塗り替えて勝て②
「うん、そうなると塗料だな・・・思うようなのがある良いけど」
「ならこっちだよあの角曲がっていけばあるよ」
全員ヤヒスを先頭に市を歩いて行く。
「おっちゃん!!塗料見に来たよ」
「おぉヤヒスじゃねぇか」
「ヤヒスはこんなところでも顔が利くの・・・?」
「ああ、よく見りゃお嬢ちゃんも黄昏のメンツじゃぁないか、ヤヒスはよ、ダンジョン発見で名を売ったしよ、たまに毛糸やら絵具なんかを買いに来てくれるんだよ、家族に送るとかってな、なぁヤヒス」
ヤヒスと露天商が話しているのをヴィーシャがのぞきこんでいる。
「おじさん、黄色の塗料、黄土ってあるかな?」
「ああ、そこら辺にあるよ」
「・・・コレで全部かい?」
「そうだが?」
「全然足りない、樽の三分の一は欲しい」
「樽の三分の一!?べらぼうなこと言うない、そんな量どこに行ったっててにはいらないぜ!?」
「まぁ予想はしていたけどそうだよねぇ・・・」
「これでも塗料の流通量は多くなった方なんだぜ、あのプルツ国からは色々な鉱物も顔料も採れるからな」
「プルツにそのような物が・・・む、最近はすっかり足を延ばしてなかったからな・・・いや、これだけ様々な物が流通に乗っているのは十分まつりごとが動いておる証拠だな」
「何かよくわかんねぇけど、直接プルツに買い付けに行けばその位な量は確保できるかもな、でもよ、商人でも組合でもなくてワタリを付けられるかね」
物売りの男はシブい顔をしている。
「ははは、そこは問題ない」
リャヒは朗らかに笑った。
その後市を通り抜けて北門を目指した一行はその門をくぐり、チヌックをグリフォンの姿に戻した。
「じゃあとりあえずプルツに行きましょう、ああ、その前にはヤヒスのビソル村にも寄らなければならなかったわね」
「ああ、プルツは一日ではいけないからね」
「む・・・やはり我が国は北のどん詰まり、言うてもせんなきことだが場所が良くは無いな・・・」
ヴィーシャとヤヒスの会話を聞いてリャヒは額に手をやった。
「なぁに、何が国に有利に働くかはわからないものさ、現に俺たちみたいな酔狂な要求をする人間もいる」
マサカツはリャヒの肩を叩いた。
ヤヒス達は夕暮れ時にビソル村に入りとりあえずヤヒスの母親に挨拶をしに家に入った。
「んーもういつも突然帰って来る、でも料理も部屋も今度は良いものをあてがえるよ」
「どういうこと?」
「村で宿屋をはじめたのさ、プルツ国との貿易がどんどん発展していってね、馬車で来るとこの辺りで丁度夕方になるのさ、泊めて欲しいって人が多くてね、集会場じゃ足らなくてプルツ国の人たちにも手伝ってもらって建てたのさ、ほぼ毎日誰かが来るから料理も仕込んでおけるのよ」
ヤヒスの母親は宿まで案内すると言って先を進み、大きな建物にたどり着いた。
「おぉ・・・立派な建物であるな・・・」
「すっごい、それも頑丈そうだわ」
リャヒとヴィーシャが驚いている。
「プルツ国は良い木材と建築用の石が産出するからそれを使ってもらったの、もうこの村の自慢よ」
ヤヒスの母は腕組みして誇らしげである。
「ウチの村にこんな立派な宿が・・・」
ヤヒスはぽかんとした表情で宿を眺めている。
「ほら、プルツにも良い産物があるだろ?岩や木は価値が無いように見えて他とは大きな差異があるものさ、特に北方の木材は品質が良い」
「うむ、喜ばしいことだ」
マサカツとリャヒは並んで談笑をしていたが。
一行が宿に入るのに合わせて歩みを進めて行った。




