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温泉施設を作れ⑥

人足の宿泊施設が完成した二日後に風呂職人の一行が到着し、広場で物珍しそうにしている。

北人の側もどうしたものかと様子を見ていたところにリャヒが出てきて風呂職人の頭であるガンスと握手をした。


「良く来てくれた、本当にありがたい」

「おう、約束だかんなさっそくだが、温泉の噴出口を見せてもらおうか」

「ああ、こっちだ」


リャヒを先頭に人足達がついて行き、ヤヒスとマサカツもそれに続いて行く中で、獣人も北人も遠巻きにその列を追った。

ガンㇲは湯だまりを見てそれから湯に指を突っ込んだ。


「おーおーあちぃあちぃ、こりゃ良い温泉だぜ、それでこれが湯路ってわけか・・・んん?この湯路釘も無ければ木組みでもねぇ・・・どうやって組み立ててあるんだ!?」

ガンㇲの疑問にヤヒスが答える。


「それは俺のスキルで結合してあるんだ、何でも頑強にくっつけるスキルなんだ」

「くっつけるスキルぅ?ちょいとやって見せてくれんか?」

「うん」


ヤヒスはそう言ってそこらに転がっているこぶし大の石を二つ持って来て皆に見せた。

「この二つの石は今は分かれていますよね?これに対して・・・結合!!、これで二つの石は堅固にくっつきました、試しに引き剥がして見てください」


「おっおお・・・」

ガンㇲはヤヒスから石を受け取り様子見程度で引き剥がそうとしたが、それがかなわないと知ると肩や手を震わせ真っ赤な顔で剥がしにかかった。


「だぁーめだ、びくともしねぇ・・・」

「頭、俺もやっていいですか?」

「おう、だがこりゃ無理だな」


人足の一人が渾身の力を込め、顔をまっ赤にして石を引き剥がそうとしたが、これもかなわなかった。

「どーなってんだ・・・」

人足は石をもって呆然としている。

「よし、石のことはいい、湯路の確認をしつつ降りていくぞ」


ガンスは湯路とそこを流れる湯の温度を確認しながら斜面を降りていく。

「む?うんうん、ここだ、この温度と俺の設計した湯船の湯が丁度いい温度になる所だ」

ガンスが示した場所は斜面から離れて水平になったところである。


「さーすが職人、一発でわかるもんなんだな」

マサカツはしきりに感心している。

そこからは暗渠掘りに取り掛かっていった。

暗渠(アンキョ)は排水を地中などに流し水があふれたりしないようにこしらえる土木技術である。


まず人が二人入れるほどの穴を掘り村はずれの小川までり、北人も獣人も入り乱れてワッシワッシと驚くべき速さで流路が掘られて行く、夕暮れ時になると、丁度全ての流路を掘り終えて所だった。

「頭・・・北人も獣人もすごいもんですね」

「ああ、俺はこんなペースで作業が進むのを見たことねぇよ。

人足たちはおどろき、うーむと唸っている。


そして夕飯の時間帯になると、食堂に大勢が詰め掛けた。

「皆の物!!わがプルツに温泉施設をつくる職人が来てくれた!!今日は祝いの席だ心置きなくやってくれ!!」リャヒの号令と共に乾杯の声と器を合わせる音が響いた。


「頭、辺境だからどんな飯かと思っていたら案外いけますぜ!!」

「国の体裁っーモンもあるからな、良くしてくれているんだろう、無理しなくても良いのによ」

そうは言いつつもガンスはにこやかな笑顔を見せている。


祝の席が終盤を迎えるとリャヒが手を叩き叫んだ。

「静まれぃ静まれ!!ガンス殿一行はこのような北のどん詰まりまで温泉施設の敷設に来てくださった、皆感謝の礼だ!!頭下げ!!」

リャヒの言葉に北人も獣人も、黄昏パーティー一行も頭を下げた。


やがて人足たちは宿泊施設に案内されて中に入った。

「おぉ・・・ベッドがたくさん据えてある」

「木の匂いがする、まだ建てたばかりだな」

「ベッドの具合もいいぜ」


「頭、俺たちこんなに丁寧にもてなされたのは初めてですな」

「ああ、どこの貴族も金をケチってうすい板張りに藁ベッドに隙間風とそんなだったな、俺はよ北人や獣人に差別がないつもりだったが、どこかで野蛮で粗野、頭のまわらない種族だと思っておった、だが来てみれば穏やかで知性的で下手な人間より礼儀正しい連中だ、こりゃ俺らも気合入れてやらないかんな」

人足たちはそれに答え、着替えた後で床に入った。


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