温泉施設を作れ③
「ハァ・・・4500万、出せぬことも無いがいざと言う時の貯蓄を吐き出さねばならぬし、ビソル村への様々な支払いも重なって非常に厳しいことになる・・・」
「ウチの村なら事情を話せば支払いを待ってくれると思うけど」
「まてよ、まて、4500も試算だからな、もっと高額になる可能性も考えてくれよ」
マサカツはあわてて訂正をした。
「うっ・・・安易に温泉施設などと考えなければよかった・・・皆に期待を持たせるだけになってしまうのか・・・」
「とにかくソヴィルバーレの風呂職人のトコに行ってみないと何もわからないよ」
「そうであるな、まずは現実を知る所から始まる」
ヤヒスとリャヒは顔を合わせて頷いている。
「それ、俺も付いて行くよ、計算とかは得意だし多少の交渉は出来ると思う」
「マサカツ・・・助かる」
リャヒは顔を上げにこやかに笑った。
翌日からチヌックでソヴィルバーレの方向までなるべく急いで飛び、野宿で行程を急いだ。
「あーーー・・・疲れた」
「我もだ」
「俺も」
ソヴィルバーレに到着して街路を歩いているとヤヒスが口を開き全員が疲労を抱えていると言うような会話になって言った。
「毎日の農作業のあとにすぐチヌックで飛んで朝から晩まで飛んだから仕方ないけど」
「俺も・・・土木作業は気を使っていたし、旅程がきつかった」
「毎日の政務から頭の切り替えが追い付かぬ、ソヴィルバーレの雑踏も今は精神的に落ち着かぬ」
それでも三人は風呂職人の仕事場を探して、その建屋にたどり着いた。
「こんにちはーーすみません!!」
ヤヒスが建屋内に声をかける。
「おーーう・・・風呂の修理か新築かどっちだね?」
建屋の奥からは髪に白いものが混じった中年男性が出てきた。
「新築でお願いしたいんですけど・・・比較的大きなものになるんで・・・」
ヤヒスは苦笑いをしている。
「おう、豪気だね!!アンタ方の方針が分からんからとりあえず図面なんかを見て理想に近そうなのを指示してくれや」
「うむ、助かる、さっそく目を通したい」
リャヒがそう言うと三人は事務所の様な場所に案内され大きな机に設えてある椅子に座り込み、先行きを見守っていた。
「ほれ、まずはこんだけ、まだまだあるぞい」
職人が図面を出して来るのでそれを見ていたが、マサカツが声を上げた。
「こう言うのじゃなくて大きい公営浴場みたいな図面はないかい?」
「ん?また大きなのがいるんだな、ここんとこはそう言う注文はねぇがまぁ図面はある」
図面を何枚か広げて見ていると職人が丁寧に説明をしてくれた。
「こりゃ西方の貴族が、領地内に保養施設として作らせたものだ、見てくれはしゃれっ気もねぇ簡素な建物だが、頑丈だぜ」
「こっちは東方の宿場に作ったモンだ、庶民向けだからまぁそれなりだ、だが手は抜いちゃいねぇぜ」
「ん?お頭、この図面はどのようなものなのだ?」
「おぉそりゃちょっと良いものだぜ、昔の建築だがこれもどこだったかの領主が保養にって建てたもんだ、立派だろう?」
職人の話しを聞き、リャヒはその建築に興味を持ち細かく聞いていった。
「ふむ、なるほどこれはいいな、いくら位かかるか?」
「7000,7000万だ」
「なっ・・・!?ななせん!?高すぎる・・・」
「ほっそう来ると思ったぜ、こっちも酔狂でやっているんじゃないんでね」
「・・・ヤヒス、恥ずかしい話だがいくらか工面してもらえぬか?」
「そうしたいところだけど例の獣人裁判でだいぶ使ってしまってね、いまは寂しものなんだよ」
「ちょっと待ちな!!アンタ今ヤヒスって呼ばれていたな?」
「えっ?そうだけど・・・」
「ヤヒスダンジョン発見と、悪の神を倒したヤヒスか・・・??獣人裁判も、ありゃ俺もみていたぜ、ドン!!と大枚見せつけてな・・・スカッとしたぜ」
職人はヤヒスの肩を叩きカラカラと笑っている。
「国の英雄じゃねぇか!!神の野郎のせいでこの工房もぺしゃんこになってな、気落ちしていた時にアンタがパパッと神の野郎を倒しちまった嬉しかったのなんの!!その英雄からの頼みとあっちゃ仕方ねぇや!!3000だ!!3000万ゴールドで仕事受けてやるよ!!」
「な、なんと!?それは誠か?」
「誠もまこと、ヤヒスには恩があるからよ、そう言うのは返すもんだぜ、それによ、勇者パーティー救国の英雄ヤヒス御用達!!なんて掲げりゃ美味い商売になるってモンよ、カッカッカッ」
職人は高らかに笑い、ヤヒス達は安堵のため息をついた。




