塗り替えて勝て④
「おにぃちゃんもういっちゃうの?」
ヤヒスの妹であるシュルレは悲しそうな顔で黄昏パーティー一行を見つめている。
「仕方ないんだ、早く退治しないといけない魔物がいてね、兄ちゃんたちは急いでるんだよ」
シュルレは小さくうなづくと、村を出て行く一行に手を振り続けた。
チヌックで飛んでプルツ国に降り立ったのは昼下がりだった。
「おぉ、石造りの大きな城門が建っているぞ!」
「本当だ、前に来た時は無かったよ」
そのような話をしながら城門をくぐろうとすると衛兵がはたとした表情に変わり膝を付いた。
「我が王!!お戻りいただき歓喜の情にたえません」
「良いよい、膝など突かぬとも、堅苦しくてかなわぬ」
膝を上げて起立した衛兵の横を通り抜けて土くれた道を歩いて行くと、様々に膝を付く国民が道筋に連なり、リャヒは手を振って起立することを呼びかけ続けた。
「ふむ、これではどうも目的にたどり着くことができぬな・・・」
リャヒがそう口に出すと前方から小走りに近寄って来る連中が見て取れた。
「今度はまぁたくさん来よったのう、王よ」
「仕方ないじゃない、色々報告したり指示を受けたりしたいものよ」
「そうですね、目上の人には成果を報告したり的確な指示を受けたりしたくなるものです」
フィスがため息交じりに言ったところに、ヴィーシャとミードリが仕方がないことだと言う具合の言葉を返した。
「リャヒ王!!リャヒ王!!先の獣人受け入れの件まことに感謝しております、お忙しい中でありましょうが一言、ひとことお礼申し上げたく!!」
「ん?おお、獣人の一団であったか、面を上げい、健やかくくらせておるか?差別など受けてはおらぬか?何かあれば何なりと申すが良いぞ」
「めっそうもない、プルツの人々は我々を旧知の仲と受け入れてくれております」
「そうか・・・我も誇らしいことだ」
獣人の一団とリャヒは楽しそうにやり取りしている。
「む、そうであった、そなたらは鉱物だったか・・・何であったかのマサカツ」
「染料だよ、黄色い土でものに色を付けるんだ黄土とよばれているものさ」
「黄土・・・お前たち知っている者はいるか?!」
獣人の長が振り向いて叫ぶと、4-5人が声を上げて手を振った。
「目的の物はありそうですね」
「うん、材料が無ければ話にならない」
ミードリとパムが一安心と言う風にため息をついた。
獣人の一団を後ろに、鉱物を専門に扱う獣人たちの背について歩いて行く、その道は山裾に続き、何か大きな建屋のようなものが見えてきた。
「へぇ、ここが鉱物類をおさめてある建物であります、ワシらば力が強いよってこの仕事に配置されとります」
「うむ、適材適所と言う奴だな、して、黄土は?」
「は、この先であります」
「おっ、本当だ、黄色い土みたいなのがたくさん固めてある」
「あれだけあれば目的の量には十分そうだな」
マサカツとヤヒスは互いにうなづき合い土くれの山へ向かった。




