失踪事件③
ヤヒスは朝から冒険者ギルドに向かっていた、その手には地図と帳面が握りしめられている。
「おはよー、イエールはいるかい?」
「ん?ヤヒスか、アイツならいつもの朝酒だぜ」
「あっ、そうか、そう言う習慣があるって言ってたね」
ヤヒスは冒険者の連中と世間話をしている。
「早く行かないと恋人を独占出来ないぜ」
「はははっちげぇねぇ!」
「何だいその恋人ってのは?」
「イエールだよ、お前ら仲良しこよしだろ」
「もーなんだよ変な冗談やめてよ」
ヤヒスは困り顔である。
「とにかくありがとう、酒場に行ってみるよ。
「・・・ふん、恋人ってのはまんざら冗談でも無いんだがなぁ」
「ああ、イエールのヤツはヤヒスに特別心を開いてやがる」
「初対面は最悪だったのにな」
冒険者連中はヤヒスとイエールの話題でひとしきり盛り上がった。
「おはようございまーす」
ヤヒスが酒場のドアを開けるとドリンドリンと重たい鈴の音が響いた。
「ん?聞いた声だと思えばヤヒスか?朝酒ってわけじゃないんだろ?何か用か?」
「いや、イエールくらいにしか教えてもらえそうにない情報があってさ」
「ふん・・・どんなのだ?」
「ソヴィルバーレ周辺に大量の人間を監禁できる建物が無いかどうか聞きたくてさ」
「ちょっとアンタ、酒場に来たらいっぱいたのむのが礼儀ってもんだろ」
「ああ、そうだね、レモン水を」
「イエールに比べたらおしとやかな注文だね、はっはっは」
イエールと話している最中に酒場の女将がわりこんできた。
「んで、監禁場所か、いくつかあるぜ、地図をよこせ」
「うん」
「まずここが一番近いな、だいぶ昔に学校として使われていた場所だ、石造りで頑丈だからいまでも使えるだろうよ」
「次はここだ、これもずいぶん前の建物でな、兵士が駐屯していた建物だ、今は同盟国になったからその役割は消えた、次は・・・」
「それでここが魔法学研究所だった場所だ、施設が古くなったので今別の場所にある、何でも良くわからない設備や機械があるらしい・・・とこんなとこだな」
「すごいなイエールは、スラスラ言葉が出てくるね」
「ハッ、伊達に古株やってねぇよ」
イエールは親指を上げてにこやかな顔をした。
「ありがとう、助かったよ!!」
「なぁに、良いってことよ。
ヤヒスは手を振りながら酒場を出て行った。
「やれやれ・・・ようやく先輩らしいことをしてやれたぜ。
イエールはニヤニヤと笑いながらエールをあおった。




