塗り替えて勝て⑤
すばやく黄土を発見したヤヒス達はそれの運搬を獣人に任せて別の作業場に向かった。
「おおっこれくらいのタルだな」
「けっこうでかくないかい?」
「これに中身も入れるんでしょ?、誰が運ぶのよ」
「フィスさ、分厚い鉄扉もぎ取って投げるくらいだから、そう難しくなかろうよ」
マサカツとヤヒスが樽を目の前にしていると、後ろからヴィーシャが声をかけてくる。
「ん?ワシが運ぶのか?」
「ああ、これに水がいっぱい入るんだけど・・・」
「ほ、そのくらいへーちょだわい、ドラゴンだからのう」
「さて、後の部品は俺が調達してくるからみんな適当に領内を見物でもしてきたらどうだい?」
マサカツがそう言うので一行は畑を見に行った。
「む、全部刈り取られているな」
「そりゃそうさ、冬も遠くないからね」
「そう言えば肌寒いわね」
リャヒとヤヒスの会話をよそにヴィーシャが肩を抱くような姿勢を見せる。
「ヤヒスさんが言ったように冬も近いですし、北方ですからね、王都とは5℃くらいは違うのではないでしょうか・・・」
そのようにして領内を周ると、マサカツが合流してきた。
「出来た出来た、試験もしてきたが目論見通りの働きをしたよ」
「もうできたの?」
「単純な構造だからね」
「それでも早いのは助かる」
マサカツはヴィーシャとパムに身振り手振りで説明しているが、二人は何のことやらわからないと言う顔をしている。
その内に魔石ランプが灯されて、野外デッキで食事をすることになった。
「おぉ・・・パンではないか」
「すごい・・・麦粥からここまで来た」
リャヒとヤヒスは他の面々がもつもつと食べている横で食事の内容を見て喜んでいる。
「確かに、ゆでたまごと、こりゃザゥワークラウトかな、以前と全然違う」
「はい、建築作業を請け負うかわりにビソル村から多くの鶏の提供を受けまして、そのキャベツの酢漬けは商人からレシピをもらいました」
給仕は頭を下げながら食材の説明をはじめた。
食後は男女別れて作業小屋のような建物を寝床として案内された。
「それにしても我が王までこのような場所で寝泊まりせずともご寝所を使われては」
「良いと言っておるのだ、我は王であり冒険者だ、仲間と床を共にするのが道理であろう」
「はぁ・・・では・・・」
使用人が去るとリャヒはドッカと椅子に座り込んだ。
「うむ、すごいぞ、想像以上プルツは発展しておる、それに岩石と木材が重宝されるとは考えもせなんだ先の戦争から急激に勃興しておる」
そこにマサカツが話をはさんで来た。
「・・・俺の国も大きな大戦で何十万人と死亡して主要都市のほとんどは戦災で焼け落ちたんだ、最も俺の国から戦争を誘発したようなモノだったんだけどね」
「プルツと同じであるな・・・」
「世界中は思ったんだ、あの国は最貧国になり二度と世界と言う場に出てこないぞと、だが違ったんだ敗戦からものの20年で世界に進出して、4-50年後はあの国の製品は世界最高だと言わしめるに至ったのさ」
「どうやってそんなことになったの・・・?」
ヤヒスが驚いている。
「フゥー・・・所説あるから良くわからないが、戦争では負けた、だが産業はどうだ、産業で世界を塗り替えて勝ってやれ、そう思ったんじゃないのかな・・・」
マサカツは天井を見つめて質問に答えた。




