失踪事件④
「ただいまー戻ったよ」
ヤヒスがパーティーホームのドアを開けるとダイニングテーブルに他の面々が集まっていた。
「どう?イエールから情報をもらえた?」
「バッチリだよ、イエールはすごいな、細かいことまで覚えていてスラスラ教えてくれたよ。
「また酒場にいたんですか?」
「ははは、そうさ、だからじっくり話が出来た。
ヴィーシャとミードリの質問にヤヒスは笑いながら答えた。
「で、どんな具合まで情報が得られた?」
「ああ、地図に書き込んでもらった、これさ」
そう言うとヤヒスは地図を広げて見せた。
「む・・・この黒丸がそうか・・・旧精錬工場、なるほど放棄された建物か」
マサカツとリャヒは地図をのぞき込んで真剣な顔つきである。
「む・・・全部で8カ所か、しかも散らばっているが、若干西寄りではあるのう」
「これを全部調べるんだね」
フィスは思いのほか多い候補点に顔を曇らせ、パムはそれを聞いてため息をついた。
「気持ちは分かるけど時間が長くなると失踪者の生命が危うくなる可能性があるわ、すぐにでも出かけましょう」
一行は早足で北門をくぐりチヌックの背に乗り、目標地点を目指した。
「我が主、何やら中規模な建築物が見えてまいりました」
「うん、ヴィーシャ」
チヌックと受け答えをしたヤヒスはヴィーシャに確認を得る。
「降りましょう」
廃棄された学校に近づくと、踏み跡や足跡もなく、最近近付いたものがあるような痕跡は見当たらなかった。
「違うようですね・・・」
「そうさな、人間の匂いもしない」
ミードリが草をかき分けて進むとフィスは鼻を鳴らしてそれに答える。
室内に踏み入ってもガラクタだらけで誰も見当たらなかった。
「一件目は外れか、次はここに近い放棄された穀物倉庫だな」
マサカツはため息をつき出口に向かった。
その後も丹念に調べて行ったが、夕暮れが近くなったので、4カ所調べるだけにとどまった。
「はぁ、妙に疲れたわね」
「神経を使うからねどこかに隠れているかもしれないとか、何より時間が経過すると失踪者の身に危険が及ぶよ」
ヴィーシャは肩をくにゃりとさせてつぶやきヤヒスも渋い顔をしている。
「しかしあと4カ所です、明日中には見つけ出しましょう、早朝から動くのが良いでしょう」
「ああ、時間との勝負になるな」
ミードリはマサカツに話しかけ、それに答えたマサカツは神妙な目つきをしている。
「うむ、しかし気が滅入るのう、こういう依頼は士気が下がるな」
「でしたら今日は高めの食堂に行きませんか、行動できない以上今できることはありませんし、気分転換でも」
リャヒの言葉にミードリが提案する。
「いいね!」
「そうしましょう、甘いもの食べたいわ」
それにヤヒスとヴィーシャが乗ってきたので一行はホームを出て食堂街に向かって歩みを進めて行った。




