名探偵マサカツ④
食事を済ませたヤヒス達はバンスの部屋がある建物に近づいて行く。
「こんな小さな部屋じゃ全員入ったらパンパンになるぞい」
「だからマサカツとヤヒスの二人が行くのよ」
フィスの言葉にヴィーシャが返答を返している間に、ヤヒスとマサカツが階段を上り、バンスの部屋のドアをノックした。
薄くドアが開いて中から青年が出てきた。
「誰です?何か御用ですか?」
「いやね、そこの食堂に最近入ったモンですけど、おかみさんが食器を戻してほしいと伝えてくれって言うもんで」
「そうですか・・・変だな、いつもはそんな・・・うわぁっ!!!!」
マサカツはブラフで油断させておいて、バンスの足元を蹴り飛ばし床に這いつくばらせた。
「な・・・なにを・・・」
「バンス!!」
押さえつけられたバンスを見た若い女性がカーテンの影から踊りだしてきた。
「チェフィー来ちゃだめだ・・・うっ」
「もうわかったろう、そこのお嬢さんの父親から娘を探し当てるように依頼されてね、よっとほい、ここからはお話合いの時間だ」
マサカツはバンスを押さえつけていた腕をほどき床に座らせ、自分もその前に座った。
「お話合いってなんですか?彼女を無理やり連れ帰るだけの話しでしょう?」
「まぁ、待ってよ、君たちの逃避行は俺たち以外にはモレてない、サイラスさんも公にすることは望んでいないんだ」
「それはそうだわ!!家の体面を気にしてるのよ!!」
「もちろんそれもある、だが、君はバンスのことを誰にも話していないだろう?お父さんは悪く思わないかもしれない」
「そうだけど・・・」
「バンス、君は商家にいたんだよね?」
「あ、ああそうだけど」
「才能があって多分誠実な商売をしようと心がけていた、だが父親とそりが合わなくて勘当された、違うかい?」
「なんでそんなことが分かるんだい・・・」
バンスとチェフィーはあっけにとられている。
「まぁ、俺に考えがある、一緒に来てくれないか?」
「・・・わかりました」
「バンス!」
「どうせ長く続かないことだったんだ、僕はこの人たちに任せようと思っている」
「話がはやい、では早速町を出よう、その前にお嬢さんはこの布をかぶってくれ、エルフにもらった他人から目に着かない布さ」
ヤヒス達四人は街路を歩き北門から外に出た。
ヤヒスがチヌックを呼ぶと、彼はグリフォンの姿に戻る。
「ああ・・・グリフォン」
「ヒッ・・・」
バンスたちは尻込みしている。
「大丈夫だよ、俺たちの仲間で人間に危害は加えないよ、ささ、背に乗って」
ヤヒスにそう言われて二人はチヌックに乗り、四人は空に消えて町を目指し、やがて町が見えてきた。
「あれ、私の住んでいた町だわ・・・綺麗・・・魔石が輝いているわ、風も気持ち良い」
「本当だね・・・こんな景色が見られるなんて」
バンス達は肩を寄せ合って夜景に見とれている。
しばらくするとチヌックは下降し、四人はそれを降りて町に入っていった。
「このままエッフェゴールの屋敷に向かう、いいね、自然に歩くんだ」
四人は何気ない風で街路を歩きエッフェゴールの屋敷のノッカーを叩いた。




