失踪事件⑤
早朝の薄明るい頃にはヤヒス達は廃棄された精錬工場へ向かっていた。
「我が主、煙突が伸びている建物が見えてきました」
「煙突か、間違いなく精錬工場みたいだね」
チヌックが報告をしてきたのでヤヒスはそれに答える。
「む、精錬工場を利用して何がしかの物品をタダ同然で作らせているような可能性もあるな」
「考えられますね・・・」
リャヒとミードリは目を交わして会話を続け、チヌックは工場付近に滑空していった。
「ここも足跡も踏み跡もないね・・・ハズレかな」
パムがつぶやきながら建物に歩いて行く。
確かに建築物の内部は荒れ放題で、とても人が住まわされているとは思えない光景だ。
「次は・・・魔法学研究所だ、ソヴィルバーレ南門に近いぞ」
マサカツが地図を確認しながら歩いている。
その後またチヌックで舞あがり魔法学研究所の跡に向かった。
建物付近にチヌックを降ろすと踏み跡が続いているのが見えてきた。
「ふみ跡だ!!足跡もあるぞ!!」
ヤヒスが叫ぶと全員腰を落として建物に接近していく」
「これは・・・人間の匂いがある、間違いないだろう」
フィスの言葉に全員警戒して建物になだれ込んだ。
「誰もいない・・・」
「ヴィーシャさん!!食事をした痕跡や毛布があります!!」
「遅かったか・・・」
ミードリとヴィーシャの声を聞きマサカツが壁を足でけり上げた。
「いや、まだ慌てるべきだは無いぞ、この匂いは2-30分前まではいた感じだ、チヌなら探せる距離だのう脱出するのは馬車でだろうよ、馬車を追えば良かろう。
フィスの言葉を受けて全員外に出るとチヌックが上空に舞っていた。
「おっかしいな、いつもなら動かずに待機しているのに・・・チヌックーーーー!!!」
ヤヒスの呼び声に気付いたチヌックは滑空して一行の前に降り立った。
「我が主、ソヴィルバーレ南門で妙なことが起こっています」
「え?どんなこと?」
「は、衛兵と冒険者が集まって騒ぎになっております、それと巨人が三体、衛兵たちはおそらくそれと対峙しているのでしょう」
「何それ!?巨人!!」
「とにかく何かトラブルがあったことは間違いないな・・・うんむ・・・失踪者を追うかその巨人に対抗すべきか」
ヴィーシャがそう言うとマサカツは目を細めて選択を迫られていた」
「それが、その巨人がここにいた者たちが起こしている騒ぎだったとしたら」
全員がパムの方を見据えてその後考え込んでいる
「ッ・・・目の前に見えているトラブルに対処するわ!!みんなチヌックに乗って!!」
ヴィーシャの声で全員が弾かれたようにチヌックに乗り上空に上がった後でソヴィルバーレ南門を目指した。




