腕相撲大会④
開始のコールと共にフィスと対戦相手はがっぷり組んで小康状態になった。
「おいおい!!すぐ決めろよ!!」
「女の子チャン相手に情けねーぞ!!」
すぐにヤジが飛び出したが、それと共にフィスの腕が相手の腕を少しづつ押し込み始めた。
フィスは必死に力を込めているような表情を作っている。
フィスの腕がゆるゆると対戦者の腕をテーブルにかぶせていくような体制になると、辺りはシンと静まり返った。
その内にフィスの腕がガッと相手の腕を抑え込んだ所で歓声が爆発した。
「うぉおおおおおお!!!やりやがった!!」
「おいおいどうなってんだ面白くなってきたぜぇ!!」
「今年は荒れるなぁ・・・」
「うん・・・負けた奴だって決して弱い奴じゃぁ無いぜ」
「ふぅーー・・・フィスの奴うまいことやったな、見せる試合を意識しているのかもしれないな」
「見せる試合?」
「ああ、こう言うのは見ている側が熱狂するように追い込まれたように見せたり、圧倒的に勝利して楽しませる場合があるんだ、さっきの試合は少女と大の大人が拮抗してから、じわじわとフィスが追い込んだろう?予測していなかったことが起きて興奮を生み出したんだ」
マサカツがパムに説明している所にヴィーシャがなるほどと言う表情で見ている。
トーナメントは進み、再びフィスの試合となり、両者は手を組んだ、フィスをヤジる者は一人もいなかった。
「双方準備はいいか!!レディーーーゴ!!」
今度はフィスがじわじわと押し込まれる展開で、表情もうまい具合に必死さを表している。
しばらくそれが続いた後で、フィスはぐいと手首を返し、秒針の進むほどの速度で手を返していく。
会場は大いにわき返り、フィスは途中から一気に力を込め、相手の手を机にねじ伏せた。
フィスの名前が呼び上げられ、それに対して少なからず彼女の名前をコールする声が響いた。
「うむ、これは面白いな、内情を知らなければ我とて驚きで声を上げるであろう」
「単純なルールだから余計に面白いですね、相手の手を板に押し付ける、ただそれだけのわかりやすさ、わかりやすいことはだれしも楽しめると言うことですから」
「ミードリの言う通りさ、子供でもわかる」
リャヒとミードリがやり取りしているとマサカツも加わり、改めて腕相撲の面白さを確認していた。
時間は進み、幾人かの対戦者を倒したフィスは、観客からのコールを圧倒的に集めていくこととなった。
「すごいな、フィスコールだよ、」
「うまく試合を運んでいるわね、これならギリギリで勝ち進んでいるように見えるわ」
ヤヒスがつぶやくとヴィーシャは腕を組みながら他の試合をみつめている。
そして向かえた最終勝負、対戦相手はイエール、イエールへのコールはさすがにすさまじく、フィスへのコールがかき消されがちになっている。
最初にイエールが机に向かい、木箱を置いたフィスはその上でイエールを見つめていた。




