれも大上段の構えで奇声を上げて突っ込んで来る、どれも皆ただ突っ込むことしか知らないように真正面からの突撃である。
それゆえに、ミードリの火炎魔法でまとめて焼き尽くすことが出来るので、連携を取れるようになってからは比較的楽になって来た。
その内に敵の出現が収まってきて、大きな扉があるフロアにたどり着いた。
「これもシテンノでしょうか・・・?」
「今度はマサカツが言うように何かもごもご言っている間に攻撃を叩き込むわよ」
「まぁ、入ってみようよ」
ヤヒスが足を踏み出すと扉が内側に開いた。
中には広大な空間が広がり身の丈10メルトはあろうかと言う大鎧が控えていた。
「大鎧、野太刀、身の丈!!!全員扉の外に逃げろ!!!」
「え?!」
「なに!?」
マサカツの大声に一瞬ひるんだが全員先ほど入って来た扉に全力で飛び込み扉の裏側に隠れた。
「ミードリ!!エクスプロージョンボールをありったけ!!
「はい!!」
マサカツの指示を予見していたかのようにミードリはエクスプロージョンボールを四つ空間に投げ込む。
「フィス!!全力で扉を蹴って半分閉じろ!!」
「よっしゃぁ!!」
フィスが素早く扉に飛び蹴りを入ると、それは勢いよく閉まった。
「爆発します!!」
ミードリが叫ぶと轟音に次ぐ轟音が空間をゆがめ、扉を吹き飛ばし炎が走り出た、同時に天井や壁が崩壊し始めていつまでも連鎖していた。
念のため展開していたパムの防護フィールドによって火炎や落ちて来る石壁には巻き込まれずに済んだ。
「うわぁ・・・もうムチャクチャじゃないか・・・」
ヤヒスは片目を開けてその惨状を確認している。
「まだ外に出ない方が良い、火炎の熱がこもっているフィールドはギリギリだった」
パムのその言葉に全員青ざめた顔をした。
「これで倒せたのかしら・・・?」
「だと、いいけど」
ヴィーシャの疑問にマサカツはあいまいに答える。
フロアの熱が冷めきるのを待ってから部屋の中に入ると。
白馬に乗り狐の仮面をした軽装鎧に細身で反った剣を持つ者が瓦礫の上から見下ろしていた。
「良くぞワシの壱人を倒したな、誉めてやろう」
「・・・ッ第二形態ってヤツか」
マサカツの言葉を受け、剣士は細い声で言った。
「いくぞ」
その瞬間白馬の剣士はヴィーシャの寸前に現れ、互いの剣が火花を散らした。
「ほう、反応速度が速い」
そう言って馬を器用に扱い身をひるがえした。
「まず、補助師」
白馬の剣士は瞬間的にパムの後ろに回り、袈裟懸けにするとパムは地面に倒れた。
「なっ!!?」
マサカツは驚愕し矢筒に手をやった
「次に魔導士」
白馬の剣士はミードリの正面にまわり袈裟懸けにするとミードリもまた地に伏した。
「追尾とつらぬきの矢!!」
マサカツが三矢を同時に射ると敵は別方向をから迫る矢を瞬間的な動きでかわし続ける、マサカツは様子を見て敵が避けるのに慣れだした頃、四本目の矢を射た「追尾とつらぬきの矢!!」
白馬の剣士は一瞬動きが止まったかと思うと、四矢目が喉をつらぬき他の矢も身体を射抜き落馬し、剣士は瓦礫に転がった。
「おっ・・・ゴホッ!!三矢しか同時に打てないと誤認させるために泳がせたのか」
「そうさ、それに三矢をかわすことに慣れさせておけば引っかかると思ったんだ」
「グフッ・・・魔王様の元でまた会おう・・・それと、補助師と魔導士も一緒になフフ・・・」
「・・・魔王の元で、ね、いい加減イライラしてきたな」
「ミードリとパムの遺体が無いわ!!ここに倒れていたのに!!」
「どういうことだ・・・何かの魔法か?!」
ヴィーシャとリャヒがうろたえており、ヤヒスは方々を探し、フィスは周囲の匂いを嗅いでいる。
「ふむ、遺体の匂いはここで突然途切れている、どこかに移動したのなら残り香があるが、プツンと途切れている、あの白馬の物と同じたぐいの術だな目、鼻、耳に捕らえられず消すことが出来るのだ」
そこにマサカツが瓦礫の山を降りてきて話に加わった。
「さっきのヤツの言うことには魔王の元まで行けば二人に会えるそうだ・・・」
「なに言っているの!!そんなの魔王の手にかかって全員死んでミードリ達と会えると言う挑発的な意味よ」
ヴィーシャは激高している。
「俺はアイツが言っていたことは本当だと思う、とにかく魔王の元まで行くしかない」
「あなた!途中から何か訳知り顔でいるけれど、この城が何なのかわかっているんでしょう!?いい加減話しなさいよ!!!」
「俺もそうしたいが確証は無いし・・・今の君たちに話せば混乱を招くだけだ・・・魔王に自白させるしか無いんだ・・・すまない」
ヴィーシャとマサカツは悲しみに暮れている。
「・・・行くわよ、マサカツが言うならそうなんでしょう、魔王の所まで言って自白させてやるわ!!」




