犬の導き①
ヤヒス達が昼食に出ようと扉を開けて前庭に出た時、そこには見慣れない者が横たわっていた。
「あら、犬だわ・・・」
「ほんとだ」
ヴィーシャとヤヒスが顔を見合わせているとマサカツが犬に近寄り様子を眺めた。
「これは・・・ずいぶんとお年寄りだな」
マサカツが言うようにその犬は目がしょぼくれて顔には禿が所々見当たり、毛艶もなくボロボロの犬であった。
全員様子を見に犬に近寄ると、その犬はよろよろと起き上がり、ヴィーシャのブーツを軽く嚙み引っ張るような動作を繰り返してきた。
「付いてこいって言うことなのかしら・・・」
しばらくするとその犬はよろよろと歩みながら通りに出るとこちらを一瞥するとまたよろよろと歩き出した。
「何か意図があるようですね」
「まさか、いぬっころだぞ」
ミードリに対してフィスが否定的な答えを返すが、結局犬の後を付いて行く形になり、よろよろとした歩みで北門を出た。
「ふむ、歩みに迷いが無い、本来犬はとても頭のいい動物なんだ、と言っても個体差がかなり大きいんだけど」
「む、何か理由があるのやもしれぬ、どうせ暇であったしついて行っても良いのではないか?」
マサカツの話しにリャヒは目を細めて犬の垂れ下がった尾っぽを見つめた。
犬の歩みは遅く、じりじりと街道を進んでいたが、そのうち枝道に入りはっきりと意志を持って歩んでいることが分かって来た。
「何があるんだろう」
パムは薄暗くなってきた細道をゆっくりと進みながらつぶやいた。
「俺のいた世界では犬が導くのでついて行ったら金銀財宝が手に入るっておとぎ話があるんだけどね」
「まさか、そんなうまい話が・・・」
ヤヒスがそう言うと犬は細道の端に寄って行くとそこにうずくまった。
「なになに?どういうこと?」
ヴィーシャが手を胸の前で広げてあきれた様子を表現し、他の面々も仕方なくそこで食事をとることにした」
「昼食を取るつもりで出てきたから荷物が無いんだよなぁ・・・ポーチに入れておいたレンバスを分け合って食べよう」
ヤヒスは犬を見ながらため息をついた。
レンバスをもそもそと食べていると妙な音が聞こえてきた。
「何か変な音がしないかしらプープー聞こえるのよ」
「え?そうかい?」
ヴィーシャがそう言うとヤヒスは何のことかわからないと言う仕草を取った。
「聞こえる、確かに、こっちの方」
パムは耳を前後左右させながら犬に近づいた。
「犬、いびきをかいている」
それを聞いて一同はどっと笑ったが、犬は起きる気配が無かった」
薄暗い中、ヤヒスはぬめったくて生臭いものが顔を濡らしたことで目を覚ました。
「うわっ!?なんだなんだ??」
見回すと犬が息をしながら座り込んでいた。
「もー・・・なにうるさい、まだ暗いじゃないの、あら、犬が起きているわね、あっもう!!どこかへ向かおうとしているわ、みんな起きて起きて」
パーティーの面々はなんだかよくわからないと言った顔でもそもそと起き出して犬の後を追ったが、その歩みの遅さゆえにすぐに後に追いついてしまった。




