腕相撲大会③
鉄製の机が中央に置かれた広場には大勢の人が詰め掛けているが、その多くは男性である。
男性は互いの肉がぶつかり合う格闘技や、今回催される腕相撲大会などを細胞レベルで好むのである。
そのうち初老の紳士が机の前に現れると、辺りはシンと静まり返った。
「あーソヴィルバーレ商工会会長のデボンです、毎年恒例、ソヴィルバーレ商工会腕相撲大会を執り行う・・・お前らーーー!!ソヴィルバーレ一1の剛腕が誰か知りたいかぁあああああ!!!!」
「うぉおおおおおおお!!!!」
その煽りに会場全体が唸り声を上げて空気がビリビリと振動している。
「うるっさ・・・」
ヴィーシャは耳を覆い苦い顔をしている。
「こりゃ凄い、一大イベントじゃないか」
マサカツがそうつぶやいていると中央にパネルが引き出されてきて、そこにはトーナメント表が張り付けられていた。
「フィスは・・・右端の方か、どこが有利かなんてわかんないよ・・・」
「む、我々はどの男がどれだけの実力を有しているかわからぬからな」
「フィスならどの位置でも同じことだと思う」
ヤヒスとリャヒが会話しているとパムがフィスが圧倒的だと言わんばかりの台詞をつぶやいた。
「おん?イエールがエントリーしているじゃないか、たしかにアイツならいいとこ行きそうだもんな」
「おう兄ちゃん、イエールはここ二年連覇状態だぜ、しかも圧倒的にだ、他の男たちは誰にも目もくれず打倒イエールを目標に掲げて訓練して来ただろうよ」
「え?そうなの?やっぱりイエールはすごいなぁ」
隣に立っていた男に話しかけられ、イエールの実力を知ったヤヒスはただ感心するばかりだった。
やがて第一試合に入り、パーティー名と名前が読み上げられ、それに対してまたしても会場が沸くいている。
そしてすぐに試合に入り、開始の合図がコールされる。
「双方準備は良いか!?レディーーーゴ!!!!」
いきなり片方がぐいと腕を押し込んだが、相手の方はじわじわとそれを返している、
「よーーーし返せ!!」
「おい!!押し戻されるな!!」
観客から怒号が飛び周囲の熱気はすさまじいものである。
その内に押し込まれていた方の男が一気に力を込めてぐいぐいと腕を畳み込み、相手の手をテーブルに着けた。
会場は大いに沸き、勝者の名前が呼び上げられ、その男は拳を天に突き上げている。
「すげぇ!!劣勢なのを覆したぞ!!」
「だろう?こういう試合が一番おもしれぇんだ、力が拮抗して動かなくなる時もあるんだぜ?そう言う試合もたまんねぇんだよ」
となりの男はヤヒスに喋りかけ、ヤヒスはそれを興味深そうに聞き入っている。
そうこうしているうちにフィスの出番となり、木箱を持ったフィスが入場して来た。
「おい、女の子だぜ」
「チビじゃねぇか、にしてもあの木箱は何だ?」
「おいおいどこのパーティーだ、あんなの送り込んだのは」
観客がどよめいている中、フィスは木箱を置いてその上に乗り、机に向かって腕を降ろした。
「ぷ、わはははは!!ちっこいから机に届かないんだ!!」
「こーりゃぁいいや!!おい、オメー手加減してやれよ!!」
様々な煽りが飛んで来るなかフィスは気にしていない様子だが、相手の男は困惑してやりにくそうにしている。
「うん、普段ならあそこでヤジに反応するところだけど、言い含めていることをきちんと守っているわ」
そしてパーティー名と選手名が読み上げられ、フィスと対戦相手は腕を組む。
「双方準備はいいか!!レディーーーゴ!!」
トーナメントはまだ始まったばかりだ。




