温泉施設を作れ⑧
温泉の共同浴場が完成した日、施設の前には北人も獣人も黄昏パーティー一行も集まっていた。
浴場の前でリャヒが真剣な顔をして立っており、しばらくして口を開いた。
「今日、念願だった温泉施設が完成した、施設の名はガンス温泉!!この建築を完成まで導いてくれた素晴らしい職人の名だ、マルク殿、キクル殿、ドネル殿、シカイ殿四名ももちろん外すことは出来ない」
「おい、王様俺たちの名を覚えてるぜ」
「ああ、こんなの初めてだ」
人足たちは困惑してぼそぼそと話し合っている。
「この施設により、皆が日々励む労働の疲れを癒すほかにも、遠方からの来訪者にも楽しんでもらいたいと願っている!!以上だ!!」
割れんばかりの拍手が鳴り響き飛んだり跳ねたりしている住民もいる、頭のガンズはひたひたと落ちる涙をぬぐい、人足たちは北人や獣人たちと抱き合ったり肩を組んだりしている。
熱狂が落ち着き、ガンズ達が馬車に乗って帰る段になった。
「ガンス殿、約束の3000万ゴールドだ」
「おう!世話になったな!!」
「こちらこそ辺境故大したもてなしもできずに・・・」
「な~~に言ってんだ、気持ちは伝わったぜ!!」
ガンスがそう言うと馬車はゆっくりと動き出した、住民たちはいつまでも手を振っている。
「うっ、涙腺に来るじゃぁねぇか」
「ああ・・・俺は爺になったらこの国で暮らすのも良いかなって思ったよ」
「そりゃいいな・・・」
「ああ・・・」
人足たちは眩しい笑顔でプルツの地を去って行った。
「うむ・・・では我とパーティーの仲間から一番風呂を頂いてゆくことにする、あとは譲り合って老人、女、子供を優先して順繰り入るべし」
群衆は頷いたりぼそぼそ話し合っていたりする。
ヤヒス達は脱衣場で衣服を脱いでかごに入れ、洗い場へと入って行った。
「おぉ・・・天井が高く堅牢なつくりであるな洗い場も浴槽も想像以上に広い、これなら大勢の民を捌くことが出来る」
「へぇ・・・日本の温泉場に近い空気だな、何か安心する」
リャヒが感心している横でマサカツは日本の大浴場を思い出しているようだ。
各々身体を洗い、湯船につかった。
「むぅ!熱い!」
リャヒがそう言うとマサカツが割り込んで来た。
こう言うのはまず脛まで浸かって、その後順繰りに肩まで浸すんだ。
「ふーん・・・やってみよう」
ヤヒスはゆっくりと脛まで浸かったが、熱そうな様子である。
「あれ・・・なんか慣れてきた・・・」
「だろ?次は腹までだ」
「あちち・・・あっもう慣れたヨシ、ゆっくり肩まで入ってみよう」
「うぉおおめちゃくちゃ気持ちいい・・・ちょうどいい塩梅だ」
「だろ?リャヒも入ろうぜ?」
「ん?うむ」
後から二人ともゆっくりと浸かって行く。
「これは・・・政務でこった体と頭がほぐれていくようだ・・・」
「農作業で荒れた皮膚がピリピリする、効いているのかな」
リャヒとヤヒスは互いに向き合って話している。
「この湯、赤いだろう?これは酸化と言って金属の状態が空気に触れて変化した色なんだ、だから擦過傷などにも良く効く」
「なるほど、非常に良いな労働につかれた民には良い効能だ、さて、後に民が控えておる、そろそろ上がろう」リャヒがそう言うと三人とも脱衣場で着替えて外に出た。
「皆の物、最高の温泉だったぞ、では次は老人たちだ」
そう声をかけるとゆっくりとした動きで老人たちが階段を登って行く。
「王様、ありがてぇこって、ありがてぇこって・・・」
「何を言われるかご老体、長き間のごくろうを思えば何ほどのこともない、ははは」
リャヒは笑みを浮かべそれを見たヤヒスとマサカツも顔を見合わせて笑った。




