塗り替えて勝て③
「すごい・・・室内の造りもソヴィルバーレにも、いえ、それ以上の造り込みです、センスがいい内装です」
ミードリは室内に入ってすぐに驚きの声をもらした。
「ふん、新しい木材の良い匂いがするのう」
「ええ、これは大したものよ」
フィスとヴィーシャもあちこちに目をやっている。
「おっ、ヤヒスじゃねぇか、とすると黄昏とか何とか言う冒険者の一団かね?いい宿だろう、ここはソヴィルバーレ領内だから宿をやるのにって許可取りに行ったんだ、あー材とか大まかな大きさなんかをよ、申請するんだ、したらおめぇ国一番の建築士とか言う人が出て来てよ、プルツの材で建てるなら自分にやらせてほしいって言いだしてな」
宿屋の親父は朗らかな表情で話をすすめている。
「何でも材が良いから一度造ってみたかったって言うんでな、料金も格安にするからってんでおめ、じゃぁお願いしますったらこんな立派な宿が建っちまったてぇわけだ」
その後部屋に案内されて内装を見回すと、控えめだが品の良いつくりになっていた。
「へぇ・・・俺の家より良くできているよ」
「うん、これなら行商人も寄って行くと言うものだね、居心地が良く設計されている、うまい商売になるね」
ヤヒスが部屋を見回しているとマサカツは椅子にもたれて満足そうな声を出した。
「うーむ・・・これの多くがプルツで算出した物とは、なんというのか誇らしいものであるな」
それを聞いてマサカツが言った。
「それだよ、誇りは国を豊かにする国民の士気も上がる、この村も宿が誇りになる、誇りと言うのはなまなかに買えるものではないんだ、リャヒはもっと誇りを持って良いんだよ。
マサカツの言葉にリャヒは深くうなづいた。
やがて食事が用意できたとの声がかかり、一行は食堂に向かった。
「さぁさ、簡単なものだけど食べとくれ、オムレツは絶品だよ」
宿の女将がほくほくとした笑顔でテーブルに誘う。
「ん、このオムレツと言うものは中に具が入っていて卵と合わさってうまいのう!!」
「本当ね、以前食べた物よりずいぶんおいしいわ」
フィスとヴィーシャは驚いた様子で、口に運んでいる。
「む、この芋は美味であるな、プルツの物とは段違いだ」
「それはバレーシ芋だね、この村の名産品さ、うまい、丈夫、やせた土地でも強いと良いとこづくめだ。
ヤヒスは得意げに説明をしている。
「ふふふ、鶏も芋もここの自慢だからね、村のはずれにムカシキビってキビの先祖みたいなのが大量に自生していてね、それを鶏にふんだんに食べさせているのさ」
「ふーん・・・なるほど、鶏卵は飼料で大きく品質が変わるとは聞いていたけれどお手本みたいな感じだな」
女将の言葉にマサカツは何か考え込むような表情をしている。
食事が終わり各自部屋に戻るとリャヒが言った。
「うむ、明日はいよいよプルツに入る、それに備えて我は早めに眠らせてもらう」
「は、やることもないんだから俺たちも寝るよなぁマサカツ」
「そうだね、もう寝てしまおう」
そう言って三人とも寝床に入り就寝した。




