ジャパン高級温泉旅行②
黄昏パーティー一行は望洋郭の門前で立ち尽くしていた。
「なんて大きな門なの・・・それに細工が細かくてただの宿じゃないことが一目でわかるわ」
「うん、門はその建築の顔とも言われるからね、これだけで望洋郭がすごいことが分かる」
ヴィーシャの言葉にマサカツが賛同する。
全員で門をくぐり、趣がある前庭を通って入口から中に入ると、すぐに中居がやってきてにこやかな顔をして言った。
「何か御用でしょうか?」
「この宿に泊まりたいのよ、何か問題があるのかしら?」
「申し訳ありませんが当宿はどなたかの御紹介か、ご紹介を受けて以降でしかご宿泊できません」
ヴィーシャの言葉に中居は笑顔を崩さず一見はお断りだと言うことを遠回して言ってきた。
「ヴィーシャ、例の証書を出さないと」
ヤヒスがそう言うと、ヴィーシャは慌ててポーチから腕相撲大会で優勝をしたことを示す内容と、印が大きく押された用紙を女中に見せた。
すると女中は頭を下げ失礼があった旨を詫びた。
「男性四名、女性三名の合計七名でよろしかったですか?」
「はい」ヤヒスがそう答えると受付へいざなわれ、そこで宿帳を書いた。
「ではこちらへどうぞ」
中居の後ろ姿を追いながら廊下を進むと、天井は格子状に、柱は等間隔でになにがしかの彫り物がしているのが分かった。
全員周囲を見回して驚きの顔で進んで行く。
貴族の娘であるヴィーシャすら驚きの表情で見回していることからもよほどの建築だと言うことが誰の目にも明らかだった。
「こちら、入浴施設、温泉になります」
そう案内されたのは、数段あがった場所に重厚な引き戸が設えてある風情あるつくりの空間であった。
それからすぐ階段を上がり、三階まで登り詰めると、二つだけ引き戸のついた廊下が広がっていた。
「まず男性の居室にご案内します」
そう言うと戸をスラリと開け、上がりぶちのついた入口に入ると格子状に隙間がある引き戸がついており、中の様子がうすく見えるようになっていた。
「おくつろぎくださいませ」
中居はそう言うと女性たちの部屋の案内に向かった。
格子戸をあけて中に入ると、隅にじゅうたんが敷いて有り、テーブルと机が備えてあった。
「そうか、海外の洋式建築になれた人に向けての配慮か、これはいい」
マサカツはそう言いながら障子戸に向かいゆっくりと開けた。
「おぉ・・・海が見渡せるし町の様子も見て取れる・・・これは大したものだ」
リャヒは目を輝かせている。
「おいすげぇぞ!!こっちにも部屋が二つある!!合計三部屋だ!!ははは」
他の二人も別の部屋絵へ移動すると生け花や掛け軸など控えめな調度品にうむ、と感心している。
「ん?この階段は何だろう」
マサカツが数段登り障子戸を開けると、そこには広い縁台が設えてあり、ここにもまた掘り込み意匠のある椅子が置かれていた。
「むぅ、これはまた心地よい、うーむ・・・ジャパンと言うのは本当に侮りがたい国だな、ほとんどが木と土に紙だぞ?それこのような雅な居室を作り上げるとは・・・」
リャヒは心の底から感心しているようだった。
三人は縁台でくつろいでいるとカツカツとノックの音がしたので、ヤヒスは部屋の戸を開けに向かった。
「はい、何でしょうか」
開け放った先にはヴィーシャ達四人が立っていた。
「私たちの部屋はすごいわよ!!感心しちゃった!!男性部屋も見せてちょうだい!!」
彼女は有無を言わさず部屋に入って来た、他の三人もとすとすと畳を歩き部屋を見てまわっている
「なーんだ、私達の部屋と逆なだけで同じつくりじゃない」
「そりゃどっちかだけ特別なつくりにすると不満が出るからじゃないのか?」
ヴィーシャの横に立ったヤヒスはそう声をかけた。
「とにかくいい表せない作りですね」
ミードリがそう言うと全員うなづいて少し笑った。




