塗り替えて勝て①
勇者パーティークエストが片付いたので、何か目新しいことはないかと冒険者ギルドに顔を出した黄昏パーティー一行をイエールが出迎えた。
「おうおう、あっちの大陸に行っていたんだって?どうだったよ?」
「うーん・・・それほど変わらなかったけど、通貨が違うので全部金で支払うのが面倒だったね」
「おぉそうか・・・いや、俺らもあっちには興味があってな、行こうかどうかってとこでよ、そうか、通貨の問題があるのか」
イエールとヤヒスは朗らかに近況報告をしている。
「ところで何か変わったクエストは無いの?イエール」
「おぉヴィーシャか、あるぜ、難しいのがな、新たに発見されたダンジョンなんだが何人も死んでる難物だ」
「穏やかじゃないのう・・・どんなのかの?」
「ん?おぉ・・・見えない敵が襲ってくるんだ、と言っても見えないだけで感触はあるんだがな、俺たちも入ったがてんでダメだった、久々に食らっちまったぜ」
ヴィーシャとフィスの疑問に答えたイエールは腕をさすり、ここが傷跡だと言うような仕草を見せた。
「どう言う具合の空間なんだい?」
マサカツがイエールに投げかける。
「ふん、中規模程度の洞穴でな、何も知らずに入ると鈍器のようなものでいきなり襲われる、発見者のパーティーはそこで二人死んだそうだ、こう言う新ダンジョンはよ、俺も俺もって挑むんだがそれが不幸の始まりでよ、何人だったか・・・まぁ死んじまってるよ」
「魔法をめったやたらに放つのはダメなんですか?」
「それよ!!あのクソダンジョン魔法が使えないんだよ」
「それはかなり手詰まりですね・・・」
「おおよ・・・」
ミードリは魔法が使えないと聞いて表情を曇らせる。
「ま、それでもお前らは挑むんだろ?どんな手で攻略するか楽しみにしてるぜ」
イエールはニヤリと笑った。
「ふーん・・・見えないだけで触れないわけじゃないのね」
「見えないと全方位が敵、背中合わせで集まって武器を振っても逆に包み込まれてやられてしまう」
ヴィーシャの言葉にパムが相槌を打つ。
皆が何やら話している間、マサカツはしきりに髪を撫で上げている。
「実体があるならやれるな・・・」
マサカツは首をコキリと鳴らした。
「どういうことだい?」
ヤヒスが問いかける。
「うん、ガラスと同じだと言うことさ、透明でも実態はそこにある、そしてガラスは何も透明なだけじゃぁ無い、ステンドグラスだってあるだろ?アレは色を付けている物だ」
「わかってきたわ、塗料か何かをかければいいんでしょう?」
「ご名答、見えないなら塗れば良いのさ、ただまぁ工作が必要になるんだけどね」
「む、工作はマサカツの得意分野、期待が出来るな」
ヴィーシャとリャヒは顔を見合わせてうなづいた。




