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シン・魔王

昼間のくつろぎ時にヴィーシャが買い物から戻り、その場にいる全員に言った。

「ねぇ、南の砂漠地帯にものすごく巨大な城が突如として現れたらしいわよ」

「城・・・突如として」

マサカツがそれに反応する。


「どんな城なのさ、どこかの国が建てたのかい?」

「黒と濃い灰色に染められていてなんとも不気味な立ち姿だそうよ、それと、建てたなんてものじゃなくて朝起きたら突如として現れていたんですって」

「城と言えば何でも戦か権威の象徴のために建てるものだろう?良い予感はしないのう・・・」


ヴィーシャの話しにフィスが答える。

「ふむ・・・今はどういう様子なのだ?」

「近隣諸国が兵を出して駐屯、様子見しているらしいわ」

リャヒとヴィーシャは首を小刻みに動かしながら話している。


「じゃあ俺たち冒険者の出番は無さそうだね」

「そうだと良いですけど・・・」

「うん、国軍をすり減らすよりも冒険者を投入した方が良いと判断されるかも」

ヤヒスが言った言葉にミードリとパムは首を傾げた。


それから二か月、城には全く動きがなく国の上の方ではこの状況にじれ始める者も出てき始めたそんな折、勇者パーテイー5組が駐屯地に召集された、もちろん黄昏パーティーもである。

「召集されて5日間・・・何もすることが無いしお風呂に入りたい・・・」

「そうだねぇ・・・食事も貧相なものだし、駐屯している兵士の士気も低い。これがどれだけ続くことやら・・・」


そのようにして黄昏パーティー一行が不満を口にしていると、突如として城の方向から高笑いが聞こえて来た。

「はぁーっはっはっはっは!!!、そろそろじれてきて兵の士気も落ちてきている頃だろう」

城の方を見やると、上空にごてごてとした鎧兜をに身を包んだ者が浮かび上がっていた。


「やっと来たか」

「ああ、あの空気だと悪い者だろうねぇ」

フィスとマサカツは話し合っている。

「私はシン・魔王パーンだ!!!過去に魔王とされていた貧弱な国プルツの主に変わって魔王となる者だ、はっはははは」

「むぅ・・・言ってくれる・・・」

リャヒはさすがに気に入らないと言った様子である。


「さて、何を言いだすのかしら・・・」

「何かの要求でしょうか?戦争になるのでしょうか?

ヴィーシャは立って腕組みをしながら様子を見ている。

ミードリはその様子を見て不安を口にした。


「見えるか?お前たち?後ろに見えるのはソヴィレバーレからさらって来たマリー姫だ!!」

魔王パーンがそう言うと後ろ手に手かせをかまされ床に座り込んでいるドレス姿の女性が目に入った。

ソヴィレバーレから来た駐屯軍から大きな声が上がった。


暫くどよめいた空気が広がると早馬が駐屯地から離れて行った、それと同時に他二国の軍は腰を上げ、その場を離れて行くことになった。


「む、他の二国は協力せぬか・・・」

「それはそうですよ、この状況では利害が一致しません、他国の姫がさらわれたとしてもソヴィレバーレ側も同じく兵を引くでしょう」

リャヒの言葉にミードリは顔を曇らせて言った。


「おい、いま軍の所に様子を伺いに行ったが、将官クラスしか姫を見たことが無いらしくあれが姫だと断言できる者がおらんらしいぞ、間抜けなものじゃのう」

「ふーん・・・それは仕方ないだろう、近衛クラスがここに来るわけにはいかんし、大体が姫様ってのは城からほとんど出ることが無いんじゃぁ無いのかい」

フィスの報告にマサカツは頭を掻きながらつぶやいた。


「ところでヤヒスは何をしているの?」

パムは何かごそごそとやっているヤヒスの様子をのぞき込んでいる。


「ショートソードを研いでいるのさ、ブントに簡易キットを貰ったからね、ここんとこ戦闘も無かったし、この状況、きっと俺たちに出番が回って来るよ」

彼はゆっくりと剣を研いで笑顔を見せた。

それと同時に城に浮かんでいた映像も途切れた。


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