ジャパン高級温泉旅行③
部屋の意匠や海を眺めたりなど三々五々楽しんでいると、ノックの音が聞こえた。
「はい、何でしょうか?」
ヤヒスがそう言って戸を開けると、中居が立っていて、食事の準備ができた旨を伝えてきた。
パーティー全員にそのことを伝えると、皆ぞろぞろと部屋を出て、中居の後について行き、一階までおりて大広間に案内された。
「おぉ・・・広いのう、これはいい」
フィスがそうつぶやくと、皆は椅子席に案内された。
「椅子席なのはありがたいですね、畳に座るとあの足の痺れが発生しますから」
それを聞いて皆そうだと言うようなことを口々にした。
「当旅館、望洋郭の女将でございます、本日はご利用まことにありがとうございます」
一層質の良い着物を身に着けた女将が、畳に座して頭を下げたので、皆それにならって頭を下げた。
「大変申し訳ないことでございますが、諸事情で海鮮料理が少なくなってございます、ジャパンと言えば海鮮料理と自負しておりましたが、まことに残念なことでございます」
「諸事情って何?良ければ聞かせてくれないかしら?」
ヴィーシャは臆することなく話を突っ込んでいった。
「はい、実はこの近海に海龍が出現して、船を襲うため、ごく限られた地域でしか漁が出来ないのです」
「海龍・・・水中に住まうドラゴンですね、性格は非常に穏やかで、人間とトラブルを起こすことはまずないとされていますが」
女将の言葉にミードリが疑問を提示した。
「その通りでございます、これまでは漁船の近くを並走したり、人間に興味が強いようで何のトラブルもありませんでした」
「ここに来てなぜそうなっているのか?と言うことですね?」
「はい、原因は皆目わからず困窮しているしだいでございます」
「冒険者への依頼はしているの?」
「はい、しかし海中の龍に船舶で近づくとなると一方的に攻撃されてしまい、どの方々も困難し、解決に至らないしだいでして」
「俺たちも冒険者だから、明日にでもギルドに顔を出して様子を聞いてみるよ」
「大変ありがたいお言葉、感謝いたします」
そのようなやり取りを経て女将は下がっていき、料理が運ばれてきた。
まず船盛が運ばれてきて中心に置かれ、小鉢がこまごまと配置されてきた。
「こ・・・この魚の死体は何?生魚なの?食べるの??」
マサカツ以外は船盛をみて困惑している。
「そうさ、サシミと言う生魚をこのセウユを付けて、山葵をつけて食べるのさ、うん、うまいねぇ」
皆おそるおそるサシミに手を付けている。
「うん、これは美味いな、甘みもあるしスッとする辛味もある、ワシは気に入ったぞ」
フィスは片っ端から口に入れていくが、他の者はおそるおそると言う感じで口に入れ始めたが、存外悪くないと思ったのか手を伸ばすペースが早まっていく。
「この小さな器に入った食べ物は色が鮮やかですごく見た目が良いですね」
ミードリは気に入ったようでちまちまと食べ進めている。
「うっ・・・この黒い豆は何??大丈夫なの??」
「ああそうか、黒いものを腐敗だと認識する国も少なくないんだったね」
ヴィーシャの困惑にマサカツが頷いている。
「甘くておいしいよ」
パムは黒豆を食べながら皆に進めている。
段々と慣れてきた一行はもつもつと食を進めて行き、全員が食べきった時点で男女それぞれ部屋に向かって行った。
「温泉だ!温泉だ!」
マサカツは素早く浴衣に着替え他の二人を待っている。
「しかしリャヒはキツキツだねぇ」
「む、しかたあるまい郷に入っては郷に従え、用意された物を着るまでのこと。
「じゃあ行こう行こう」
マサカツを先頭に三人は温泉へと向かった。




