失踪事件⑦
ヤヒスが最後の巨人を崩壊させた後は辺りは静まり返っていた。
「か、確保ーーー!!!」
はたと気付いたような具合で衛兵が叫び、それを聞いた老人は森の中へ逃げ出した。
捕縛しようとする衛兵や冒険者が丘を走りあがると森の中からフィスがやってきて、老人を地面に放り投げた。
「死んではおらんよ、気絶させただけだわい」
その後及び腰ながらも衛兵が老人に近づき、縄で捕縛する作業に入った。
フィスが斜面を降りて行くと、同じようにヤヒスも降りてきたので、二人は親指を上げてにっかりとした笑みを浮かべた。
「おかえり、さすがフィスね、逃亡することを読んで待ち構えていたのね」
「うむ、マスターが動けば必ず何かが起こる、この場合片付けてしまうと思ってな、先回りしておったのよ」
「あ~お疲れ、被害者の救助を手伝ってきたけど、やはり実入りの良い仕事だと騙されて魔法学研究所に監禁されていたそうだよ」
「つまり今回追っていた事件も解決したと言うことですね」
ヴィーシャはフィスを出迎え、その後マサカツも合流してミードリと何やら話し込んでいる。
「うむ?ところでヤヒスはどこだ?」
「あ~・・・あそこで冒険者に囲まれて色々聞けれている感じよ
「あれを見れば誰でも驚くし何をやったか聞きたくなる」
リャヒの声にヴィーシャとパムは冒険者に囲まれているヤヒスを指さした。
「あっ、走って来た」
「みんな逃げるぞぉ~~~いちいち相手をしてられない~~~!!」
ヤヒスは仲間の横を通り抜けて走ってゆくので全員その背を追うことになった。
「ハッハッ・・・ここまで走ればもう追いかけてこないでしょう・・・」
ヴィーシャは膝に手を置いて肩で息をしている。
「はっはっはぁ・・・普段走らないので二回も走ると息が・・・」
ミードリが膝を付いている。
「・・・・・・」
パムは地面にうつぶせで身体を大きく動かしながら息をしている。
その後一行はぐるりと半周外壁を周って別の門から中に入った。
「さて、クエスト達成の報告はどうする?」
「明日で良いのではないか?こうもゴチャゴチャしておるといったん寝かした方が良い」
「そうだね、巨人の件は衛兵の方から聞き取りに来そうな気もするけれど」
ヤヒスが誰にともなく話しかけるとリャヒがそれに答えマサカツも同じような内容を話した。
「それよりお腹が減ったわ、昨日から神経使っているし地味に疲れがたまっているのよね」
「そうだわなぁ、もう昼時になるしのう、そこらの飯屋にでも入るかの?」
ヴィーシャが昼食のことを切りだすと、ちょうど食堂が見えたので、フィスが親指でそこを示した。
「入ったことのないお店ですね、この際ここに決めても良いのではないでしょうか」
「賛成だよ、もう疲れちゃったよ」
ミードリがそう言うとヤヒスはそれに賛同した。
黄昏パーティー一行はそのまま食事をとったが、姿をくらませたことで、衛兵が現場整理に手を焼き、ようやく整理がついた翌日の早朝、ヤヒス達は聴収に訪れた衛兵を眠い目で迎えることになるのであった。




