温泉を探し当てろ
ヤヒス達はジャパンから数日かけてプルツ国へと飛んでいた。
「む、プルツが見えてきたぞ、何やら煙が多く上がっておるが何らかの事業が進んでいるのだろうか」
「そうね、なにか小奇麗になってきている気もするわ」
やがてプルツ国の門に降り立つと、門番が膝を付きリャヒの帰りを待ちわびていたと言う具合のことを口にした。
「うむ、苦労を掛けるな、今後も邁進して欲しい」
リャヒは門番に声をかけ足を踏み入れて言った。
「王様!!今は芋がなり時ですだ!!見てくだせぇ!!」
獣人の男がバレーシ芋を持って見せてきた。
「良いことだな、本当に良いことだ、皆で育てた作物だ、大いに自慢してくれ」
リャヒの言葉を聞いた獣人たちは、子供のように喜んで笑顔を見せた。
「ずっと自分たちが住まう土地を探して放浪して、農業をやることを望んでいたのだから並々ならぬ思いがあるのね・・・」
「ああ、皆良い顔をしているよ」
ヴィーシャとヤヒスはそれを見て嬉しそうな表情を浮かべた」
しばらく辺りを観察していると、方々から声がかかり、領民は手に手に作物をもって駆け寄って来て、リャヒは丁寧に対応をしている。
「ふーんむ・・・この国が発展していくのは目まぐるしいものがあるが、その大きな部分にリャヒの人柄があるように思うのう」
「そうですね、リャヒさんの人柄は王として必要なものを強く感じます」
フィスとミードリはぼそぼそと話をしながらリャヒの様子を見ている。
その内に城の方から大臣がやってきてリャヒにうやうやしく頭を下げた。
「おお、大臣よ!良くやってくれている、本当に良くやってくれている!!多くを語らずとも民の様子を見れば一目でわかるぞ」
「恐れ多きお言葉、近頃は民草からも改善や新規事業の提案が上がり始め、いくつかは実際に導入されております、王よ、此度はどのような事業を考えて来ていただいたのですかな」
「うむ!それは温泉だ!!」
「お・・・オンセン?とは」
「ふむ、そうだな、マサカツよ説明してやってくれ」
「うん、大臣殿、お疲れ様です」
「おお互いにのう」
「温泉と言うのは地中から湧き出す湯のことです、様々な種類がありますがどれも病気や、特に疲労の回復に効果を発揮します、これはどこでも噴出する物ではなく、ある程度の条件が必要です、鉱物が含まれたある種の地質であること、とは言え完全にそうではありませんが」
「ふむ、それで?」
「温泉は高い確率で火山帯に近い場所に噴出します火山の熱で湯になると言うことですね、プルツは先日の件で火山がある事が判明していますので可能性が高いです、ですから今回はその温泉を探し当てるために来たのです」
「ふむ、風呂か・・・自然に湧く風呂だと言うことか」
大臣の言葉にマサカツはその通りであると笑顔で答える。
翌日から温泉探索が始まった。
温泉探索担当はその筋に多少詳しいマサカツとヴィーシャである。
他の者は、特に農業に詳しいヤヒスは農作物や土壌のことを担当し、草木に詳しいパムは薬草づくり、フィスはその怪力を生かした土木現場、ミードリはリャヒの書類仕事などの補佐を担当した。
「むぅ・・・なんだか私だけ担当が無いから温泉探索を手伝ってるように思えるんだけど・・・」
「仕方ないだろ、君は本来良い所のお嬢様なんだから土地開発のスキルがあるわけでなし、今回は戦闘があるわけでも無し」
「ふぅっ、グゥの音も出ないわね」
「それでも領地は広大だから、疲れたらダウジングをする担当を変えることも必要だよ」
「そうねー・・・もう少ししたらダウジング変わるわよ」
「助かる」
プルツ国の開発はまだまだ続くのである。




