ジャパン高級温泉旅行④
「おんせんだぁ~~」
マサカツはことに嬉しそうに廊下を歩き温泉のある区画に到着した。
「男は・・・こっちだね」
ヤヒスは紺色の暖簾がかけてある方を指さした」
引き戸をガラリと開けるとまず天井絵が目に入った。
「むぅ天井に絵が描いてあるぞ・・・雅だな・・・ジャパンの文化は他の国とは一線を画すものであるな」
「うん、とは言ってもこの旅館が特別だとは思うけどね」
「ああ、なんせ高級旅館だからね」
脱衣籠に浴衣をおさめ、持ってきた手ぬぐいを手に中に入ってゆく。
「おぉ白濁湯だ!!これはいい!!」
「確かに白いが、白いと何かいいことがあるのか?」
マサカツの言葉にリャヒが疑問を呈した。
「うん、まず珍しい、俺のいた国でもそうそうお目にかかれない湯だったし、たいていの場合効能が良い」
「しかし湯船も広いね」
マサカツの言葉を聞きながらヤヒスは湯船を見渡した。
「さぁさて、身体を洗ってから湯船につかるのが礼儀だぞ」
マサカツの言葉にヤヒスが答える。
「わかってるって」
「うむ」
リャヒは肩に手ぬぐいを乗せて腕組みをして様子をうかがっている。
「・・・美形長身の男が全裸で腕組みって構図はなかなかお目にかかれないな・・・」
「うん・・・ちょっと間抜けではあるけど・・・」
マサカツとヤヒスはリャヒの裸体を見て困惑している。
「む、どうした、早く入ろうではないか」
リャヒがそう言うので全員が湯船に入った。
「おぉう・・・こりゃいい・・・天井も高いし気分も最高だな」
「うん、これはドルガンより良いかもしれないな・・・」
マサカツとヤヒスが会話している傍らでリャヒは腕を組み頭をのけぞらせていた。
「何だい寝ているのかい?」
「む、いや、お前たちが言っていたプルツに温泉が出るかもしれないと言う話を早急に進めたらどうかと思ってな・・・」
ヤヒスが声をかけるとリャヒはしごく真面目な答えを返してきた。
「うん・・・ダウジングは俺のいた国では元々水脈や温泉を探し当てる器具だとされていたんだ、だが近年それは効果のないものだとされていた、だがここは魔法や不思議の世界、ダウジングが源泉発見につながるかもしれないな。
「おお、あのダウジングか、ならば可能性はあるな」
マサカツとリャヒが真面目な話をしている中でヤヒスは植木の広がる庭園を見に行ったが、そこにはもう一つ外に温泉が設えてあった。
「ねぇ、外にも温泉があるよ」
「なに?露天風呂だと?これはいい!!」
「うむ、見てみよう」
三人が露天風呂に出て見るとそこにはヴィーシャとミードリが立ち尽くしていた」
「え?」
「きゃあああああああ!!何でアンタらがいるのよ!?」
「ししししし知らないよ!!」
ミードリは素早く露天風呂から離れてそばにあって桶をヴィーシャに投げ渡した。
それを受け取ったヴィーシャはヤヒスめがけて投げつけた。
「うぉっとぉ!?」
ヤヒスがそれを避けると後ろにいたリャヒの顔面に叩きつけられた。
「おぶっ!?」
そう言った声を上げて床に尻もちをついた。
ヤヒスが振り向こうとした直前にまた桶が空中を舞い、ヤヒスの頭に当たり、ふらついたヤヒスは後ろ向きに倒れ、リャヒと折り重なるように床を滑っていった。
マサカツはと言うとすでに脱衣所への引き戸を開けて逃走しようとしていた。
「うぉ・・・マサカツ卑怯だぞ!!」
「うぅ・・・一人で逃げるとは・・・」
床に座り込んでいるヤヒスとリャヒはふらつきながら立ち上がった。
「アナタ達!!後で問い詰めてやるから覚悟しなさい!!男性部屋で説教よ!!」
仕切りの向こう側からヴィーシャの檄が飛んで来る。
「これ・・・俺たちが悪いの・・・?」
「いや、旅館の構造の問題であろう」
ヤヒスとリャヒは顔を合わせて渋い顔をした。
男性部屋からは外まで聞こえる大声がこだましている。
「あなた達どういうことなの!?」
男性メンバー三人は畳に正座させられている。
「いや、その、さっきも言ったように注意書きも何も書いていなくて・・・全然わからなくて・・・ヤヒス君があっち行こうって言うんで俺らはついて行っただけなんすよ・・・」
「おい!いかにも俺が悪いみたいに言うなよ!!」
マサカツの証言にヤヒスは不服を申し立てている。
「ヤヒス・・・確かに一番最初に覗いていたいたのはアナタだったわよね・・・」
「イッ」
それを受けたヴィーシャはヤヒスを問い詰めている。
「いや・・・風呂の構造的に問題があるんじゃぁ・・・」
「我ら二人は桶を顔面と頭に食らったのだぞ、それでもう罰と言うことにはならんのか?」
ヤヒスとリャヒは落としどころを探っている。
「そうですよヴィーシャさん・・・これくらいで」
ミードリが折衷案を飲むことを提案した。
「ふむ・・・そうね、これくらいにしないと落としどころが無いわ・・・」
「あのっ・・・」
「はいヤヒス!」
「俺らの中で一番最初に逃げたのは・・・マサカツ君なんですよぉ・・・」
「む、そうであった、我らが床に倒れているときにはすでに脱衣場に逃げ込もうとしていた」
リャヒもヤヒスに合わせる。
「ちょっとまてお前ら!!俺は見てないし見る前に状況を察して撤退しただけだ!!おお、俺は悪くないぞ」
「ふ~ん・・・」
ヴィーシャはそう言うとマサカツを見つめて笑った。




